~第1話~ 魔力の理論
突然だが、私は異世界転生したらしい。
内心すごく戸惑っているが、正直こういう展開は憧れていたし、少しワクワクしている。
(前世の私は死んだのかな…、
でも死んだ記憶も無いし、今の体は赤ちゃんでも子供でもないしな……、)
そう考えると"転生"では無く"転移"の類なのかもしれない。
(でもそうするとなんで若返ってるんだろう…、
前世の私は確かに若々しかったと思うけど、
流石にここまで若くは無かったぞ……、
今は多分18歳くらいかな?)
そんなことより
まぁ若返ってたり知らない場所に
突然いるのは重大ではあるが。
体の奥底から湧き上がってくるエネルギー的なものを感じ取っていた。
(間違いない。
私の勘が告げている。
これはきっと魔力だ!異論は認めない)
この変な感覚、これがこの世界を異世界だと感じたした1要因でもある。
(これからどうしようかなぁ……、
まぁ、目標をたててみるか!
まず、元の世界に帰ることだけど、
元の世界での私が死んだかどうかわからない以上現実的ではないし、正直元の世界に未練は無い。
何の変哲もなくただただ時間の過ぎていく人生だったしな、
そうなるとこの世界を楽しむしか無い!
いっそ生まれ変わったつもりでこの世界を楽しみたいからなぁ、名前も変ようかな!
クールでイカした魔法使いになりたいし、、、、
氷なんてどうだろうか!実に素晴らしい名前だと思う。
とりあえずいつまでも森というのはつまらないし、村か町でも探すか!
とりあえずこの近くの川を目印に歩いてみようかな、大体村とか町とかは水の近くで発展するもんだろう。タブン)
そう考え、葉の間から溢れる太陽光と
川を頼りにあるいていく。
──4時間後──
あたりは少し薄暗くなってきていた、
もうすぐ夕日が登りそうなことは
森のなかを歩き回り時間の感覚が鈍くなった状態でもわかった。
(今もう5時間半ぐらい歩いてるよな……、
異世界という割に魔獣とか魔物すら出てこないし、
まぁ今来られても困るんだけどさ)
暇すぎて自分の中でノリツッコミをしていると、少し遠くに建造物らしきものと明かりが見えた。
(お!!!
あれは多分町だ!よっしゃ行ってみよう!)
そうして棒の足を無理やり速く動かして町の前まで行った。
(やっぱり異世界といえばこのかなり古い感じの建築だよね!
まずは宿と、冒険者ギルド的なものも探してみよう)
少し町中を探索していると、おばぁさんに話しかけられた。
「おや、あなた見ない顔だねぇ、こんな所に冒険にでも来たのかい?」
(そういえば考えもしなかったけど、言葉は通じるんだ
ただ冒険者を名乗ると冒険者登録とかしてないし面倒だよな、、)
少し考えて優しそうなおばぁさんに氷は答える。
「いえ冒険ではなくて…、気づいたら森の中にいて川沿いに歩いて来たんです。」
「あら、記憶喪失かい?それは大変だねぇ、
もし困ったら町内冒険者施設に行くといいわよ」
やはり何も知らない地でこういう温かみは何にも変えられないほどありがたいものだ。
「ありがとうございます!じゃあとりあえずそこを目指して見ます」
おばぁさんに道を教えてもらい歩き出した。
少し暗い路地の裏から誰かがその様子を見ていた。
「ん?あの子………」
「ねぇちょっと今時間ある?」
急に話しかけられ、氷は驚く。
「あー、えーと誰ですか?」
「私の名前はネオジム!」
「ここで何でも屋 兼 魔系指導施設を経営してるんだけど、
キミ才能ありそうだからさ!良かったらやってみない!?」
氷は迷っていた。
(魔系…、魔法とかを教えて貰えるのか、
それはありがたいけど……、)
「すいません今お金無いんですよね〜」
ネオジムは答えを予測していたかのようにドヤ顔で勢いよく答える。
「大丈夫!お金は後でいいし、見た感じ泊まるところも無いんでしょ?
一つ空き部屋使わしてあげるからさ!」
「そ、そうですか…じゃあ受けさせて貰います」
(この人押しが強い…!
