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 会社に行きたくないという日は誰にでもあるものだ。

 大きなミスをした翌日。

 プライベートの問題がまだ解決していないとき。そして職場での人間関係があきらかにうまく行っていないと自らが認識しているとき。

 はたまた常に会社になど行きたくないという鬱屈した気持ちを抱えながら毎日という時間を過ごしている人もいることだろう。

 トヨナカキリオもその日はどうしても会社に行きたくなかった。

 いや正確にいうと、どうしても会社に行きたくなかったというよりは、社会人になって以来過去最強の会社へ行きたくないという気持ちに胸を締め付けられていた。

 なぜだろう。

 何か仕事でものすごいミスをしてしまったのかもしれなかったし、もしくは家族の間でどうしようもない事態が起こってしまったのかもしれなかった。

 しかしどれだけ思い返してみてもこれといった理由がないように思える。

 そういえばと思うものがある。

 朝いつも出かけるときに、妻のアサコからの見送りが終わって最寄りのバス停まで歩いて行くときに、どうしても前を横切らないといけないところがある。

 それは自分の家のガレージだった。

 自分の家のガレージに、いつからかものすごく大きくて黒いワゴン車がとまっているようになったのである。

 もちろん自分の家のガレージにとめてある車なので、その所有者は自分だ。しかし見るたびに思う。

 本当に何なんだろうこの車は。

 こんなに大きくていかつい車が我が家に本当に必要だったんだろうか。

 決して安い買い物ではなかった。300万円くらいした。いろいろの諸経費などを考えると、絶対に300万円以上かかっているように思うが、一応300万円くらいということで納得しておきたい。

 この車を買った当初は、いい車が買えてよかったと思った。

 別にこの車の購入は、誰かに反対されていたわけではなかったし、むしろ反対というよりは、今後の家族計画などのことを考えると大きな車も必要だろう、という理由から他方から購入が推奨されていたくらいだ。

 友人や親に購入のことを打ち明けると、いいね、みたいな反応が返ってきた。

 だから納車されて数日は気分も良かった。ところが毎日毎日この黒い車の前を通るたびにだんだんと気持ちが沈んで行っているのがわかった。

 妻には言い出せなかった。

 あんな黒くてでかいだけの車をどうして買ってしまったんだろう。

 コンパクトカーとかの方がかわいい。

 車を買う前はコンパクトカーとか嫌だと思っていたけど、今になってみると別にコンパクトカーでも全然家族を乗せることが出来るし、また燃費の面を考えてもすこぶるコストパフォーマンスがいい。

 こんなこと言えるはずがない。

 なぜならこの車の購入は、夫婦二人でしっかりと話し合った結果だからだ。

 まさかそんな簡単に気分だけの問題で、この車買ってから思ったんだけど、なんかしっくりこないね、怖くない? などというようなことの言えるわけはない。

 そのとき妻のアサコはどんな顔をするか。

 だがこの問題は、誰にも口にしないでずっと自分一人のものとしていると、徐々に手が付けられないくらいに巨大に膨れ上がってきて、その車を見るたびに気分が最悪な状態にまで落ち込むのはもちろんのこと、何もしていないときにでもふと車の映像が頭によぎってまた気分が最悪になるというシステムを自分の中に構築するに至った。

 きっと今日がそのピークなのだろう。

 今まで何とか押さえつけてきた車への不満や恐怖が、何ということのない今日という日に一気に爆発寸前のシグナルを発してきたのである。

 トヨナカキリオはいつものように家を出て最寄りの駅までバスで向かうと、駅のホームのベンチに座って自分の乗るべき電車の来るのを黙々と待っていた。謎の巨大で不安な殺伐とした、しかし何一つ具体的でなくかつ圧倒的なすごみもない、きりきりと胸を突き刺されるような感覚のある、ぼんやりとした、全体的にピンクがかった、あきらかに鼓動のある、自分とは別物であるとはっきり述べることのできる何かに対して、やっと自分のイラつきや恐怖みたいなものを見出しながら。

 隣に座ってきたサラリーマン風の男に急に声をかけられた。「私これから死のうと思ってるんですよ」

「え」

 キリオは思わずその男の言葉に反応した。

 自分も今必死に黒い車と格闘していたわけだが、なぜだかその男の言葉が耳にすっと入ってきて思考が乗っ取られる。

 突拍子もないことを言う男である。いきなり死にたいだなんてこの男は一体何を考えているんだ。いや死にたいということを考えているんだろうけれども、でもやっぱりいきなり自分はこれから死のうと思っているなどということを他人にしゃべってくる人なんてどうかしている。おお何だこれは、まだこの人を視界に発見してから数秒も経っていないけれども、さっそくこの人とは今後一切かかわり合いたくないという感情が芽生えてきたじゃないか。

