深淵迷宮2日目
ログインした瞬間、見慣れた薄暗い小部屋が視界に広がった。
苔のむせ返るような匂い、壁に掛けられた燭台の揺らぐ橙色、足元から伝わる冷たい石畳の感触。昨日ログアウトした時と全く同じ場所だ。手を握り込むと、掌に錆びた大剣の無骨な重みが戻ってくる。頭には骨を削り出して作られた兜。どちらもロストすることなく残っていた。
【HP:100/100】
【スキル:死霊術の芽 / 死霊の絆】
【召喚上限:1/1】
【引き継ぎ強化:死霊の絆】
「今日は20層まで行く。昨日みたいな死に方はしない」
誰にともなく呟き、ジークは重い木製の扉を押し開けた。
◇ ◇ ◇
1層から3層まで、ジークの足は止まらなかった。
昨日の敗北の記憶が、鮮明に体に残っている。どこに敵が潜んでいるか、どの角度で大剣を振るえばスケルトンを一体ずつ分断できるか。最適解を知ったまま同じ道を踏破するのが、これほどまでに楽なことなのかと実感する。
1層は11分でクリアした。視界の端にシステムウィンドウが浮かび上がる。
【1層クリア報酬を選択してください】
①『骨硬化(小):スケルトンの耐久値が上昇する』
②『召喚上限+1:同時召喚できるスケルトンの数が増える』
③『隠密の足取り:移動中の足音と気配が大幅に軽減される』
「②だ」
【召喚上限:2/2】
2体のスケルトンが前に立ってくれれば、ジーク自身は一歩下がって戦況を見ることができる。それだけで戦術の幅がまるで違う。
2層はゾンビが混じり始める地帯で、前回はここで手を焼いた。だが今回は、通路の角を利用して一体ずつ分断し、スケルトンがヘイトを稼いでいる間に大剣で背後から仕留め続けた。
スケルトンが砕かれても、スキル『死霊の絆』が15秒で再び彼らを立ち上がらせる。消えては戻る絶対的な壁役がいるだけで、精神的な余裕がまったく違った。
【2層クリア報酬を選択してください】
①『魂吸収(弱):敵を倒すたびに微量のHP回復』
②『死体操作(中級):蘇生の安定性が上がり、出現率が大幅に向上する』
③『鋼の肌(小):被ダメージを一定量軽減するパッシブ』
「②」
蘇生が安定しなければ、このネビルドは回らない。まずは根幹を固める。
3層に入ってすぐのことだった。行き止まりの小部屋に、通常よりも強い光を放つ宝箱が鎮座していた。
「……あるな」
重い蓋を開けると、中から眩い青白い光が立ち上がった。
【アーティファクト発見】
【腐食の爪(装備:籠手)】
効果:近接攻撃に腐食属性が付与され、命中した敵の防御力を一定時間低下させる
追加効果:腐食状態の敵から蘇生したスケルトンは通常より高い攻撃力を持つ
「……これ、破格じゃないか」
思わず独りごちた。敵の防御を削るだけでなく、腐食状態の死体から立ち上がった骨まで強化される。殴って削り、倒し、強化された骨を軍勢に加える。前衛としての立ち回りと死霊術が完璧に噛み合っている。
籠手を装備すると、指先に薄く緑色の靄がまとわりついた。
【3層クリア報酬を選択してください】
①『スケルトンアーチャー召喚:蘇生時、一定確率で弓兵型として召喚される』
②『骨装甲(初歩):スケルトン1体を消費して骨の装甲を形成し、次のダメージを軽減する』
③『速度強化(小):移動速度が微上昇する』
「①だ」
【スキル『スケルトンアーチャー召喚』を取得しました】
4層の入口でゾンビを一体倒したとき、ジークは静かに息を呑んだ。
