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 暖冬暖冬と世間では言っていたのに雪が降った。ぱらぱらとした雪ではなく、ざっくりと積もりそうであった。

 僕は、胸騒ぎがして目が覚めた。なんだか、家に向かって誰かがやってくるような気がしたのだ。すると、しばらくして。ドアのチャイムが鳴った。

 僕は、居留守を使うことにした。こんな朝早くから人が訪ねてくるのは僕の家ではありえなかったからだ。僕は、ネット通販は使わないし、懸賞も送らない。だから、こんな時間にくるのは僕としては想定外なのである。

 何回かドアのチャイムが鳴った後、ドアをものすごい勢いで叩き始めた。最初はゆっくりと叩いていたが、最終的には勢いよく叩き始め、多分最後は足でドアを蹴り飛ばしてから帰っていったようだった。

 僕は、何かしたのだろうか。いや、してはいない。たいていこういうケースは二つで、借金取りが借金の回収の催促にくるか、暗殺者に命を狙われる時という風に相場で決まっている。

 僕としては、前者の可能性はないわけで(もちろん大学は奨学金という名の借金をして通っているが、さすがにここまで露骨な回収は行わないだろう)、後者としての可能性がどうやらあるような気がした。

 

 僕は、2時間くらいして恐る恐る自室の玄関のドアに向かった。ドアについている小さいな覗き穴から外を見たが、誰かがいるような気配はなかった。ゆっくりと玄関のドアの鍵を開けた。いつもはサクッとあけるドアも、この時はゆっくりあけ、ギギギという重たい音ともにドアが開いた。

 あたりを見回したが、誰もいなかった。そして、ドアを見るとやはり蹴ったであろうあとが下のほうに残っていた。僕は少し怖くなったが、一旦部屋に戻ることにした。

 

 その日の午後から大学の英語の講義があったが、僕はそれを受けるのをやめて家で寝ていることにした。背中は気がつけば、2月というのに、汗でぐっしょりとなっていた。

 夜に、僕のスマホに連絡がきた。見知らぬメールアドレスだった。

 開いてみると、しんぷる教の彼女からだった。どうして僕の連絡先をしっているのかと考えたが、そういうえば前回あった去り際に連絡先を一方的に渡していたことを思い出した。

【今朝、変な男が来なかった?】

 僕は、【きましたよ。玄関のドアをガンガン叩いた後、玄関のドアを蹴っ飛ばして帰られました】と返した。

 5分後くらいに返信が来た。

【やっぱり……いよいよ彼らが動き出したみたいね。明日、このURLの喫茶店に来て。安心して。そこは私のいきつけの喫茶店だから】


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