 キリオは男の言葉に反応してしまったものの、何と言い返せばいいのかわからず黙っていると、男は勝手に喋りはじめた。

「本当は死にたくなんかないんですよ。死にたいだなんてことは、この私の本心などではないんです。でも死ななくちゃならない状況がこの私にはあるんです。私はこれから死ななければならない立場になってしまったんですよ。でも考えてみたら、これ以上生きていたって何にもない人生なんですよ。つまらない人生をただ淡々とこなしていくだけなんでしょうね。私には希望を持つことは許されないんです。夢や希望をもって、毎日を明るく楽しく暮らすことなんてついにできなかった! もう私は死ぬしかないんです。死にたいわけじゃないんですけれどもね、もう死ぬしか方法がなくなってしまったんですよ」

 死ぬしか方法がなくなってしまっただなんてどういうことなんだろう。

 キリオはこのように考えて、しかしいやダメだ、この男のことは無視するんだ、この男のことは無視して、俺は今俺の問題にだけ集中するべきなんだ、決してこの男の口車に乗せられちゃいけない、この男の言っていることに興味を持って関わろうとしてはいけないんだ、だってそんなことしたって何にもいいことなんてないんだから! そんなことをしたって自分は損をするだけで、どんどんを感性を消耗させられてくたびれさせられるだけなんだから、無視するんだ、いいか、こうなったら徹底的に男のことは無視するんだキリオ、みたいなことを思い立った。

 男が言った。「FXでぼろ負けしたんですよ」

「FXでぼろ負けしたですって!」

 キリオは思わず男のセリフをオウム返ししていた。しまった、とも一瞬思ったが、話題がFXのことになりそうだったのでそんなことどうでもいい。

 いたのだ。

 昨日のアサコのママ友以外にも、今まさにFXでやらかして人生を棒に振ろうとしている男がいよいよ目の前に登場してきたというわけなのである。

「ほほう、FXですか」キリオは言った。「FXといえばあれですな、FXといえば、日本語に直すと外国為替証拠金取引のことで、今主婦やサラリーマンの副業として大人気のあれですな。なるほどあなたはそれをやっていたんですね。それで一攫千金か、もしくは日々のお小遣い程度の額を獲得しようともくろんでいたのかどうかはわかりませんが、しかし失敗して多額の借金を背負ってしまったんですね。多額の借金を背負ってしまったというのでしょうね」

「借金まで背負うつもりはなかったんです」男は言った。「はじめのうちは、とても小さな額でやっていたんです。それこそあなたのおっしゃるように、毎月のお小遣い程度稼げればいいなと思っていて。でも勝ったり負けたりで、なかなかお金は増えなかったんです。いえそれどころか正直に申し上げると、最初に投資した資金は徐々に減って行って、いつの間にか私は毎月の給料を妻に黙ってFXの口座につぎ込む、みたいな生活を送るようになっていたんです。もうこうなれば昼も夜も関係ないですし、もちろん仕事なんて手につかず上の空です。ですがやはりどれだけお金をつぎ込んでも結果は散々なもので、買いを入れればチャートは下がるし、逆に売りから入れば、そのあとチャートは信じられないような勢いで上に行ったりするのです。完全に神様みたいなものに見放されているのだと思いましたよ」

「でもよくその状態でFXを続けることが出来ましたね。自分には才能がないとあきらめがつかなかったんですか」

「それはやっぱり負けの中にもちょこちょこ勝つことがあったからだと思います」男は言った。「トータルでは負けているのですが、しかし負け一辺倒で終わってしまうということはあまりなくて、具体的な回数はわかりませんが、三回に一度や五回に一度は、ちょこっと勝ったりしていたように思います。これだって金額にしてみれば、負けたときの額の方が断然大きいのですが、しかし私に毎月FXの口座に自分の給料を振り込ませるには十分な要素でした」

「いつかは負けるよりも勝つ回数が多くなって、金額も徐々に増え始めるときがやってくることを信じていたんですね」

「完全に博打ですよね」男はふさぎ込みながらも「でもFXは博打なんかじゃなくて、世界にはFXで何十億と稼ぎ出すプロのトレーダーたちも何十人何百人といるのです」

 でもお前は違うだろ。

 キリオは言った。「しかし今までの話だけをきいていると、FXをやり続けることによって確かに負けが込んでいたのはわかりましたけれども、借金をしてしまうほどじゃなかったんじゃないですか? 負けるにしたって、毎月の給料で補填がきくくらいの額に収まっていたんじゃないでしょうか。だったら今こうしてFXの失敗を苦にして死ぬことを考えるには至らなかったはずですよね。あなたの中で何かあったんじゃないですか」