死骸から噴き出した霧の中から現れたのは、これまでの無骨なスケルトンではなかった。肋骨が細く引き締まり、両手には骨を削り出した半弓が握られている。背中の筒には、魔力の光を帯びた骨の矢がたっぷりと詰まっていた。
「……来たか」
スケルトンアーチャーは空虚な眼窩でジークをちらりと見つめ、すぐさま通路の奥へと顔を向けた。次の標的を指示しろと言わんばかりだ。
「あっちだ」
顎でしゃくると、アーチャーはゆっくりと弓を持ち上げ、奥の暗がりへと照準を合わせた。
【召喚数:2/2(アーチャー+近接)】
「……いい感じじゃないか」
ジークは大剣を構え直し、4層の奥へと踏み込んだ。
◇ ◇ ◇
4層はこれまでと構造が変わり、通路が複数に分岐して曲がり角の先が見えなくなった。
スケルトンアーチャーは暗がりの少し手前で足を止め、矢をつがえたまま待機する。ジークが近接スケルトンと共に踏み込むと、後方から正確に矢が三本続けて飛んできた。
大型ゾンビの頭に一本、肩に二本が突き刺さり、その足が止まる。すかさず近接スケルトンが胴体に組み付き、そこへジークが大剣を叩き込み倒した。
腐食の籠手で殴っていたため、崩れ落ちた死体からは腕力の高そうな骨が軋みを上げて立ち上がってくる。
「増えてるな」
戦えば戦うほど、強力な骨が増えていく。これこそがこのビルドの真骨頂だ。
中盤でジャイアントゾンビが道を塞いだ。身の丈が二メートルを超え、腕を一振りするだけで通路の石壁に亀裂が走る。近接スケルトンがヘイトを取ろうと突っ込んだが、丸太のような腕の一撃で粉砕された。
だが、その隙にアーチャーが後方から矢を連射して動きを鈍らせる。ジークは腐食の籠手で正面から殴りかかりながら、次々と骨たちを蘇生・展開させた。
消えては蘇る骨の波状攻撃で、巨人の体力をじわじわと削り切る。ついに崩れ落ちた巨躯からは、一際強力な腐食状態の強化スケルトンが立ち上がった。
【4層クリア報酬を選択してください】
①『召喚上限+1:同時召喚数が増える』
②『骨装甲(初級):スケルトン1体を消費して骨の装甲を形成し、次のダメージを軽減する』
③『アーチャー強化(初歩):スケルトンアーチャーの射速と射程が上昇する』
アーチャー強化は確かに魅力的だ。だが、召喚上限が2のままでは運用できる手数が少なすぎる。
「①」
【召喚上限:3/3】
◇ ◇ ◇
5層は部屋と部屋が繋がった地形で、これまでよりも空間が広く、物陰が多くなった。
足を踏み入れた途端、腐肉よりも濃い血の臭いが鼻を突いた。骨の平原エリア。そこには十体以上のスケルトンウォーリアーが、無秩序に徘徊していた。個々の強さは大したことはないが、いかんせん数が多い。
ジークはアーチャーを壁際の高い位置に固定し、手前から一体ずつ敵を引き剥がす作戦に出た。近接スケルトン2体を囮にして角へ誘導し、ジークが正面から斬り込む。同時にアーチャーが後方から矢を浴びせ続ける。単純だが確実な制圧だった。
中盤、再び宝箱を発見した。
【アーティファクト発見】
【影縫いの短弓(装備:スケルトンアーチャー専用)】
効果:装備させると射速が1.5倍に上昇し、矢に「影縫い」効果が付与される
追加効果:影縫いが命中した敵は1.5秒間、移動速度が激減する
「アーチャー専用装備か」
手持ちのスケルトンアーチャーに与えると、瞬時に装備が切り替わった。無骨な半弓が影を帯びた短弓へと変化し、放たれる矢は黒い尾を引くようになる。
