ダンジョン探検☆
何事もなく、午前が終了。
午後、昼を過ぎたとあり、クエストボードには、クエストが増えていた。
「なにこれ、『遺跡探検』? 面白そうじゃん」
「んー?『遺跡を発掘したため、内部探査を依頼したい』…要するにダンジョン探検ってとこか」
「この辺で遺跡なんて珍しいね」
ツバキが依頼書を見つけ、イノが概要を読み、モミジが感想を述べる。
遺跡はこの周囲では珍しいらしい。だから今掘り出されたのだろうか。内部探査くらい政府でやれ。
同じことはハルマも思ったようだったが、
「違うよ? 確かに遺跡発掘は政府がやるけど、民間に頼んだ方が指揮系統もわざわざ確立しなくていいし、楽なんだよ」
雑い。ありえないくらい雑い。
「それに民間も優秀な人材増えたしな。黒い傘持ったどこかの誰かみたいな」
「なんだとオラ」
「褒めてんだよ」
「バカにしてんだろ」
喧嘩に入ったイノとハルマを、モミジが宥める。
「とにかく、受けてみない? これ。報酬もなかなかいいしさ」
「嫌だ!!暗い怖い暗いのやだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!」
ダンジョンに潜り、少し進んだところでモミジが悲鳴を上げた。
潜り始めた時からなにかブツブツ呟き続けていたのだが、怖さを紛らわせようとしたものだったのだろうか。
「……大丈夫か?」
「無理!!」
「……じゃあ帰れば? 俺達は先進むから」
「ひとりやだ!!」
「幼児か」
どうやら暗いのが怖いようで。
おい大丈夫か漫画家。そんなんで主人公をピンチに出来るのか。
この小説もか。
「じゃあ俺にくっついてりゃいいだろ」
「そうする」
「物理的にとは言ってない」
モミジはハルマに抱きついていた。ぎゅっと。
「…幼児か」
「違う」
「リア充消し飛べ」
「論点が違う」
イノの言葉に、ハルマとモミジは同時に反論した。
松明の明かりを頼りに、地下深くまでやってきた。
もう地上の光も届かない。明かりは文字通り、松明だけである。
「……ふー、……ふー、ふー……」
「犬かお前は」
呼吸を荒くし、ますます強くしがみつくモミジに、ハルマは突っ込む。
そうしながら、歩きづれぇなぁ、振りほどいて逃げようかな、なんて思い始めるゴミのような性格も、ハルマは持ち合わせている。
「……撃破数も結構行ったし、帰るか」
心優しい面の方のハルマの提案だったが、
「ボス討伐しなきゃ」
「鬼かてめぇは」
ハルマの提案に、一瞬目を輝かせたモミジだったが、ツバキの言葉に一瞬で死人のような顔に逆戻りした。
最深部にやってきた。
ただならぬ雰囲気が漂って…………は来なかった。
ハルマに抱きついたモミジがキレイにぶち壊してくれたからだ。
「あのさ、モミジ。なんで俺はお前をお姫様抱っこしてるんだ?」
「疲れたー。帰りたいー」
モミジは真顔で棒読みで繰り返す。
暗闇よりも、もはやモミジの方が怖い。いろんな意味で。幼児退行している。
「…はぁ」
そんなやり取りを繰り返すうちに、ボス部屋にたどり着いた。
ボロボロのローブを羽織った、骸骨だった。
浮いてる。すげぇ。
「……がしゃどくろ?」
「違うね」
ボスを一目見たハルマの感想に、ツバキがツッコミを入れる。
ちなみにお姫様抱っこが疲れたのか、モミジはハルマに引きずられている。足首を掴まれて。
「我ハ遺跡ガ主…」
「前置きとかいいから戦闘入ろうぜ」
「……終ワリダ!話シ合イハナ!」
「山爆破するなよ」
ウィザードが放つ魔法弾を避け、ハルマはモミジをウィザードに叩きつけた。
「あれ? 人振り回す力は俺にはねーぞ?」
「僕が筋力アップの魔法かけといたぜ」
顎に手を当てながら、イノが言う。
彼は一応、オールラウンダーなのだ。
気づけば、モミジ『で』ぶん殴られたウィザードは、死亡していた。
「……やった」
ウィザードに叩きつけられたモミジも、当然のごとく気絶していた。
……恐らく、二つの意味で。
意味なき必要なき需要なき!
僕の自己満あとがきフェスティバル!
りぺあ「今日のゲストはー…イノでいいか」
イノ「適当だな」
りぺあ「悪ぃか」
イノ「ああ悪ぃよ」
りぺあ「……………はいはい」
イノ「ごめんなさい」
りぺあ「とりあえず、なんで魔法かけたん?」
イノ「いやなんか、ハルマがモミジの足掴んだ手に力入れたから、あ、かけとこうと」
りぺあ「お主は天才か。いや天災だ」
イノ「僕は災害じゃない」