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014:漁夫の利を求め

 正直、想像以上だ。

 僕の思っていたよりも今の僕の体はパフォーマンスが良い。手が生える以前の僕とは比べものにならない戦闘力だと、断言できる。それが体感できるほど、進化キャンセルによる恩恵は大きなものだと思える。

 転生してすぐの僕はまともな攻撃手段がなかった。攻撃手段を手に入れた今となっては、よく今まで生き残ってこれたとすら思う。大きな生物たちに見つかっていたら、一巻の終わりだっただろうに……ホント、よく死なずに済んだよ。つくづく自分の運の良さに感謝だ。


 何が言いたいのかというと、つまるところ、今の僕には今まで無かった力がある。戦う、力が。それは、今までコソコソと逃げ回っていた相手に、たとえばフォレストウルフやレッドボア達に、対抗する手段が出来たと言うことを意味していた。ただ、対抗する手段とは言っても、今のこの状況では如何とも言い難い。今の僕の力であいつらに対抗できるかは未知数だ。

 だからこそ、今このタイミングで、僕は自分の力量を試すべきだと思う。


 フォレストウルフに、挑もう。


 ここら一帯で僕より大きな生き物は三種類居た。フォレストウルフ、レッドボア、ミニサンドドラゴンだ。これらの中では、フォレストウルフが一番与しやすいだろう。フォレストウルフはその三種の中で最も小さく、レベルもランクも低いのだ。外見と、謎のステータスしか判断材料が無いのがいささか不安ではあるけれど、この三種の中なら断然フォレストウルフだ。

 しかし、フォレストウルフは群れをなして生活している。観察していると、狩りをする時にも連携して居る様子が窺えた。フォレストウルフが相手取るに適していると判断したのは、あくまで個体として見た場合である。僕よりランクの高い相手に、しかも多勢に無勢で立ち向かおうとはいくら僕でも思っていない。僕が狙うべきは、群れからはぐれた一匹狼だろう。

 そういえば、生前に聞いたことがある。「一匹狼」というと孤高なイメージがあるけど、実際には一匹で居る狼というのは、リーダー争いに敗れて群れを追い出された、いわゆる負け犬なのだそうだ。この世界のフォレストウルフが地球の狼と同じ生態を持っているのかは分からないが、群れで生活する犬っぽい連中と考えれば大差のないことだ。

 一匹狼が手傷でも負っていればラッキーだな、なんて思いながら、僕はフォレストウルフを探し始めた。


 フォレストウルフを探し、ぶらぶらと歩く。あいつらは体がでかい。必然的に、獣道のような広くなっているところを移動する。藪の中などにはあまり入ってくることはない。獣道に沿って移動していれば、すぐに見つけられることだろう。とはいえ、僕がフォレストウルフに見つかっては危険になるので、僕は藪や草むらの中に入っての移動となる。今までも同じ方法で乗り切っては来たが、今は僕の体はだいぶ大きくなっている。上手く隠れられるかは不安なところだ。

 そうして十分ほど歩いただろうか。レッドボアを二度ほどやり過ごして、フォレストウルフの群れを発見した。

 群れの狼は全部で十二体だ。そのすべてを【ステータス閲覧】で見てみる。


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種 族:フォレストウルフ Lv.22/40 [骨折]

ランク:E-


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 群れで一番レベルが高いフォレストウルフが22レベルだった。こいつがボスだろうか。その傍らには次いでレベルの高い、21レベルのフォレストウルフが侍っていた。こいつらもしかしてカップルか? リア充なのだろうか。爆発してしまえ。

 狼は弱いのでも十代前半くらいはレベルがあり、一桁のフォレストウルフは居なかった。相変わらずステータス自体は見ることが出来ないが、この群れに僕が無策で突っ込んだら間違いなく太刀打ちできないだろうことは明白だ。

 今は群れは食事中であり、僕に気付くそぶりは見せていない。肉塊を仲良くむさぼっている。餌となっているのは、レッドボアだろう。いつも見かけるようなのよりも小柄だ。まだ若いレッドボアを狙って狩るのだろうか。この数だ。戦闘になれていない若い生き物では、いくらランクが高くても負けてしまうものなのかもしれない。

 食事を終えた狼たちは、互いに顔や体をなめあっている。狼の中には血を流している者も少なくなかった。ボス狼もそのうちの一匹で、右の後ろ足に怪我をしているようだった。今日の糧を得るために、壮絶な戦いがあったのだろうことは想像に難くない。

 その傷を癒すためだろうか、代わる代わる狼たちがボス狼のことを舐めている。

 仲良さ気なフォレストウルフたちを見ていると、心が揺らいでくる。しかし、僕はこいつらを殺すために観察しているのだ。いざというときのために、気持ちを固めておかなくては。


 狼たちが休憩しているところに、新しく狼が現れた。

 【ステータス閲覧】で見てみよう。


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種 族:フォレストウルフ Lv.21/40 [飢餓]

ランク:E-


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 ステータスを見ているうちに、ボス狼が出てきて新参狼を睨んだ。群れの他の狼たちは、威嚇はするものの、黙って自分たちのボスを見送っている。リーダー争いが始まるのだろうか……

 だとしたら、チャンスである。負けた方はおそらく群れを去るのだろう。そうすれば僕はそれを追ってトドメを刺すことが出来る。

 新参狼はボス狼よりレベルは低い。普通に考えたらボス狼に軍配が上がるだろうが、ボス狼は狩りによって傷を負っているようだ。勝負はどう転ぶかわからない。僕は息をのんで行く末を見守る。


 両者は睨み合って、互いの隙をうかがっている。

 先に動いたのは新参狼の方だった。新参狼は走り出したかと思うと、猛烈な勢いでボス狼に飛びかかる。ボス狼も牙を剥き出し、それに応戦している。両者は二、三度打ち合うが、ボス狼は足が使い物になっていないようだ。新参狼の攻撃に追いつかない様子だ。

 ボス狼はそのうちに追い詰められ、首に食らいつかれた。

 きゃいんっ、と情けない声を上げて、ボス狼は腹を見せて転がった。負けを認めたのだろう。


 新参狼は口を離して歩き出す。腹が減っていたようで、レッドボアの肉塊に口をつけ始めた。その様子に、他の狼たちは動揺しているようだった。

 ボス狼はいたたまれなくなったのだろう。立ち上がり、群れを去っていった。


 ……って、「去っていった」じゃないよ。今のボス狼は満身創痍だ。僕でも倒せる見込みはある。追いかけないと。

 ちょうど良く一匹狼を見つけることが出来た僕は、そのしょぼくれた背中の後をつけるのだった。

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個体名:なし Lv.1/30

種 族:魔物のタマゴ+1

HP  :91/91

MP  :34/34

攻 撃:74

守 備:156

魔 力:34

精 神:39

速 さ:48

ランク:F-


スキル:

【ステータス閲覧 Lv.5】【体当たり Lv.6】【踏みつけ Lv.5】【集中 Lv.4】【回し蹴り Lv.4】【殴打 Lv.2】


呪文:


アビリティ:

【進化の可能性 Lv.-】【超成長 Lv.-】【食材の見分け Lv.4】【消音 Lv.3】


耐性:

【打撃耐性 Lv.5】【毒耐性 Lv.4】【水耐性 Lv.4】


称号:

【異世界人】【採集家】【釣り師】


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