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 翌日。

 僕は、あの後、普通に別れて自宅に戻った。返事はしたものの、しばらくの沈黙ののち、彼女が「あたし帰る」といって、そっけなく自宅に戻ったのだ。

 僕は恋愛経験なんてもちろんないからあれだけど、昔見たドラマで、男女が涙の決断をしたのち、なぜかベットシーンになるドラマがあった。普通に月曜日の9時というゴールデンタイムにそんなものが始まるものだから僕はテレビを凝視できなかった苦い経験がある。

 しかし、視聴者のいない場面だと、なぜだか悔しくなった。人間というのはそういうものなのかもしれない。


 しんぷる教という集団は事実上、分解された。その後、この事件は単なる集団自殺であると断定された。ミニブログに書かれた内容が本当ならば、あの集団自殺の自殺者の中に犯人がいる。現在の日本の警察の力をもってすればそれくらいの状況を予測することは可能だったはずなのに、なぜか集団自殺と判断された。いや、これは僕の推測のしすぎだろう。結局のところ、犯人は既に死んでいる。どちらにせよ。

 そういえば、あの未来から来た、未来の僕の友達と言ったFの望む結果になったと思った。きっと、彼は彼で裏で色々としんぷる教を追っていたのだろうか。結局、彼にはあれ以来会っていない。僕の未来の友達と言った奴。僕は一生友達などできないと思っていた。別に見た目がとか性格とかで友達ができないのではない。本当に友達がなぜかできないのだから仕方あるまい。未来においてこの運命が変わるなら僕は、少し生きる勇気が湧いたのだった。

 僕は、冷蔵庫をあけた。数日前に買ったプリンが冷蔵庫に入っていた。僕は、プリンを冷蔵庫からとりだして、キッチンから洗いたての小さなスプーンを取り出して、テーブルまで持って行った。

 僕は、スマホのホームボタンを押して電源をいれた。特になにをするでもないが、プリンを口に頬張りながら、スマホでネットサーフィンをし始めてみた。

 世の中は便利になった。若い僕がいうのはなんだかおかしい気がしなくもない。僕が小さい頃は電話ができる携帯だけだったが、気がつけば情報を取得できる端末にまで進化した。そのうちこのスマホが仕事をするようになって、人間が不要な世界がやってくるのだろう。いま勉強している簿記も結局スマホが簡単にやってくれて、勉強する意味など無くなってしまうだろう。でも、いつか無くなると分かったとしても、「いつ」無くなるか判断するまでは僕は勉強はやめないつもりだ。僕が生きている間は簿記が必要である可能性も否定できないからだ。結局のところ未来なんてわからない。それでいい。僕にはそれでいい。


 僕はプリンを食べ終えた。プリンの入っていたプラスチック容器を水ですすいでゴミ箱に捨てた。



 

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