効果はすぐに実感できた。足の速いスケルトンウォーリアーに影縫いの矢が刺さった瞬間、敵の足元に泥のような黒い影が広がり、ピタリと動きが止まる。その硬直の間に、近接スケルトンとジークが四方から畳み込む。
「動けない相手に大剣は、最高に相性がいい」
【5層クリア報酬を選択してください】
①『死霊の絆・強化:スケルトン蘇生速度が上昇し、復活時に微量のHPを持って戻る』
②『召喚上限+1:同時召喚数が増える』
③『不死の烙印:一度だけ死亡時にHP1で耐える(消耗後消滅)』
ここで金色に瞬く文字が現れた。
「③」
【スキル:不死の烙印を取得(残:1)】
深層に潜れば、必ず保険が必要になる場面が来るはずだ。
◇ ◇ ◇
6層から9層は、息を抜く暇のないモンスター戦の連続だった。
6層のクリア報酬では『骨装甲(初級)』を取得した。スケルトン1体を代償に骨のシールドを形成し、自身のHPを肩代わりさせる強力な緊急回避手段だ。
7層の最初の広間でゾンビを一体倒したとき、吹き出す黒い霧がいつもよりひどく濃かった。
立ち上がってきたのは、通常のスケルトンではなかった。肩幅が倍近くある、屈強な大柄の骨格。両手には骨を束ねた巨大な鈍器が握られており、霧を切り裂いて現れる動作は重く、そして速い。
【召喚体:スケルトンナイト(強化型)が出現しました】
※腐食状態の敵体から蘇生。攻撃力が通常の1.5倍で召喚されました。
「腐食からの派生で強化型か」
腐食の爪の追加効果がここで生きた。スケルトンナイトは、並の近接スケルトンとは別格の重圧感を放ちながら前列に立った。7層の道中を押さえる壁として、これ以上ないほど頼もしい。
【7層クリア報酬を選択してください】
①『召喚上限+1:同時召喚数が増える』
②『魂吸収(中):敵を倒すたびにHP回復量が増加する』
③『死霊の絆・強化:蘇生速度が上昇し、復活時のHPが増加する』
「③」
【死霊の絆・強化を取得しました】
戻ってくる骨に少しでもHPが残っていれば、即座に範囲攻撃で消し飛ぶリスクが下がる。そのわずかな差が、深層ではじわじわと生存率に直結してくる。
8層に入ると、通路が複雑に分岐する迷宮構造に変わった。
広いホールには、3メートル近い体格を骨の鎧で覆った「腐敗の番人」が2体立ち塞がっていた。片方に攻撃を仕掛けると、もう片方が回り込んでくる厄介な事をしている。
ジークはアーチャーを柱の上に配置し、近接スケルトン3体を二手に分けた。1体が片方の正面を引き付け、残り2体が側面から削る。アーチャーの影縫い矢が番人の足を鈍らせた隙を突き、ジークは腐食の爪で強烈な一撃を胴体に叩き込んだ。
防御力が低下したところに、骨たちの連携攻撃が突き刺さる。砕かれては『死霊の絆』で蘇るという泥臭い反復作業で、片方をじわじわと削り殺した。崩れた死骸から腐食強化スケルトンが立ち上がり、そのまま残ったもう一体の番人へとなだれ込む。数の暴力と腐食の蓄積によって、二体目もほどなくして崩れ去った。
【8層クリア報酬を選択してください】
①『召喚上限+1:同時召喚数が増える』
②『骨装甲(中級):消費スケルトン数に応じて防御値が変動し、発動速度が上昇する』
③『アーチャー強化(中):スケルトンアーチャーの射速が上昇し、影縫いの拘束時間が延長される』
「①」
【召喚上限:4/4】
