ファンタジー王道のすれ違いはありません。
「おぉ、起きた」
ツバキは反射的とでもいうように、モミジの体から手を離す。
「……って!? なにこ……」
叫ぼうとしたモミジの口に手を当て、ツバキは笑顔でどこから調達したのかさっぱり分からない(一応推察はつくが)スタンガンを笑顔で取り出した。そして一言。
「叫ばないって約束できる?」
「……!!」
モミジは何度も頷く。
その反応に満足したように、ツバキは早速『お仕事』に取り掛かる。自身の欲求を満たすというお仕事に。
「じゃー、まずはどこ触ってほしい?」
いや、バカップルの前戯かよ。なんだよその質問。頭おかしいんじゃねぇの?
「……え、どこも触られたくないけど……」
「どこ触ってほしい?」
ふたたび笑顔でスタンガンをチラつかせるツバキ。スタンガンの扱い方を心得ていらっしゃる。無駄に。
「……じゃ、じゃあ、えっと……」
ツバキはモミジの服の裾を少しまくり上げて、素肌がむき出しになった脇腹に、笑顔でスタンガンを当てる。
「早くしよう?」
「それなら……脚とかからで……」
完全に怯えきったモミジは震える声でツバキに言う。
その瞬間、ツバキのテンションは急上昇。いきなりモミジの太ももに飛びついた。
あ、いいn……。いやそうじゃねぇ。何言ってんだ僕。
あぶねぇ、『a』付けなくてよかった……。
まぁスマホだからローマ字打ちじゃないんだが。
だから何を言ってるんだ僕は。
とにかく、ツバキはモミジの太ももを撫で回し始めた。
ついさっき媚薬を塗ったばっかりだが、即効性のものなのか、少し撫でられるだけでモミジは喘ぎg……。
だからなんでヤバい方向進んでくの!?
ホントマジでやめてツバキ!!
僕にこんな地の文読ませないでもらえる!?
ったく……。
はい次。
で、ひとしきり太ももを撫で回したツバキは、今度はモミジの足の裏をくすぐり始めた。
「ちょ、くすぐらな……あ、ちょ、ダメ! くすぐるのはダメだから!!」
堪えきれないモミジ。どうやらくすぐられるのは苦手なようだ。
「ふーん……」
素っ気ない反応に見えるが、顔はこれ以上ないというレベルでにやけきっている。
少なくとも、女子が女子を触っている間の表情ではない。
「じゃーこれも使っちゃおうかなー」
そう言ってツバキが部屋のたんすから取り出したのは、ネコジャラシだ。
で、当然のごとく、それで足の裏をくすぐり始めた。
「ん、ちょ、ちょっと! そ、それ、それだめ……!!」
「うるさいなー、もー」
一生懸命抵抗するモミジに、ツバキはたんすから手ぬぐいを取り出すと、モミジに猿轡として噛ませる。
犯罪臭だけが強くなっていく。
もういい。ここまで来たら最後まで付き合ってやろうじゃねぇか。
「さて、次は大本命だね!」
そう言うと、ツバキはモミジの胸に手を伸ばs……。
前言撤回もう付き合いきれねぇよ!!!
最後まで一部の読者の期待裏切らねぇなクソツバキ!!! お前だけノクターン行ってこい!! 好きなだけ欲求解放してこいよそこで!!!
そんな僕の叫びも虚しく、ツバキはモミジの小さな胸を揉みしだく。
ちょっと待て、ほぼまな板レベルのモミジの胸どうやって揉んでんのお前。
そこは気になるわ。え、どうやってんのマジで。
「んー、やっぱ反応の大きさって膨らみに比例してるのかな」
そんな事はねぇと思うが。
いや知らないけどね? そんなことは本当にないと思う。
「……やっぱり大きな反応狙うならここかなー」
そう言うと、ツバキは、モミジの脚を強引に開かせる。
ちなみに、モミジはこの前ハルマに選んでもらって以来気に入っているスカートを穿いている。
……いやいやいやいやいや!!!!
待て待て待て待て待て待て待て待て待て!!!!
そんな事したらマジでなろうにいられなくなるぞ!?
「あれー、意外と可愛いの穿いてんじゃん、中」
想像通り、ツバキはモミジのスカートの中に手を突っ込む。
モミジは顔を真っ赤にしながらも抵抗するが、ちいさな反応が漏れてしまう。
お前らマジで黙れ。
僕がそう思った瞬間、ツバキの部屋のドアが蹴破られた。
「……返事ねぇと思ったけど……なにやってんのお前ら」
そこにはハルマが立っていた。
生命体に対する攻撃力はなくても、ドアに対する攻撃力はあったらしい。
「……え? いや、これはあれだよ、えっと、その……あ、あれだよ!! モミジに大人の遊びを教えてあげようと……」
無言のイノに、ツバキはぶん殴られる。
「いや、そのまんま言ってんじゃねーよ」
そのイノの目は、蔑みの目だった。それも、人間のものとは思えないような。
殴られて床に落ちたスタンガンを、ハルマはツバキの首元に押し付ける。
「モミジのロープ、解こうか」
笑顔でハルマが言うと、一瞬で顔を青くしたツバキは、すぐにモミジのロープを解いた。
「ご苦労様でした」
ハルマは今度はツバキの背中にスタンガンを押し付け、ボタンを押した。
ツバキの体に電流が流れ、ツバキは気絶する。
「……ほっとくか」
「……怖かった……」
ハルマに抱きついたモミジは、ハルマに頭を撫でられ、少し嬉しそうだった。