「妻が病気になったんです」

「え、奥さんが病気に?」

 それからの彼の話をまとめるとだいたいこんなところだった。 

 男の妻はある日突然病気になり、ただちに入院という手筈になった。気分的に悲しくなったが、問題はお金である。当面の治療費が心配されることになったが、妻としては当然家にはそれなりの蓄えがあるものだと思っているので、そこから今回のお金は出してもらえるだろうと心配はしていない。医療保険の話も出たが、それに加入していたのは残念ながら男だけであり、妻は入っていなかった。あせる男。なぜなら男の貯金はそのときそのほとんどすべてがFXの口座に移されており、かつ負けが込んでいる時期だったので、元本がすっかり割れてしまっていたからである。幸い今回の妻の医療費くらいは残っていたので、ただちにFXの口座から元の銀行の口座にお金を移せば大丈夫そうだったが、しかしもしそのとき妻に通帳を見られて貯金の全然ないことを知られたらどうしよう。というか、今回妻の治療費でお金を使ったら、自分はしばらくのあいだFXが出来ないという事態になってしまう。いや別にさすがにそれはどうでもいいけど、でも冷静になって考えてみると俺は今までまったくどれだけの貯金をFXで溶かしてきたというのだろう。妻もこうして倒れてしまって、俺はバカなんじゃないだろうか。何とか元本だけでも元に戻せないか。妻の医療費が実際にかかってくるその日まで、何とか元本の額まではお金を増やせやしないだろうか。

 結果思いっきり失敗したのである。

 キリオは言った。「あなたはものすごく罪深い人ですね」

「はい」

「奥さんが病気になった時点で、まだ貯金は残っていたわけでしょう? そこですっぱりとFXをやめて元の生活に戻っていれば、今こうして身勝手に死ぬことを考えずに済んだというのに」

「FXの魔力というやつですかな」

「それあなたが言いますか? 何かすごいむかつきますね」

 キリオは男の話を聞いていて、世の中には本当にこんなに身勝手でどこか他人事のようにしか自分のことを話せない男がいるもんなんだな、と思っていた。

 FXの魔力とかマジでなめているのか。

 それはお前がFXの魔力から無事に解き放たれて見事に社会復帰できたときに初めて口にしろ。

 しかし考えてみて、いつの時代にも家族に不幸しかもたらさない、みたいな人はいるものだ。

 つまり今回のこの男は、FXというトレードの失敗のせいで、多額の借金を背負い自殺を決意した、というような内容だが、昔の時代にもそれなりにそのようなあくどい奴はたくさんいた。いろいろのギャンブルに狂ってろくに仕事もしない男とか、酒や女に入り浸って全然家にお金を入れない男とか、家族に暴力を振るう奴とか。そのようにろくでもない人たちというのはいっぱいいたはずなのである。

 むしろそういうろくでなしたちから考察すると、今回の男はまだ救いようがあるかもしれない。

 だってじゃあこの男がFXを始めた理由とはなんなのだろう。

 それはきっとお金のためだろう。

 じゃあなぜお金のために彼はFXを始めなければならなかったのか。仕事も真面目にしている、家族もいる。そのような男がなぜ今回FXなどというトレードを始めなければならなかったのか。

 お金が足らなかったのかな。

 このままだと幸せだと思える額のお金を手に入れられないと思って焦ったのかな。

 キリオは言った。「FXはね、FXだけは、損をしてそれで反省したって何にもならないですからね。まだ負けを取り返せる額のお金が手元に残っていればそりゃいろいろと反省して再起することだってできるでしょうが、FXで取り返しのつかない損をやっと出してから、もうこれには手を出さない、と宣言したって遅いんですからね。何たって借金が残っているんですから。ギャンブルを辞めたりお酒を辞めたりするのとはわけが違うんですよ。そういうものとはわけが違うんです。やめるのは簡単かもしれませんが、やめたあとに残っているものがね、自分の力ではもう何もコントロールできないんですから、それがFXの恐ろしいところですよ」

「それはもう重々承知しています」男はそう言うと目を伏せて「だからもう死ぬしかないと言っているんですよ」

 キリオは男のその言葉をきいて、今度こそしまったと思った。

 しまった。

 別に俺はこの人に説教をくれてやるつもりはなかったんだ。俺もどうしてこんなにFXについて語ってしまっているのかな。

 本来なら俺とこの人は他人で、この人に起こったことは俺には全然関係のないことなのに。

 少しでも想像してしまったからかな。

 もしこの男の人のように俺がFXに手を出していたら、今頃死ぬことを考えていたのは俺の方だったかもしれないとちらっとでも考えてしまったから、重ねてしまったからだから俺は今こんなにも饒舌になってしまったのかな。

