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飢餓
けだるく前を見る
白いシーツはヨレている
目の前の毛玉はゆるやかな上下を繰り返し私に安堵感を与えてくれる
私は目に映るものを見る
天井の板目が私を見下ろしている
動くには気力が足りない
気合いで動くには体力が足りない
足りない
足りない
不足ばかり
私は何かが欲しいのだろうか?
足りないなら
満たされたい?
違う
違うということだけわかる
わからないのに
欲しいわけじゃないことがわかる
欲しいわけじゃない
欲しくないわけじゃない
わからない
私は欲してるの?
それとも
私はいらないの?
迷いたい
出口を知りたい
迷路から出たい?
中と外
どちらがこわい?
手を伸ばさない
欲しない
それでも
飢えた手を伸ばさないではいられない
私は何を求めてる?
何を求めて手を伸ばす?
わからない
わからないことがわかる
得られない何かを求める
何を求めるのかも知らぬまま
欲深く貪欲な私は
飢えを癒すための手を伸ばす
いつか
この飢えは満たされるのか
満たされる日を求めているのか
ああ
わからないままこの飢餓に惑い笑う




