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棄てられた理由
署に戻り、高木課長に報告をした。
「じゃあ、脅迫の類はないということかね」
「はい。電話、郵便、ネット、いずれも何もないということでした」
黒田が手帳を持って報告した。
「ますます分からなんなぁ、狙いが」
「課長、断定は出来ませんがね。二件のヤマの共通項は、『廃棄牛乳』です。これに意味がある可能性を否定できません」
「廃棄する牛乳に、価値を見出している奴が居るってことかね」
「価値かどうかは分かりませんが…」
「勿体ないから棄てるなってことですかね。それくらいしか思いつきません」
黒田が大野を見る。
「黒田君、冴えてるな最近」
大野が黒田を感心して見た。
「いつもです」
野上が笑いをこらえている。
高木のデスクの電話が鳴った。
「うん、うん、よし分かった!ご苦労さん」
電話を切ると、高木は大野を呼んだ。
「小林君から連絡でね。盗難されていたダンプが見つかった。南部町の資材置き場だ。今、鑑識さんも向かっているそうだ」
「じゃあ、そちらは小林君に任せましょう」
「それじゃ課長、私はこれで」
野上は刑事課へ戻って行った。
「勿体ないから捨てるな…か」
大野は先程の黒田の言葉を呟いた。