 とにかくもうすぐ電車のくる時間だろう。

 この男との会話もあと少しだ。

 キリオは言った。「ところでどうやって死ぬおつもりで?」

「方法ですか?」

「そうです」

「そりゃ決まっているでしょう」男は言った。「駅のホームにこうしてきているんですから、駅のホームにこうしてきているんですから、そりゃ次にやってくる電車に飛び込もうと考えているに決まっているじゃないですか」

「死ぬ場所まで電車で移動するというアイデアもあるでしょう」

「え」

「今駅のホームにこうしていらっしゃっているからといって、ただちに列車への飛び込み自殺が想定されるとは限らないですよ」キリオは続けて「もちろんそれは十分に連想されてしかるべきだとは思いますがね、そのような自殺方法は連想されてしかるべきだとは思いますが、しかしそれ以外の方法もまだまだ考察の余地はあるはずなのです。いいですか、たとえば移動です。あなたにはもしかすると理想の死に場所みたいなものがあるかもしれない。どこかの海、山、思い出の旅館、などなどですよ。ですから今あなたが駅のホームのベンチにこうして座っているのだって、自殺へ続く道程であることは間違いないわけですが、その実際の自殺が今まさに行われるのか、それとも数時間後か数日後に行われるのかはまだまだ謎の領域にあるというわけなんです。まだまだ謎の領域にあるというわけなんですな!」

 キリオは力を込めて言っていた。

 わからなかった。

 しかし人間死ぬ間際になってもまだまだ不確かな要素に包まれている、もう絶対に死のうと思っても、それで死ねるとは限らない。もしかするとキリオは隣に座っている男の話を聞きながら、そして彼を見ながら勝手にそんなことを思っていたのかもしれない。それは何かに希望を抱く行為のように思われる。ただいくら頭の中や胸の奥でそのようなことを考えようとも、覆らないものがある。

 今回のFXの失敗だけはどうしたって覆らない!

「迷惑だとおっしゃるんですか?」男は言った。「もしかしてあなたは今この場で私に電車の飛び込み自殺をされると、自分の出勤に影響が出るからそれはできるだけやめろとおっしゃりたいんですか。っていうか絶対に遅刻になってあとあとややこしくなるから、あんたも社会人なら最後くらい誰にも迷惑をかけずに死ぬ方法を考えたらどうなんだ――こういうことをおっしゃりたいのですかな」

「そんなことは」

「思っているんですね!」そう言うと男は人目もはばからずにがばっとその場から立ち上がって「あなたみたいな人なんですよ! まったくあなたみたいな人がいるから私が割をくらわなくちゃならなくなるんだ。私が割をくらわなきゃならなくなるんだ! 私はもう死のうとしているんですよ。もうすぐこの世の中とさよならをしようとしている人間なんです。そんな人間に対して死ぬときくらいは他人に迷惑をかけるなよ、ですって? 冷たい。正直あなたは何て冷たい人なんだ。あなたみたいに冷たい人がいるから、私のような真面目な人間はいつか自分で自分のことを精算しなくちゃならなくなるんだ。あなた方に負担をかけないためにね! あなた方に迷惑をかけないために!」

 キリオは、そんなに声を荒げられてもな、と思った。

 心は冷静だった。

 たとえ今この男に急にとっくみかかられても、そのほかに何かしらの物理的な攻撃や暴言を吐かれても、自分には特に影響のないことを予感していた。この男からFXというキーワードをきいたとき、彼への興味は最大だったが、そのあとFXという言葉だけが自分の頭の中で旋回するようになって、彼の言動や心のニュアンスなどにはあまり目が行かなくなった。

 なぜならやはり本当にFXでの損失は覆らないからである。

 この男が死のうとも、どのような方法で死のうとも、また家族にどれだけ愛情を注ごうとも、仕事を真面目にしようとも、そして人類史上かつてないほどのあふれんばかりの想像力で、数々の新しい視点を生み出そうとも、FXで出した損失は補われない。FXで出した損失を補てんするためには、FXの業者に求められている額のお金をFXの口座に振り込む以外に方法はない。

 駅のホームに電車がやってきた。

 この電車は、キリオが会社への出勤のために利用しようとかねてから考えていたものではなくて、特急列車だった。特急列車なのであるから、この駅のルールから考えると、電車はこの駅にはとまらずに通過することになる。となればすなわちこの電車は、隣の男にとっての、いよいよついにやってきた自分が飛び込み自殺をするための電車というわけである。

