021:肉
【閲覧注意】
今回のお話は、屠殺のような描写が出てきます。
最低限にはしたつもりですが、苦手な方はご注意ください。
次の投稿はいつになるだろうか。おそらく、今月中には出来ると思いますが、、、
はやる気持ちを抑えて石を削っていく。焦って失敗してはいけない。かといって、悠長にしているのも駄目だ。早く血抜きをしないと肉が臭くなってしまうと、生前にどこかで教わったような覚えがある。せっかくの肉はおいしく食べたいじゃないか。
そうして出来上がった打製石器は、お世辞にも上出来とは言い難いものだった。とりあえず鋭くはなって、ナイフとしての機能は果たせなくはない、程度のもの。まずはそれで構わない。石器を殻の中に放り込んで、タヌキの死骸を川へと持って行く。
それから僕は、夢中になってタヌキを捌いた。
まずは首を切り落とそう。いや、時間が掛かるかな。タヌキの首は細いけど、骨がなかなか堅いのだ。トドメを刺した時、ちょうど首に大きく穴が開いたことだし、血抜きしながら首を落とそう。
蔦を使って低木に後ろ足をくくりつけ、逆さまにして血を抜く。頭を水に浸しながら、石のナイフでゴリゴリと首を切断した。
ふう。なかなか重労働だな。ナイフも段々切れ味が鈍くなっているような気がするし、食事を終えたら石ナイフを量産しないと。
日用品や武器、道具、その他諸々。快適な生活に必要なものたちはまだまだ足りていない。このタヌキも、食べられるところ以外も何か活用できないか考えてみよう。
切断した頭を横に置いて、尻尾も落として毛皮を剥がす。すると、ピンク色に輝く肉が顕になった。すでに美味そうだ。丸呑みでいけるかな? いや、大きすぎるな。魚くんとはサイズが違うや。きちんと捌いてからだな。
お腹を開いて、中身を取り出す。内臓はさすがに熱処理しないといけないかな? 生の川魚も食べちゃったし、今更気にすることないか。内臓だけでも新鮮なうちにいただこう。
まずは心臓かな。いただきまーす。
……美味い。やはり美味い。血生臭い上にぐにぐにとしていて、人間だったころの味覚ではおよそ食べられたものではないだろう。しかし、美味いのだ。味や食感、見た目の善し悪しには全く関係なく、ただ美味い。
僕はその後も、脇目もふらずに内臓を食べた。関節を脱臼させ、四肢を切り落とし、食べた。頭も、尻尾も食べた。真っ白の殻を赤くして食べた。結局、残ったのは毛皮だけだった。
《称号【狩人】を獲得しました》
《称号【狩人】により、アビリティ【気配察知】を獲得しました》
満たされた時間だった。食事らしい食事とは、このことを言うのだろう。空腹を満たすために食べるのではなく、食べること自体を楽しむ感覚。何かを食べて、これほど満たされた気持ちになったことは今までに無かった。下手をすると、生前を含めても無かったかもしれない。
しかしながら、食べ終わって冷静になってみると、ちょっと考えなしだったなあ。誰が出てくるかわからないような川沿いでのんびり食事なんかしていたら、他の生き物に食事を奪われていたかもしれない。ひょっとすると、身の危険もあったかも。素早く捌いて、住処に戻ってからゆっくり食べるべきだったな。反省しなければ。
さて、残った毛皮だ。実は、この毛皮については既に用途が決まっている。
文化的な生活の第一歩、衣食住。その内の「住」に関してだ。
住処とは、寝床とも言う。つまり、住居の基本は寝ること。肝要なのは寝具である。一日八時間眠るとして、人生の三分の一は睡眠に費やしているのだ。それくらい、寝るのは大切だ。重要なのだ。したがって、毛皮は布団にする。決定事項なのである。
しかし、そのままの状態の毛皮は、すぐに腐ってしまうと聞いたことがある。皮の内側に、肉や脂肪がこびり付いているからだ。さすがに、皮をなめすにはどうしたら良いかなんて知らないけど……とりあえず、付着している肉や脂肪を削ぎ落として、煙で燻っておけば大丈夫だろう。
タヌキを捌くのに使ったナイフは、刃の部分がガタガタしすぎている。これでは布団に穴が開いてしまうだろう。良くない。実に良くない。新居の布団に穴が開いているなど、許されることではないのである。
ということで、住処に戻ってきた僕は、ナイフのガタガタをなんとかするべく、石を磨いている。
大自然の森の中に紙ヤスリだなんて気の利いたものは無いから、作業台にしている大きな石に直接擦りつけている。二時間ほど磨き続け、満足できるものが完成した時には、部屋中がすっかり焦げ臭くなってしまっていた。
燻すとき、火をどうしようかと悩んでいたけれど、これならなんとかなるかもしれない。
お手製の磨製石器ナイフを使い、毛皮の裏の脂を落としていく。破かないように慎重に、絶妙な力加減で。赤かった毛皮が、真っ白になるまで作業を続け、火を起こすための薪を探すため、再び外へ出た。
日はかなり傾いており、夕焼けのまぶしい時間帯になっていた。もう直に夜になっちゃうじゃないか。急がないと。
大小様々な、乾燥した枝を集めてきた頃には、日が落ちきる直前だった。
無事に住処まで戻ってこれて安心だが、やることはまだ沢山ある。明るさの残っている内に、大急ぎで準備しなくては。
横穴の出入り口のすぐ横に、大きめの枝をいくつか使って物干し竿を作る。平行棒のようにして二つ作り、毛皮をセットする。その真下に薪を組んでいる内に、辺りは完全に真っ暗になってしまった。【暗視】のお陰で作業をするには苦労しないけど、夜行性の獰猛な動物とか、いないよね……? 火を起こせば、動物は近寄って来ないよね……?
若干不安に思いつつも、枝を削り木くずを出し、作業台を石で擦って着火、なんとか焚き火を起こすことに成功した。
殻の中にはまだまだいっぱい薪が残っているから、寝てしまったり雨が降ったりしなければ、今晩中は火を焚き続けられるかな。
僕は、お布団の出来上がりを楽しみにしながら、夜通し、火に薪を焼べ続けた。
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個体名:なし Lv.10/30
種 族:魔物のタマゴ+1
HP :71/129
MP :39/43
攻 撃:133
守 備:237
魔 力:43
精 神:51
速 さ:83
ランク:F-
スキル:
【ステータス閲覧 Lv.5】【体当たり Lv.6】【踏みつけ Lv.5】【集中 Lv.4
】【回し蹴り Lv.4】【殴打 Lv.3】【気配遮断 Lv.3】【不意打ち Lv.3】【
見切り Lv.3】【投石 Lv.4】
呪文:
アビリティ:
【進化の可能性 Lv.-】【超成長 Lv.-】【食材の見分け Lv.4】【消音 Lv.3
】【槍術 Lv.3】【暗視 Lv.3】【気配察知 Lv.1 NEW!】
耐性:
【打撃耐性 Lv.5】【毒耐性 Lv.4】【水耐性 Lv.4】【土耐性 Lv.3】
称号:
【異世界人】【採集家】【釣り師】【穴掘り名人】【狩人 NEW!】
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