アーチャー1体を後方に固定しても、残り3枠を前衛に回せる。軍勢の数が増えるほど、敵に腐食を乗せられる頻度が跳ね上がる。
9層は、骨の平原に戻ったような薄暗い広場だった。大型の骨格モンスター『スケルタルタイタン』1体と、複数の取り巻きが待ち構えていた。
アーチャーを後方の柱に固定し、近接スケルトン3体をタイタンの足元へ突撃させる。取り巻きの相手はスケルトンたちに任せ、ジーク自身はタイタンの太い腕を腐食の爪で執拗に殴り続けた。
防御が落ちた箇所に、骨たちの痛撃が入り、影縫いの矢がタイタンの踏み込みを遅らせる。タイタンが腕を振り回すたびにスケルトンが吹き飛ぶが、すぐに『死霊の絆』が彼らを立ち上がらせる。実にしぶとい。
だが、絶え間ない数の暴力と腐食の蓄積によって、ついにタイタンの巨体が膝を折った。ジークは跳躍し、大剣の縦斬りをタイタンの腹部へと深々と叩き込んで止めを刺した。
【9層クリア報酬を選択してください】
①『魂回収(中):敵を倒すたびに中程度のHPを回復し、身体能力強化が累積する』
②『骨装甲(中級):消費スケルトン数に応じて防御値が変動し、発動速度が上昇する』
③『腐食の残り火:腐食状態の敵が消滅する際、周囲に腐食属性の小爆発を撒き散らす』
「①だ」
【スキル『魂回収(中)』を取得しました】
ここまで、自身のHPは100のまま無傷で維持できていた。
◇ ◇ ◇
10層への巨大な扉に手をかけた瞬間、空気が変わった。
扉の向こうから、人間の気配がする。モンスターのそれではない。もっと不規則で読みにくく、常に状況を判断しながら動いている、知性を伴った気配だ。
(……プレイヤーがいる)
ジークは警戒しながら扉をゆっくりと開け、身一つを滑り込ませた。
10層は、壮麗な礼拝堂を思わせる縦長の大空間だった。天井から太い鎖で吊るされた黒い燭台が等間隔に並び、床には複雑な幾何学模様の魔法陣が刻まれている。踏み込むたびに、陣が淡い魔力の光を放った。太い柱が左右に何本も連なり、視界を遮りながら最奥まで続いている。
モンスターの姿はない。
チャキッ、と左側の柱の陰から微かな金属音が響いた。
視線を向けると、柱の裏から一人の女プレイヤーが姿を現した。身の丈はジークより頭一つ分低く、動きを阻害しない軽装に身を包んでいる。頭装備はなく、黒髪を無造作に後ろでまとめているだけだ。両手に構えているのは、片手剣と杖を融合させたような奇妙な武器だった。杖の先端に鋭い刃が付いている。
頭上に浮かぶ名前は「フィン」。
【HP:88/95】(フィン)
フィンはジークの姿を認めると一瞬動きを止め、彼の周囲に控えるスケルトンたちを順番に視線で数え上げた。
少し考えてから、「なるほどな」と小さく呟く。好戦的でも友好的でもない、ただ淡々と戦力差と情報を整理している顔つきだ。
「……まあいい」
フィンが剣杖の先端をジークへ向けた。
「やるか」
ジークは無言で大剣を構え直した。
フィンが地を蹴って踏み込んでくる。その瞬間、杖の先端から青白い光弾が放たれた。ジークは即座に右へ跳躍し、太い柱を盾にする。光弾が柱に直撃し、石の破片がパラパラと降り注いだ。
だが、その射撃と踏み込みは囮だった。
フィンは光を放ちながら、滑るような足取りで左へと大きく回り込んでいた。彼女の標的は柱の陰にいるジークではない。後方に配置していたスケルトンアーチャーへ向かって一直線に走っていたのだ。
(アーチャーを先に落とす気か!)