ってそれ以上に察しが良いな)
勢いに押され、氷は魔系指導施設に行った。
少し汚れは目立つけれど、かなり状態はよく
手入れが行き届いていることを表していた。
どうやら魔系指導施設の横に何でも屋の事務所があるようで、その事務所の上が氷の部屋になるようだ。
「そういえば気になってたんだけどさ
キミ何歳?」
自分でもよくわかっていない質問をされたため、氷は少し返答を迷った。
「あ〜、多分18歳です」
「多分?面白い事言うね!
ってか私20だし2つしか変わらないじゃん!
タメ口でいいよ!」
「そうなの?ならタメ口にするよ
敬語あんま得意じゃないし」
「とりあえず明日から教えるから!
今日はとりあえずもう寝な!」
「わかった!じゃあ明日からよろしくね」
氷は部屋に向かった。
心無しか、ネオジムの勢いにも慣れてきた気がした。
(えーと部屋は、上に上がって突き当りの右側…
ここかな?)
ガチャ
(おおぉぉ!?なんだこのベッド!
バカでかいぞ!
こうなればさっさと風呂にはいって寝るぞ!)
4時間歩いてガチガチの体を休めるため
急いで風呂を上がった。
布団へダ〜〜〜イブ
ボフッ
(ん〜フワッフワ〜
ネオジムさんの用意してくれた着替えも心地良いしすぐ寝ちゃい…そ…う……)
──翌朝──
ネオジムは挨拶する相手がいるからか、いつもより元気に言った。
「おはよう〜!」
「おはよう〜」
ふとネオジムは相手の事をどう呼べばいいかわからない事に気づいた。
「あ、そういえばまだ名前聞いてなかったね」
「そういえば、言ってなかったね。私の名前は氷」
「……、氷、ね、いい名前だね!」
氷は自分で考えた名前を褒められる事の喜びを実感していた。
「でしょ?」
「じゃあとりあえず今日は、というか、これからずっとだけど
氷ちゃんには基本しか教えない。」
「え?それはどういう事?」
「私とか氷ちゃんみたいにね、魔力操作の才能のある子はね、
変に教えるよりも自分で理論を作ったほうがいいんだよね」
「そういうものなの?」
「そうそう、ってことで今から魔力、魔法、魔術の違いを教えてあげよう♪」
氷はこれが初の魔法との対面であるため、緊張とドキドキが止まらないでいた。
「よろしく!」
(応用が教えて貰えないのは少し残念だけどまぁなんとなくネオジムさんは信用できる…)
(理論を作るか…、)
「まず大事なのは魔力→魔法・魔術の順で強くなっていく
魔法と魔術は場合によって強さが変わるから同じ順位だね!
まぁじゃあ順に説明していこう
まず魔力、まぁ魔力の理論がわからなければ何もできないから魔力だけ理論を教えるね」
氷にとってあまり聞き覚えの無い言葉が出てくる。
(魔力の理論…、)
「魔力は全てのエネルギーに変換可能なエネルギー。って考えていいよ
この世界には妖力、気力、神力とかいろんな力があるけどそれらは全部イメージが違うだけで元は一緒、
魔力もいろんな力の1種類ってだけなんだけどね
例えば妖力は霧、気力は血液、神力は光って感じのイメージ。
難しいけどイメージを新たに作ってそれに合った動かし方をすれば新しい力になるよ」
「へぇ〜!面白そう!」
「でしょ?
まぁでとりあえずは魔力の動かし方を教えるよ
魔力は粘性が少しある液体っていうとわかりやすいかな?
その液体をイメージの型に流し込んで岩とか雷を作りだすのが"魔法"
んで実は人間自体には魔法の型がないの」
氷はどうしても気になってしまい、解説より速く質問を投げかけてしまった。
「え、じゃあどうやって魔法を使うの?」
「基本は特別な文字が刻まれた道具とか特別な意味が込められた文を詠唱して型として機能させてるね!」
「それで魔法が使えるんだ!」
「そうだよ!
