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011:はじめての進化……?

 進化可能となった。

 僕が待ち望んでいた人間への道の第一歩である。どれだけ待ち遠しかったか。どれだけ心待ちにしていたことか。しかし、ここまで早く進化できるとは思っていなかった。「ようやく」と「もう」が綯い交ぜになった複雑な心境だった。

 とはいえ、喜ばしいことであるのに変わりはない。ここから、僕の人間へ至る道が始まるのである。この世界の人間はどんな風に生活してるんだろう。今から楽しみで仕方がない。

 なんて浮かれてはいるが、さすがに一足飛びに人間になれるとは思っていない。このサイズだし、何度か進化を重ねないと人間ほどの大きさにはなれないだろう。

 タマゴということも気になる。人間は哺乳類で、胎生だ。卵生ではない。このまま人間になれたら、それはそれでショックだ。


 とりあえずは、倒したフォレストトラウトを腹に収める。

 やっぱり美味しい。鱗つきの魚を丸呑みしても、人間だった頃の僕は美味しいとは思わなかったのではないだろうか。味覚が人間離れしてきていることを自覚して、若干焦る僕。

 だけど、そんな不安ともおさらばできるんだ。僕は人間になるんだ。人間への道を、今から歩み始めるんだ。そのために進化するんだ。


 よし。進化するぞ! ……で、どうやって進化すればいいんだろうか。何に進化するかとか、選べたら嬉しいんだけどなあ。


《アビリティ【進化の可能性】により、進化先を選択できます。》

《進化先一覧を表示します。》


 お。やった。このアビリティ、最初から持ってたやつだよな。アビリティにより、ってことは、普通は選べないってことだよね? それならほんとにラッキーだったな。僥倖といってもいいくらい。いやー、君には期待してたんだよ。名前が仰々しいしね。今まで特に何も無くってなりを潜めてた感じだけど、進化する段になって実力を発揮してきた。いやー。仕事人だね。いぶし銀だね。

さてさて、進化先は、と……


《以下から選択してください。》

《ミニチュアレッサーブラックアント ランク:H-》

《ミニチュアレッサータランチュラ ランクH-》


 待って。待って待って。

 いったん落ち着こうか? 進化先、虫じゃん。しかも、どっちに進化してもランク下がるってどういうこと。それ進化じゃなくて退化だよね。

 うわー、虫かー。それはちょっと考えてなかった。せめてもっと動物らしい動物になれると思ってたよ。進化先の片っぽは僕がプチプチ潰してたあのクモだよね? いや、死ぬよ。進化したとたん死ぬでしょ。もう片っぽもミニチュアってついてるし、似たようなサイズでしょ? 死ぬよ。死ななかったとしても虫として生きるなんて嫌だよ。絶対その先進化していっても、人間になれる未来なんて思い浮かばない。


 ちょっと楽観的すぎたかなー。こんなにひどい選択肢しか与えられないなんて。

 あーあ。期待してただけに落胆も大きい。進化したくないなー。どっちも選びたくない。


《進化をキャンセルしますか?》


 お? 進化キャンセル? できるの? Bボタンを押すとビックリして進化をやめるやつだよね?

 ……それもありかもしれないな。もしかしたら、スキルレベルとかステータスが上がったら進化先も増えるかもしれないし。いやいや、次に進化できる機会なんていつ来るかわからないぞ? チャンスを逃すのは良くないよな。かといって虫に進化するというのも。ランクも下がるし。うーむ……


 僕は悩みに悩んで、結論を決めた。

 進化キャンセルだ。

 確かに、次にいつ進化できるチャンスが巡ってくるかか分からないし、レベルも今の状況では打ち止めになっている。でも、虫に進化するよりは今の方がまだ人間に近いような気がするし、何よりも、進化先はどちらも死の危険がある。死んでしまったらおしまいだ。今は進化は我慢して、命を長らえさせることを優先したい。


《進化をキャンセルしますか?》


 はーい。キャンセルしたいでーす。


《進化がキャンセルされます。》

《進化キャンセルに伴い、個体〈魔物のタマゴ〉が〈魔物のタマゴ+1〉となります。》


 なんだって? 進化キャンセルって、ただ単に進化をキャンセルするだけではないってこと? +1ってどういうことだろう。

 そんな風に疑問に思っていると、急激に体の内側が熱くなって意識が薄れていく。まずい。寝る前に草むらの中とかに隠れないと……


 草むらにつくと同時に、僕は意識を手放した。


《進化がキャンセルされました。》

《各種ステータスが上昇しました。》

《熟練度にボーナスがつきます。》

《スキル【ステータス閲覧】がLv.5に上昇しました。》

《スキル【体当たり】がLV.6に上昇しました。》

《スキル【回し蹴り】がLv.4に上昇しました。》

《アビリティ【消音】がLv.3に上昇しました。》

《耐性【打撃耐性】がLv.5に上昇しました。》





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個体名:なし Lv.1/30

種 族:魔物のタマゴ+1

HP  :91/91

MP  :34/34

攻 撃:74

守 備:156

魔 力:34

精 神:39

速 さ:48

ランク:F-


スキル:

【ステータス閲覧 Lv.5】【体当たり Lv.6】【踏みつけ Lv.5】【集中 Lv.4】【回し蹴り Lv.4】


呪文:


アビリティ:

【進化の可能性 Lv.-】【超成長 Lv.-】【食材の見分け Lv.4】【消音 Lv.3】


耐性:

【打撃耐性 Lv.5】【毒耐性 Lv.4】【水耐性 Lv.4】


称号:

【異世界人】【採集家】【釣り師】


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