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主人公チート説

「これで──」


ハルマは折り畳み傘を振り上げる。

完全に戦意を失くし、背を向けた『兄貴』に向かって折り畳み傘を思い切り振り下ろした。


「──最後、と……」


『兄貴』は地面に倒れ伏した。

ハルマは、意外にももう折り畳み傘に順応していた──いや、こんな言い方をしたら変だが。


「あの……」


突然声をかけられ、ハルマは反射的に身構えながら(折り畳み傘を構えながら)振り返る。


「……!?あ、あの!その!……ごめんなさい!」


ハルマに話しかけた少女──いや、20歳のハルマより頭一つ小さいくらいだし、少女という表現は適切ではないかもしれないが、おどおどした様子がいくらか幼く見えた──少女が、いきなり頭を下げる。


「……。へ?」


ハルマは事情がさっぱり全く全然分からず情けない声で聞き返す。


「……。え?」


少女もなぜ聞き返されたのかさっぱり全く全然わかっていないようだった。そこへ、


「すいませんねぇ」


やや腰の曲がった女性が少女に声をかけた。


「あ、い、いえ、大丈夫です!……それに、私もこの人がいたから助かったようなものですし……」


少女はそういうと、ハルマを指差した。


「はぁ??」


ハルマはますます混乱するばかりだった。


────────────────────


「なるほど。ひったくりからばーさんの荷物を奪い返したところ、逆上されたから逃げ出して、撒いたと思ったら何故か目の前で俺がそのひったくりに激突して、そのまま退治したってとこか」


「そういう事」


少女から聞いた話をまとめると、ますますわかりづらくなったような気がするが、そういう事らしい。


「とにかくありがとう。そしてごめんなさい」


「あー、いいよいいよ」


「それにしても……。何、それ?」


少女はハルマの手にある折り畳み傘を指差す。


「え?これ、普通の折り畳み傘だけど」


「お、折りたた……。み?……折り畳める……カサ?」


どうやら、こちらの世界に折り畳み傘は存在しないらしい。


「そんなところだ」


「へぇー。便利だねぇー。で、元々攻撃力高いの?」


「低いわ!!」


少女の質問にハルマは全力で突っ込む。

とはいえ、ハルマ自身、何故折り畳み傘がこんなチート性能になっているのかわかっていない。


「……もしかして、異世界転生者、とか?」


「その可能性しか考えてねぇよ」


「うーん、じゃあ、能力が1つ追加されるハズなんだけど……。その調子だとステータスアップかな?」


異世界転生者は多いのか、意外に慣れたものだ。

と、そこまで少女が言ったとき、ハルマは少女の頭上に何かがぼんやりと浮いているのに気がついた。

目をこすってそこを凝視する。少女もそれに倣って真上を見るが、何もない。

それでも、ハルマには何かがえていた。


「お前、モミジ、って名前なのか?」


「え?うん」


「……これ、ステータス?」


ハルマが入手した能力は、ステータスを見る能力だった。


────────────────────


「チートじゃん」


モミジがぶーたれる。

なぜなら、ハルマの防御力がすでにカンストしていたからだ。


────────────────────


『なんか、俺の防御力、99999って書いてあって、右下にちっこく「E」って書いてあんだけど』


『え?』


『傘の攻撃力もおんなじ事に』


『…………はい??』


────────────────────


「で、でも俺、生身の攻撃力が2なんだからまだ救いあるだろ」


「ないよ」


フォローしようとしたハルマの言葉を、モミジがスッパリと斬り捨てる。


「まぁステはいいとして」


「よくない」


「いいとして」


ハルマは傘を掲げ、言い直す。


「いいです」


「住む場所困った」


「……野宿でもしてなよ」


ハルマは無言で、折り畳み傘をモミジの頭に乗せる。


「はい分かりました私の家に来てください是非来てくださいパーティメンバーとのシェアハウスですがお気に召すと思います」


こうして、ハルマはパートナー(無許可)と拠点(許可済)を手に入れた。

ハルマ Lv.1

攻撃力 2

防御力 99999E

体力 495


モミジ Lv.23

攻撃力 652

防御力 329

体力 1152


普通認識できるステは自分のものだけのハズなのです。

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