でも、道具を持ち歩くのは面倒だし、詠唱すると時間がかかる
そこで魔力で空間上に特別な文字を描くか表すことで発動時間を速める技術
それが"無詠唱魔法"ってやつ
C級の上澄みでも使うやつはいるし、氷ちゃんならできると思うよ!」
「そうなの?結構難しそうだけど、
ちなみにC級って?」
「あ〜級の話はまだだったね、まぁそれはまた今度教えるよ!」
「わかった!」
「それで、その無詠唱魔法で使った型の部分は魔法には変換されないんだけど、
それを魔法に変換させる為に高度で精密な魔力操作をするのが"魔術"
まぁその分詠唱の1.5倍くらい時間かかっちゃうんだけどね〜、
でも威力は数倍になるから基本お得ではあるけどね」
氷は最初の説明の疑問が見事に回収されたようで
清々しい気分になった。
「なるほど、使い勝手の違いで魔法と魔術の強さは同じくらいなんだ」
「そうそう!じゃあとりあえず火の魔法を使ってみようか」
「なんとなくわかったけど、型はどうすればいいの?私なんもしらないよ?」
「実はねさっき魔力を型に流して魔法を使うって言ったけどね
厳密には魔力を理論に従って型に流すってのが正しいんだ
これが私が理論を自分で作ってほしい理由だね」
「なるほどね、どうすれば理論がつくれるの?」
ネオジムは鼻高々に答える。
「簡単だよ
火のイメージがある現象を頭の中で想像するの、でその現象の起こり方を魔力の流れで再現するの
起こり方さえ理解していたら実際には違ってても魔法は発動するから安心してね
型は〜……、作るのめんどくさいからとりあえず一般初級火魔法の詠唱のファイアって唱えてみて」
「わかった!やってみる!」
「頑張って!」
氷は考えた。
いくらこれが初の魔法だからと言って、
弱々しい火を出すつもりは無いからだ。
(火……、火といえば太陽かな、
太陽が燃えるのは確か……核融合反応だっけ?
超高温と超圧力、
温度は運動エネルギーだから魔力を震わせて、、、
更にその魔力を圧縮して、、、)
「んん〜〜〜〜〜」
ネオジムはその異質さ、圧を感じ取り、思わず鳥肌がたった。
そして氷が気合十分に唱える。
「ファイア!!!」
ブボォッ!!!
ネオジムは流石に驚き、動揺を隠せずにいた。
(え?あの説明だけで魔法使えちゃうの?
しかも何このデカさ
ほんとに初級魔法なのこれ???)
「す、凄いね…おもってた以上だよ……、」
「ふぅ…そう?ありがとう」
「ちょ、ちょっとさ鑑定魔法で鑑定してもいい?」
「別にいいけど、」
「一般上級鑑定魔法。スキルスキャン!」
『スキル
・魔力変換効率化+70%
・魔力操作能力強化(S)
・■■■■■■■■ 』
ネオジムの頭には異常な情報が確かに浮かんでいた。
「これは凄い……やっぱり私の勘は合ってた」
「え?どうだったの?」
「これは自分で見たほうがいいかも
目を瞑って自分の奥底に力を問いかけてみて
そうすると見えるから
そっちのほうが正確だしね」
「え?わかった」
(私の力〜〜私の力〜〜)
『ステータス
Lv.3
攻撃力 12
防御力 30
生命力 28
魔力量 50
体力量 50
スキル
・魔力変換効率化+70%
・魔力操作能力強化(S)
・成長補正(B)
能力
・流力感知 』
「見えた?」
「うん、」
氷は何が凄いのかよくわからなかったが、ネオジムの反応からして異常であることは薄々感じ取っていた。
「じゃあ何が凄いか説明するね…、
魔力変換効率ってのは魔力を型に流すとき実は100%使えるわけじゃないの、
先天的な効率が平均15%
スキルによるものが平均+50%くらい
70%だなんてのは伝説上でしか聞いたことがないよ…
しかも魔力操作能力強化がSってことはオリジナル以外の基本の力が全て扱えるとほぼ同じこと、」
「そ、それはえげつないね…」
「いや、氷ちゃんなんだけどね…、それ…
とりあえず基本の型が書いてある本
術式大全 火・水・土をあげよう」
「あ、ありがとう」
「スキルと能力は専門家に習ったほうがいいしなぁ、、、
あーぁ、もうなんも教えられないや、、、」
ネオジムがはぁ、とため息をつく。
「な、なんかごめん」
「あ、そうだ!氷ちゃん!
中央剣魔上級学園って興味ある?」
台本書きから抜け出せるよう編集を加えましたが、物語の道筋は変わっていませんのでご安心ください。




