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二度目の襲撃

三日後 午前1:30 110番入電


 タンクローリー襲撃の一報が入る。


 刑事課強行犯係と共に、当直だった大野が現場へ臨場した。


 国道沿いにハザードランプを点灯させたタンクローリーが停車している。すでに地域課のパトカーが先着していた。


 大野は「交通捜査課」の腕章を付け、規制線の内側へ入る。運転手と思われる男性が歩道に座り、地域課員に事情を聴かれている。


 大野がタンクローリーを見ると、危険物積載を示す「危」マークがない。


「すみません、事故ではなさそうですね。お呼び立てして申し訳ありません」


 強行犯の野上が大野に詫びる。大野は野上の肩を二度叩いた。


 運転手に事情を聞いていた地域課員が野上と大野のところへ来て、説明をする。


「セダンが前に止まり、タンクローリーの運転手さんに降りるよう命じたそうです」


「命じた?相手は何者だったんだ?」


 大野が疑問を呈した。


 運転手が歩道から立ち上がり説明する。


「走行中に後ろから、拡声器で停車を命じられたんです」


 大野と野上が顔を見合わせた。


「その後、前に回り込んできて止められたんですよ。そう、赤色灯が載せられていたのでパトカーかと。あんな感じの」


 大野が乗ってきたパトカーを指した。どうやら覆面パトカーを模造した車が現れた様だ。


「二人の男が降りてきて、『タンクの中身が漏れている』って。でも、コックは電気ロック式だし、異常を示すランプも点いていないから、おかしいと思ったんですよ」


「なるほど」


「それで、何もない事を確認して戻ったらキーが抜かれていたんですよ」


「他に、何かありませんでしたか?」


 大野が聞き、野上がメモを持って構えている。


「何も盗られていないし、キーだけですね」


 運転手が腕組みをしていた。


「ちなみに、タンクローリーの中身は何ですか?」 


「牛乳です、廃棄予定の」


 運転手はタンクローリーを叩いた。


「強盗じゃないのか…」


 大野と野上は顔を見合わせた。


「どうにも分からんな」


 野上は天を仰いだ。


 署に戻り、前回の横転事案も含めて交通捜査課と刑事課合同の捜査会議が行なわれた。


 高木課長が概要を説明する。


「先日の横転事故と、今回の件はどちらも同じ会社に在籍するという共通点がある。同社は、牛乳を運搬するタンクローリーを保有する会社であります。」


 大野が手を挙げて発言を求めた。


「社名は、牧草乳業という会社です。また今回のタンクローリーは二台とも、処理するための牛乳、つまり廃棄処分の為の牛乳でした」


 高木課長が野上の方を向いた。


「野上さん、これは牧草乳業への嫌がらせかね」


 野上が老眼鏡を外す。


「現状、それ以上のものを疑う余地がありませんしね」


「捜査だがね、二件目の事案は刑事課さんとしても、一件目は事故と事件の両方から探る必要があると思う。うちと刑事課さんの協力捜査にしませんか」


 高木課長の提案に野上が頷いた。


「高木課長。うちの課長には私から伝えておきます」


「では、早速だが大野さんと野上さんで、牧草乳業に行ってもらえますか」


 高木課長の提案に黒田が手を挙げた。


「課長、大野さんと野上さんだと…圧強すぎません?一般の方には」


「元組対に強行犯係か…じゃあ黒田君も同行してくれ」


 黒田が笑顔で敬礼をしている。


「私ら、そんなに強面か??」


 野上の問いかけに、大野が苦笑いをし…肩を叩いた。



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