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僕のいっぽ
僕は一歩を踏み出した。
ぐらぐらと揺れる世界はずぅうとひろくて広くて眩しかったよ。
大きな影がひゅっと来て僕は空へ舞い上がる。
すごくすごく高かった。僕のおうちはあっという間にまぎれてしまってすごくかなしいんだ。
嬉しいも眩しいもコワいも僕は知った。
僕は生きたよ。
僕は一歩外に出たんだ。
世界はずぅうとひろくて僕はその中に揺れるちっぽけなひとつ。
僕はちっぽけだけど、僕は大きなひとつの一部なんだ。
こわくなんかないよ。
だれかの一部になる。
僕は僕じゃなくなる。
僕は僕でいたいよ。
僕は僕のままがいいんだ。
僕はまだ生きたいよ。
僕は、いきたいからこわいよ。
 




