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白天井
ぐるりとまわる天井の白さをいつまでも記憶していたかった。
わたしはわたしでわたし以外にはなれないと信じていたあの頃に帰りたい。
わたしはわたしの知らない表情でわたしじゃない時間を過ごす。
じわじわとわたしじゃないわたしが侵食してきてほら、わたしはわたしじゃないのと朗らかに笑うのだ。
ぺらりと薄っぺらいベールごしの知らない世界でわたしはわたしじゃないわたしに馴染んでく。
誰もが薄っぺらいベールごし。
触れるのも清潔なベール。
誰も踏み込まない。
誰も見ない。
だって差なんてベールの模様ぐらいでしょ?
誰も踏み込まない。
誰も興味を持たない。
わたしじゃないわたしはどうだったんだろう?
わたしは踏み込めた?
わたし、いつから影法師?
赤い三日月が笑ってる。