 男はもうすでにちょうどベンチから立ち上がっていたので、列車の通過アナウンスがホームに流れると、線路の方へと歩き始めた。

 歩き始めるのとほぼ同じタイミングで男がキリオの方を振り返って言った。「とめるなら今のうちですよ。今まさに列車に向かって飛び込み自殺をしようとしている私をとめるなら今のうちなのです。でもあなたには無理でしょうね。あなたとは短い会話でしたが、あなたが私のことを全体的にどこかさげすんだ目で見ているのがよくわかりました。あなたは私のことをバカな人間だと思っているのでしょう。それは私も同じです。私も私のような人間はバカで間違いないと思っていますよ。ですが今となってはどうしようもないのです。本当にあのときの私はバカでした。あのとき無理に買いに走らずに、いつものように売りから入って様子を見るという手法を選択していれば、今頃私は借金どころか多額の利益を得て妻にもFXのことを打ち明けられたでしょうに」

 気が付くと小さい、よくわからない書類や置物などで乱雑となっている部屋に通されていた。大きな灰色のテーブルがあり、まだ午前中だろうに蛍光灯がちらついて部屋の雰囲気は暗い。向かい合って駅員のような格好をした男が座っている。自分の隣には、先ほどホームで言い合っていた男が肩を落として座っている。

 状況から考えてここは駅員室だろうか。

 きっと男の身勝手な自殺はすんでのところで失敗に終わって、それでそのことについての反省文や謝罪の言葉を述べさせられるために我々二人はこの部屋へと首根っこをつかまれてやってきたんだ。

 でもどうして俺が?

 自殺しようとしていたのは隣の男だけなのに。近くにいたからかな? この男のそばで俺はずっと話をきいてやってしまっていたから、それで事件の重要参考人みたいな感じで自分もこの部屋へと案内されたのかもしれない。

 何も知りませんよ。

 この男とは面識がないんです。今日初めて話しかけられただけで、この男がFXの失敗を動機に自殺に走ったということしか私は知りません。

 男が駅員風の男に向かって言った。「本当に大変な迷惑ですよ。今日は何てついてない日なんでしょう。まさかこんなにも大変な目に合ってしまうとはね。駅員さんも私の気持ちはわかるでしょう」

「お察ししますよ」駅員風の男は言った。「私ももしあなたのような立場だったら、本当に憤りみたいなものを覚えてどうしようもなくなっているかもしれませんね。身勝手な人というのはどこまでいっても身勝手なものなんでしょうかね。周りの人の気など全然気にならないからこんなことができるのです」

「まったくその通りですよ」男は続けて「電車がホームに差し掛かってくるや否や、急にベンチから駆け出して電車に飛び込もうとするんですからね。何とか私が彼のそでをつかんで必死に止めたからよかったものの、あのまま彼が電車に突撃したらどうなっていましたか? 考えたくもないことですが、肉片があたりに飛び散り、まずいろいろな人の服や肌にそれがかかることでしょうね。そして地面にはいつ消えるんだろう、消えることがあるのかな、というくらいの濃い血痕が残ることでしょうね。もちろんそれだけではありません。結果的には電車を止めることになってしまうわけだから、かなりの額の賠償金のようなものが彼の残されたご家族などに請求されることでしょうね。人の足を止めたんですから。まあ私は素人ですから、実際にどのような経緯でお金が彼の家族に請求されることになるのかということはわかりかねますが、それでもその額がかなりの額にのぼるということくらいは簡単に想像できますよ。つまりはっきりここで申し上げておきたいのは、今朝彼の起こそうとしていた行動が実現していれば、彼以外の人間は多大な被害をこうむっていたであろうということです。本当に誰一人として彼の起こした行動によって幸福になる者などいなかったことでしょう。みんな不幸になります! それでも彼はもうこの世にいないわけだから、誰も責任がとれなくなってしまうんです」

「そう考えるとあなたはもはや英雄ですよ」駅員風の男が何か書類に書き込みながら言った。「この男性の命のみならず、あの場にいたみんなを不幸の渦にはまることから助け出したんですから。まさに大活躍ですね」

「はい」

 はいじゃないだろ、とキリオは思った。

 こいつ。

 こいつお行儀よく返事しやがって。

 どういうことなんだ。なぜ飛び込み自殺を図ったのがあなたではなくていつの間にか俺になっているんだ。しかも自分は飛び込み自殺をしようとしていた俺をすんでのところで止めた英雄だと? いい気になりやがって。俺をバカにするのもいい加減にしろよこの薄らハゲペテン師。

 男は言った。「それにしてもいまどきFXで大損をこくなんて本当にバカな人のすることですよ。私にしてみたら信じられない出来事です。それでしかも彼は死のうとしていたんですからね。こういう自分勝手だからこそFXで大損をこくことができたのかもしれませんけれどもね。普通にやっていたらFXで大損なんてできないですよ。ちょっとの損をすることはあっても、決して借金を背負って自殺に追い込まれるような事態にはならないです」

