22
僕が彼女と出会い、そして通常であるならば噛み噛みの会話が展開されることが容易に想像できるのに綺麗に話せてしまった30分前のこと。僕は、ある一つのことを思い出した。
僕は、すっかり検索をすることを忘れていた。急にFがトイレから戻ってきたために、「しんぷる教」について調べるのを忘れていたのだ。
さっそく僕は、ブルーの革新的な検索能力を駆使して、僕はしんぷる教について調べた。そして、これまたウェブの検索ではひっかからないであろうサイトを発見した。【siMple】とい名の小さなサイトを。
僕は、彼女にサイトを見せた。
すると、彼女が作ったことを認めた。サイトには、サークルに入っている人物の写真とあだ名が掲載されていた。
「このサイトは、もうこの地上では見れないように消したはずなのにどうして君は見れるんだ」
彼女は不思議そうに言った。僕は「僕もわからない」と答えた。
彼女は、僕に「逃げないから、腕を離して。痛い」と言って僕の右手を腕から離した。
大学生の男を投げ飛ばすくらいだからどんな腕っ節のつよい女の子かと思っていたら、華奢な腕をした今時の女子大生だったことに、僕は腕を掴んで気づいただった。
「ごめん」
僕は、素直に謝ったが、彼女は黙ったままだった。
「ねぇ」
彼女はか細い声で私に返事を求めた。
「なんでしょうか」
僕は、礼儀正しい返事を返した。
「わたしを信じてくれる?わたしじゃないの。あの集団自殺は」
今にも泣き出しそうな声で僕に話しかけてきた。
「わたしは真犯人を見つけたい。そして、その人物には適切な制裁を与えなければならない」
しかし、彼女の目つきがだんだん変わってきた。そして、ふとなにかを思いついたらしい。
「お願い。私に協力して。こんなところで泣いてはいけない。あなたの協力が必要だわ」
彼女の目に、いよいよ火がついた気がした。さっきまでの目とは違う活き活きしていた。
僕は、周りを見渡してみた。どうやら協力を依頼されているのは僕のことらしい。幸いにして、僕は大学が休講になっている。休講になった原因を探しに行くというのだから不思議な感覚である。
僕は、彼女に少し協力してみようと思ったのだった。




