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よるのか
ひらゆらと降りる夜の風。
冷たく当たる風は甘い香を含む。
風上を見やれば影が佇む。
不安げに揺れる君に手を伸ばす。
「待っていたよ」
影の内側から真白の指先が現れる。
ひらゆらと降りる夜の風。
ひとつ誤れば死を招く危険。
君の手を取ろう。
あまやかな危険の味を。
人生は賭博場。
いつだって危険な綱渡り。
命綱はとうに切れている。
運命は危険な賭け。
心は揺らぐ。
運命も揺らぐ。
未来は定まらない。
ひらゆらと降りる夜の風。
「共にいこう」
先を約束などできない。
縛られたくない。
縛りたくない。
それでも今は。
今この時は。
君を選ぶ。
あまやかな危険の香。
その君の微笑みが風に紛れる。