「じゃあ何かほかに自殺の原因があったんですかね」駅員風の男がぽつりと言った。「FXで負けたとのことでしたが、それは今回の自殺の一つの要因であって、もっと何かほかにも理由があったんじゃないですか」

「いやFXですよ」男がすぐさま答えた。「私はこの人の知り合いでも何でもないですがね、本当に今日ちょっと駅のホームのベンチで隣り合っただけですけれどもね、でも絶対にこの人はFXの大損が理由で今回の自殺に踏み切ることにしたんですよ。だってこの人が私の隣であんまりにも暗い顔をしているもんだから心配になってきてね、それで私、この人に話しかけてみたんですよ」

「その話はさっき聞きましたね」駅員風の男が言う。

「そうですか?」男は続けて「でもそしたら彼は何と答えたと思います? 彼は、見知らぬ人だから言いますけどね、と切り出してきて、このあいだの為替の暴落で大損したことを告白してきたんです。それをきいて私は鳥肌が立ちましたね! ええ本当に鳥肌が立ったかどうかはわかりませんが、正直身震いしました。だって私も彼と同じくFXをやっていた身だったんですから」

 キリオは男の話を聞いていて、やはり俺の知っている事実と違うな、と思っていた。男は自分の話に身振り手振りをつけてなるべくどんなことでも大げさに話す。よくもまあこうも堂々とウソが吐けるものだ。とうとう本格的にペテン師としての才能を発揮してきやがったか?

 とにかく今この男の話していることは俺の認識していた事実とは違う。どこかのタイミングでどちらの認識が正しいのかはっきりしてやらねばなるまいな。

 駅員風の男が言う。「それでわからないんですけど、あなたがFXをやっていることと、この人がFXのやっていることとはどのような関係があるんですか?」

「興味がおありでしょうね!」そう言うと男は満足そうな笑みを浮かべて「では結論から申し上げましょう。結論から申し上げることにしますがね、つまり彼は今回の暴落で再起不可能なほどの痛手を負ったわけですが、私は彼とは逆に、今回の暴落で信じられないほどの利益を上げてしまったというわけなんですよ」

 そして男は駅員風の男に向かって簡単にFXの仕組みと今回のそれぞれの市場に対するアプローチの違いを説明してみせた。

 要はこういうことだった――今回の市場の動きは暴落だった、普通に市場に買いから参加していたキリオのような人たちは、今回の暴落に巻き込まれて、値が下がれば下がるほど損を出してしまい、挙句の果てにはその根が下がるスピードも一瞬でどうすることもできなかったから、損の額をコントロールすることもできずに、ほとんど信じられないような借金を背負うことになったが、私は違う、私は今回売りから参加していたので、買いから入った人たちが損をすればするほど、それと同じだけ自分の預金が増えた、つまり私はこの人とは違い、一瞬にして億万長者になった、ということなのである。

「FXってすごいですね」駅員風の男が言った。「じゃああなたたちは非常に対照的なお二人ってわけじゃないですか。対照的ですよ、対照的。だって一方の方はものすごく儲けたにも関わらず、もう一方の方はそれと同じ分だけ残念ながら損を出してしまったんですからね」

「同じ額とは限らないですけれどもね」男は言った。「市場に投資した額はお互いに違うでしょうから、同じ額得をして損をしたということはありませんよ。でも考えた方としてはそうでしょうね。あなたのおっしゃっていることでよろしいと思いますよ。つまり本当に私は一瞬にして億万長者になれましたし、しかし彼は彼でFXに一瞬にして夢も希望も奪われてしまったというわけなんですよ」

「それでこの人は死のうと思ったんですかね」駅員風の男が言う。

「よくあることなんですよ」男は続けて「本当に借金だけはどうにもならないですからね。借金だけはどうにもできない。だってお金はお金でしか返せないですから」

「そうですよね」

「でもそこで私はもしかしたらと思うんですけれどもね」男は言った。「彼も、今日私とこうして出会わなければ、私のように同じタイミングで市場に参加していたにも関わらず、まったく自分とは逆の成果を上げた人間を目の前にしなければ、彼だってまさか死のうとは思わなかったんじゃないですかね。私の存在が、精神的に弱っていた彼に追い打ちをかけてしまったという可能性があると思います」

「あなたは何も悪くないですよ」駅員風の男が言う。「あなたは何も悪くないじゃないですか。立派に市場の動きを予測して速やかに最大限儲けただけですよ。悪いのはあくまでも隣の人だけなのであって、彼だってあなたと同じように儲けるチャンスだってちゃんとあったわけでしょう?」

