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狙われたタンクローリーの謎

 片側三車線の幹線道路に、二車線を塞ぐようにタンクローリーが横転している。小林の運転する覆面パトカーに、大野、黒田、片山が乗車し、現場へ到着した。


 タンクローリーのすぐ近くに地域課のパトカーが止まっている。最初に臨場したものだろう。


「103号現着、これより車を離れます」


 大野が無線を入れる。黒田と片山は、赤い蛍光棒を振って交通規制を行なっている。交通課の他、道路パトロールカーが二次事故を防ぐため、発煙筒を複数焚いている。


 小林は地域課員をつかまえた。


「あんな近くにパトカー停めたら危ないぞ。爆発物だったらどうするんだ」


 小林は以前、交通機動隊に配属されており、この種の事故処理に当たっていた。その経験から、危険物である可能性を第一に考えていた。


「小林さん、それがですね…」


 消防車や救急車、レスキュー隊も到着した。


「大野さん申し訳ないです!」


 交通課の蓮尾主任が、大野の下へ走ってきた。


「大野さん、タンクローリーの中身なんですが…」


「え?」


 大野が驚いている。


「そうなんです。『危』のマークが無かったので、おかしいとは思ったのですが」


 蓮尾の表情に困惑の色が広がっていた。


 タンクローリーでよく見る、危険物積載を示す「危」マークが、このタンクローリーにはなかった。


 四人が署に戻り、大野が代表して高木交通課長へ報告する。


「牛乳!?タンクローリーの中身は牛乳だったのか」


「えぇ。漏れはありましたが、ごく微量でした。タンクローリーはとても頑丈ですからね」


 小林が後を続ける。


「廃棄する牛乳だったそうで、それが一部漏れ出た様です。タンクローリーのドライブレコーダーを解析すれば、原因が究明出来ると思います」


「運転手の容体は?」


「外傷はありませんでしたが、念の為救急車で搬送されました」


「では、詳しいことは鑑識さんの報告と、害者の証言待ちということになりそうだね」

 

 高木が大野を見る。大野は黙って頷いた。


「うん。それにしても通報者はタンクローリーが横転したから、中身が石油だと思ったのかもしれないな。『油が漏れています』と通報したそうだ」


「まぁ、一般的にはそういった印象かもしれませんね。無理もありません」


 そう言うと、大野は自席のノートパソコンを開き、報告書の作成を始めた。


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