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玲子と美玖のお仕事

5月18日。玲子と美玖はイメルダの事務所にいた。2人は嬉々として更衣室でコスチュームに身を包んだ。白のセーラーに紺のミニスカートは夏服の定番だが、左胸には[れいこ][みく]と鮮やかに刺しゅうされた。右胸には[コノカ]と鮮やかに刺しゅうされた。コノカは美人母娘に与えられたコンビ名に他ならず、異世界での通称。昨夜は恭子たちからミッションの詳細を聞き、玲子たちは寝不足気味。2人は虫が出ればナルシスに抱きつこうと目論んだ。それくらいの期待値で膨らんでいたのだ。良くも悪くも私たちは恭子たちの後で回る以上、そうなるのはごく自然の流れ。3人は[時の間]で呪文を唱え、あっさり異世界に到着した。そこは森の中の広場であり、玲子たちはナルシスに温かく迎えられた。「ようこそサザナミ公国へ。僕はコルダ。歓迎するよ玲子」「私もあなたに逢えて嬉しいわコルダ」「初めまして美玖。僕はファルド。仲よくしようね」「そうねファルド」玲子とコルダ組が東側。美玖とファルド組が西側。イメルダが真ん中を担当した。事務員は通訳よりもむしろナルシスのお目付け役であり、なおかつ玲子たちとのマッチングを担当した。母親はコルダとよく話すが、娘はなかなか話せない。美玖は寝不足がたたり、ついウトウトした。するとファルドの胸でよだれを垂らしまくっており、眠気が冷めた。気まずい雰囲気が流れたが、イメルダがうまくまとめた。事務員はうすうす察したが口には出さない。なかよし4人組だと後ろの組が寝不足になるのはお約束の流れ。だが娘は吹っ切れたようだ。もとより冷静なタイプだし、ここまで来てもはや失うものはない。「私ね、最近欲求不満気味なの」「わかるよ。僕たちだって似たようなもんさ」ファルドは自身の学生生活について話した。「12月の対抗戦しか楽しみがない」「ソレって盛り上がる?」「ミヤン学園は男子校だからね」「男子校同士の対抗戦なの?」「そうさ。だから大した盛り上がりはない」「だから参戦したの?」「そうだね」「実はね、私たちも似たようなものよ」玲子とコルダは[ウイングマン]で盛り上がった。「僕たちにない文化だね」「魔法戦士のテレビ番組はないの?」「ニュース映画がソレに近いが、僕たちの国にはまだないんだ」「作ろうとする動きはないの?」「あるよ。年内にテレビ放映されるかもしれないね」マジカルナイツをモデルに番組を作る動きがあるが、問題は演者不足。「僕たちの国には清香と柚果しかいないからね」後半は玲子とファルド。美玖とコルダが組み、作業を再開した。母親はふつうに話し、娘もコルダには積極的。前半のハプニングがあるせいか、玲子が美玖に嫉妬したりはしない。もちろん娘にも母親の彼氏を奪い取る気はなく、ただただ話したいだけ。ナルシスは本命でないとあんまり積極的ではなく、美人母娘がリードする形になった。彼らは聞き役に回り、玲子たちはがぜん積極的に。美人母娘は参戦できる悦びを隠さなかった。「私は別に立派な動機なんてないわ」「参戦する子はたいがいそうさ」「私なんか初め従属の誓いが何となくイヤだったの」「初めは戸惑うよね」「異世界は寛大ね。日本じゃ過去と属性しか見てくれないわ」「こちらでは参戦の動機はあまり問題じゃないんだよ」「私なんて彼氏ができたことないわ」「それは美玖が女子校だからだろ?」後半は固さが取れ、大いに盛り上がった。広場はまだ未整備だが、まるでステージみたいに小高くなっていた。ステージは太陽を背にしており、私たちが不利なのは否めなかった。逆光のせいだけでなく、ナルシスが仁王立ちになれば彼らはまるで軍神みたいに映えるだろう。玲子たちはコルダたちに屈したシーンをイメージしたが、すぐにやめた。よだれが溢れ出してしまうのだ。と、とりあえず今はミッションに集中しなきゃ。幸いにも彼らは美人母娘の変化に気づかなかった。玲子たちはホッとしたが、ココではあんまりやりたくないかも。でも魔法戦士は訓練や対戦場所を選べないのだ。敵のホームでやる以上、私たちが不利なのは否めなかった。でもソレは魔法戦士に科せられた不利であり、私たちの真価が問われる。わざわざ敵に有利に対戦場所を作るなんてあり得ない。だから受け入れなきゃ。「ねえファルド、対戦場所はココだけ?」「いや確かあと3箇所はあるはずさ」「じゃあ毎回対戦場所は変わる?」「そうだね。そうしないと不公平だからね」美人母娘は安堵した。よかったあ。4分の1なら受け入れられるわ。ココだって初めから負けるとは限らないし。玲子たちはポジティブに捉えた。廃牧場は必ずしも私たちに不利に作られていないようだ。ココだって明らかに不利にされたわけではないが、私たちの視点で見れば不利に見えるだけなのかもしれない。帰宅した私たちはまだ興奮が冷めやらない。「ねえお母さん、彼らでよかったね」「そうね。根が純朴そうだわ」

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