「そのように言ってもらえると助かりますね」男は言った。「もちろん彼も売りをやればよかったんですよ。私と同じようにあのときの相場で売りをやっていれば、今頃私たちは友達だったかもしれません。同じFXで一瞬にして億万長者になったもの同士でね」

 二人が笑顔になった。

キリオは彼らが話しているのをじっと黙ってきいていた。

このまま彼らの話をきいていると、そのうち男の方から駅員風の男に対してFXの授業でも始まるのではないかと思われるほどだった。

 もはやどのようにして彼らの話を訂正すればいいのかわからない。何事もさも当たり前のように話している隣の男の言動が出てら目で信じられないものであることはある程度予想がついていたので特別驚くことはなかったが、ここへきてこの駅員風の男も駅員風の男で信じられない。

 あなたは何も悪くないですよだって?

 男の発言をまるごと素直に信じてしまうので、まるで男の発言だけがこの世の中で起こった本当のことのように思える。

 この場に自分という存在さえなければ、世界は完全にこの二人で出来上がってしまうんじゃないだろうか。

 いやもしかしてそうなのか?

 正しいのは常に彼らの方で、初めからどうかしているのはもしかして自分だけなのか?

「それで我々はこの後どうなるんです?」男が駅員風の男にたずねる。

「そうですね」駅員風の男は言った。「あなたのおかげで彼は死なずに済み、かつ電車も止めずに済んだわけですから、表面上は何も起こっていないと同じですよ。表面上は、今日の朝もスムーズに電車は運転されたということになっているんです。ですからどうということはないはずですよ。これから私たちがあなた方をどうするというつもりはありませんね。このままお引き取りになっても結構ですし、もう少し一服して帰りたいというのであればどうぞご自由に」

「ああそうなんですか」男は言った。「てっきり私は何か今回の出来事を記録に残して、そしてそれをあなたは自分の上司に報告するものだと思っていましたよ。仮にも自殺が図られたことは確かなんですからね。もちろんそれは私の勇気ある行動で未然に防がれたわけですが、しかしまたしてもFXのせいで今日も鉄道会社に多大な迷惑が生じるところだった。鉄道会社としても、このような問題はどのようにとらえているのですか?」

「どういうことです?」駅員風の男が言った。「つまりホームに突っ込んでくる電車の力を利用して自殺しようとしている人たちのことを、我々がどのように感じて思っているのかということですか?」

「まったくそのとおりです!」男は言った。「一度そこのところの意見もお聞かせ願いたいですな」

「そんな意見なんて何も」

 駅員風の男はそう言うとバツの悪そうな顔をして「我々に意見なんてものは存在しないんですよ。電車への飛び込み自殺を考える人だってね、別に電車への飛び込み自殺がしたくてそうしているわけではないと思うのです。ただ死にたいから何か方法はないかと考えて電車を選んでいるわけでしょう? 別に電車は何も悪くないじゃないですか。あと今回のことは一応書類にまとめさせてもらっていますので、もちろん会社全体で把握して今後の事故撲滅のための資料として活用させていただきますよ」

「ごもっともですな」男はそう言うと、目の前に出されていたお茶をすすって「では我々もこれで退散することにしましょう」

 キリオはずっと思っていた。

 どうすればいいのかわからないと。

 本当にこのような場面に際して自分がどのような振る舞いをすればいいのかわからない。そして今何が起こっているのかもわからない。何が起こっているのかもわからないままに何かが終わろうとしている。

 彼はここまで自分の理解できないことが目の前の起こるのは初めてなのではないだろうかと考えた。

 理解したくないことが起きることはよくある。

 試験に落ちたり事故にあったり身近な人の誰かが死んだり。

 しかしこれは一体何なのだ。

 今自分が置かれている状況というものは果たしてどういうものなのだろう。自分の全然知らない事実がさも本当のことであるように見知らぬ男たちの会話の間だけで成立して進んでいく。彼らの話をきいていて、いやそんなことないのにな、とか、何を言っているんだよバカじゃないのか、と思うことはあるけれども、それが実際の世界に反映されることはないし、それが実際の世界に反映されないことをいぶかしがる人は、自分以外には誰一人としていない。

 別にそのこと自体はそれでいいと思う。そう、それならそれで別に構わない。

なぜなら大切なのは、そのような状況に巻き込まれたときに、自分がどうすべきなのかということだからだ。何が起こるかわからない世の中でいよいよわけのわからないことが起きたのだ。想像できないようなことが起こるであろうとかねてから想像されていた。だから本当はこの状況に特におかしなことなど何一つない。

 ただどうすればいい。

 俺は何をすればいいのだろうか。こんなことになったことがないから、今どうすべきなのか自分にはっきりとした指針がない。妙に落ち着いて入られるけれども、だからといってそれで何かが変わって行くわけでもない。