狙いを理解した瞬間には、もう遅かった。フィンの剣杖が一閃し、アーチャーの首筋を的確に薙ぎ払う。骨がバラバラに崩れ落ち、光の粒子となって消散した。
【召喚数:3/4】
ジークは舌打ちをして柱を蹴り出した。大剣を横に薙ぎ払い、フィンの退路を力技で潰しにかかる。
フィンは身軽に後退しながら、杖先から光の玉を3つ同時に連射してきた。前に飛び込んでいた近接スケルトン1体がそのすべてを身を挺して受け止め、爆散する。
【召喚数:2/4】
一瞬の交錯でアーチャーと近接1体を失った。残る手駒は近接2体のみ。
それでも、こちらには『腐食の爪』がある。
ジークは近接スケルトン1体をフィンとの間に壁として押し込み、自身は側面へと大きく回り込んだ。スケルトンがフィンの剣撃を引き付けているほんのわずかな隙を突き、腐食の爪を装備した右手でフィンの腕を容赦なく殴りつける。
緑色の腐食エフェクトが弾けた。
「っ」
フィンが短く息を呑み、即座に振り向いて剣を突き込んでくる。ジークは後退しながら、大剣の広い腹でその一撃を受け流した。
【HP:83/100】(ジーク)
防ぎきれず削られた。軽い武器ゆえの手数の多さと速さが厄介だ。
ジークはもう1体のスケルトンを側面に回り込ませ、フィンを挟み撃ちにする形を作る。フィンが2体の骨の波状攻撃を捌いている隙を狙い、腐食の爪を今度はフィンの肩口へと叩き込んだ。
腐食エフェクトの継続時間はまだ切れていない。防御力が大きく低下した生身の身体へ、ジークの大剣の重い一撃が叩き込まれた。
【HP:51/95】(フィン)
【HP:73/100】(ジーク)
一気に体力を奪った。たまらずフィンが大きく距離を取る。今度は柱を盾に使いながら、逃げ回るヒットアンドアウェイの動きに切り替えてきた。
柱の裏に身を隠しながら、いやらしい軌道で光の射撃を絶え間なく放ってくる。追いかけるスケルトンが数発被弾し、HPがゴリゴリと削られていく。
アーチャーがいない今、柱の裏に隠れた敵へ有効打を撃ち込む遠距離手段がない。フィンはそれを完全に理解した上で、徹底的に距離を保ち続けている。
(このまま削り殺されるわけにはいかない)
ジークは決断し、スキル『骨装甲』を発動した。
残っていたスケルトン1体が光となって砕け、ジークの周囲に分厚い骨のシールドを展開する。防御を固めたジークは、射撃を恐れず真正面からフィンへと突進した。
フィンの放つ光の玉がシールドに激突して砕け散る。2発目もシールドが吸い取った。3発目が放たれる直前、ジークはフィンとの間合いを完全に詰め切った。
剣を振り上げようとしたフィンの腕を左手で強引に掴み、武器を封じる。そのまま右手の大剣の柄頭を、彼女のみぞおちへと容赦なく押し込んだ。
【HP:21/95】(フィン)
フィンが苦痛に呻き、一瞬だけ踏ん張りが崩れる。
その隙を逃さず、ジークは掴んでいた腕を解放し、大剣を横一文字にフルスイングした。フィンも咄嗟に後退しようとしたが、半歩遅かった。
【HP:0/95】(フィン)
身体が光の粒子となって崩壊していく中、フィンは最後に口を開いた。
「骨使い。名前はなんだ」
「ジークだ」
「……覚えたぞ」
負け惜しみとも宣戦布告ともとれる言葉を残し、彼女は完全に消滅した。戦闘の余韻が残る静寂の中、システムウィンドウが浮かび上がった。
【10層クリア&PvPレア報酬を選択してください】
①『魂回収(強):敵とプレイヤーを倒すたびに大きくHPを回復し、身体能力強化の累積が加速する』
②『召喚上限+2:同時召喚数が増える』
③『死者の恵み(永続):プレイヤーを撃破するたびに最大HPが恒久的に3増加する』
金色に輝く③の文字。プレイヤーを倒したからこそ真価を発揮するスキルだ。
「③だ」
【永続スキル『死者の恵み』を取得しました】
【HP:79/100】
(対人において、生命線であるアーチャーを真っ先に狙われたのは想定外だった。NPCのモンスターとは戦いのセオリーがまったく違う)
礼拝堂の柱の間に、砕けた骨の欠片が散らばっている。先ほどの激戦の残骸だ。ジークが息を吐くと、新たに召喚されたスケルトンたちが静かに彼の背後に並んだ。
「11層からが本番だな」
血糊と腐食の跡が残る大剣を肩に担ぎ直し、ジークは真っ直ぐに11層へと続く巨大な扉を見据えた。
重く低い地鳴りのような音を立てて、未知の階層への扉が




