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ポイント
青墨が朱墨を塗りこめていく
かたたん
かたたん
かたたん
かたかたかたたん
放送は
ぼわりとまくの向こうから
聞こえてくるよう
かたたん
かたたん
しゅー……ん
視界はいつの間にか蒼空
くらい
くらい
駅の中を
幽霊みたいにさまよって
光を求めて足を動かす
ひゅぉおおお
しゅーっと走りゆく車体を見送り
カタイ構内を歩く
カカトが階段を押し跳ねる感触
階段をのぼりきれば
ざわめきと電飾の世界
誰も誰も気にしない通りすがり
ヒトがいても
誰も気にしない
誰も見ていない
ブーツがアスファルトを蹴る
引きずりそうな足を動かす
君が待ってる
「おかえり」
「ただいま」
君が待ってる場所が
帰る場所