「帰るんですか?」キリオは言った。

「ええ、帰りますが」男はそう言うとカバンにかけてあったマフラーに手のをばしてそれをクビにまき始める。どうやら彼の言葉に嘘はないようだ。

「ちょっと待ってくださいよ」

 キリオは男に向かって言った。「せめて最後にお名前だけでもきかせてもらえませんかね。勝手かもしれませんが、こうしてあなたと会ったのも何かの縁だと思うのです。ですからもしお名前だけでもきかせていただけるのであればありがたいのですが」

「いや名乗るほどのものではございませんよ」男はすぐに言った。「それに私の名前をきいたところでどうしようっていうんです? 我々はもうこれっきりの関係なのではないですかね。もう今日という日以外にあなたと会うことはないでしょう」

「それはそうかもしれませんが」キリオは言った。「だからこそなんです」

「だからこそ?」男が言う。

「そうです、だからこそなんです」キリオは続けて「もうあなたとお会いすることがないかもしれないという予感は私もしています。私もその結論で納得しています。しかしだからこそ、もう会うことのない人だからこそ、私はあなたの名前をきいておきたいのです。あなたの名前をきくことによって、今日という日がより特別な日になるんですからね。あなたの名前を教えてもらえれば、私は今日という日をいつか思い出すとき、あなたの名前も思い出してぐっと記憶が鮮明になることでしょう」

「あなたに協力することはもううんざりなんですよ」男は言った。「私がもうこれ以上あなたの何かについて貢献することはないでしょう。たとえ名前一つとってもです。たとえ名前一つとっても、私はもうあなたの何かしらに貢献してしまったという事実が嫌で嫌でたまらないんだ」

「どうしてなんです?」

「負けた人間に用はないからですよ」

「名前は確かにありますよ!」キリオと男のやり取りがうまく行っていないところに、駅員風の男が唐突に叫ぶように言った。急に思いもよらないタイミングで第三者の声が聞こえてきたのでキリオはびっくりした。駅員は続けて「ありますよ、心配しないでください、ありますよ。彼にも名前はあるのです。私は彼とこれまであなたの今回の電車飛込み未遂の件についていろいろと話し合ってきたのです。その中で私は彼の名前を確かにききましたね。彼の口から、私の知らない名前が出てきたところを私は確実に目撃したのです」

「では教えてくださいよ」キリオは男に向かって言った。「駅員さんには教えたんでしょう。それなら私にだって押してくれてもいいじゃありませんか。そんな名前を他人に教えたところで、減るもんじゃあるまいし」

「ところが減るんですな!」男はそう言うと手に持っていたカバンを椅子の上にドスンと威嚇するようにおいて「減るんですよ。それが減るんです。運気ともいうべきものなんですかな、運気ともいうべきものが、あなたのような負け犬に名を言ってしまうと見事に減ってしまうんですよこれが。だから私はあなたのような人には自分の名前など語りたくはないんだ」

「名前くらいいいじゃありませんか」駅員風の男が言った。「名前くらいその男に教えてあげてもいいでしょう。そんな名前を他人に教えるくらいで減ってしまう運気など、そもそも大したものなんかじゃないと思いませんか」

「あなたには関係ないでしょう、駅員さん」男はそう言うとイスの上に置いたカバンを再び手に取って「もう行きますよ。私には仕事があるんです。FXで大勝ちしてもね、別に私は仕事を辞める気はないんですよ。大金を稼ぐことと、世の中で働くということは、少なくとも私にとっては全然違うことなんです。ですからこういうこともいえるでしょうね、たとえこの男と立場が逆だったとしても――つまり私が今回の相場でFXで大負けをしていたとしても、まさか電車に飛び込み自殺をしようなんて考えにはいたらなかったことでしょう! だって私にはたとえ借金を背負ったとしてもやらなければならない仕事が山のようにあるんですからね」

「私にだって家族がありますよ」キリオは言った。「私にだってたとえFXで負けたとしても、それでもうすべてがどうでもよくなってはならない理由があるんです。それは家族です。私には一生をかけて守るべき大切な家族があり、それはたとえFXのようなもので大きな失敗をしたとしても、私の中でのその重要度が揺らぐことはありません。あなたのように仕事じゃないかもしれませんがね。あなたのように多くの人に必要とされているような、まあどんな仕事かはわかりませんが、さぞ立派なお仕事なんでしょうね、そのような素敵なお仕事をしているわけではありませんけれども、しかし家族がいるんです。幸せな、小さな、そして今やっと手にしたばかりのささやかな家族があるんですよ」

「ではあなたの奥さんは世間の笑いものですな」男が冷静に言った。

「なんだって!」

「それからあなたのお子さんも」


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