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エフィーたちの日常

5月16日。エフィーたちは登校した。シピン学園高等部2年に進級したが、先日のテレビ番組でマジカルナイツを見初めた。ソレはニュース特番で短いながらも恭子たちの魅力を存分に感じさせた。すでにイメルダはマジカルナイツをビデオ撮影しては異世界に紹介していた。だがナルシスとの組み合わせを決めるのは魔王さまの専権事項。彼らは朝礼時間に担任のリットン先生に期待したが、特別な知らせはなかった。リットン先生の見た目は山下真司だが、時おり広島弁が交じる。エフィーたちに特別なスペックはなく、彼らは一介の庶民に過ぎない。だが異世界は庶民を大切に扱った。このあたり日本が500万光年遅れていると揶揄されるゆえん。ナルシスは男子校の学生に過ぎないが、魔法戦士との組み合わせが決まり次第、非公開の求人にエントリーできる。彼氏の就職先がブラックか未定なら彼女たちは安心して身を預けられないからだ。この時点ではまだ不透明だからエフィーたちは就活できない。ただ彼らはとある企業に目をつけていた。ソレは通学路にある吹けば飛ぶような小さな会社だが[スプリンクラー]という短編アニメで一躍注目を浴びた。マジカルナイツの特番の瞬間視聴率が40パーセントなのに比べ[スプリンクラー]は20パーセントにも満たなかった。だが[トナミ]という会社自体に知名度がなく、この2時間の短編アニメがデビュー作なのだ。原作者は宮川匡代。リアルでは完全に忘れ去られたが、異世界で人気が出始めた。しかもコレは彼女の代表作ではない。作者の私ですらタイトルを思い出せないのだ。ヒロインの雅代は片思いの男の子に告白するが、ソレは少女漫画史上、類例を見ない告白シーンになった。「スプリンクラーで私と一緒に遊んでくれますか?」彼はイエスと答えはしなかった。「そ、それはちょっとムリ」みたいなことを男の子は口ごもった。いまだに原作者の意図は不明。それにしても彼女はなぜこうも幼い女の子を執拗に描き続けたのだろうか?放課後にリットン先生に呼び出されるとエフィーたちはてっきり先日の不良ズボンの裏取引がバレたかと観念した。だが様子が違う。「マジカルナイツとの対戦が内定したんじゃ」リットン先生は続けた。「恭子たちは上玉じゃけえ精進せえよ」「わかりました」彼らはようやく運が向いてきたと感じた。何しろこんな草深い男子校では何の生きがいも見出せない。わが国にはニュース映画すらなく、他校の女子との接点が乏しい。まだ就活はできないのでエフィーたちは[セキララ]に寄った。すぐに馴染みの女給さんが注文を取りに来た。この喫茶店はミルクセーキと洋菓子がうまい。彼らは注文を済ませるとマジカルナイツを話題に盛り上がった。エフィーは恭子。キースは友紀。コルダは玲子。ファルドは美玖を気に入った。順当に行けばこの組み合わせが妥当だし、魔王さまは奇をてらわない。エフィーとコルダは倍も歳上の女性相手に尻込みしたが、リットン先生によれば年齢はさほど関係ない。参戦した子は訓練や対戦を重ねるたびにより幼くなっていくからだ。その理由は定かでないが、やはりナルシスやマリアに女の子扱いされ、チヤホヤされるから。というのが定説だが、詳細は誰にもわからない。ただ母娘戦士は母親に負荷がかかるからあんまりイジメ過ぎてはダメだと釘を差された。「じゃあ母親は適度にイジメればいいんですか?」「そうじゃ。だがくれぐれもあんまりイジメ過ぎんようにな」「わかりました」「なあリットン先生って確か元シードマンだよな」「ああ。でも先生たちの時代はゆるかったからな」シラサギ公国生まれのリットン先生は同僚のロッシと組み、魔法戦士と戦った。あの頃からすでに参戦は2人1組が原則。若きリットンは[ナユタ]の大道寺いのり。ロッシは湯浅智子を受け持った。20歳と12歳。今なら絶対にあり得ないミスマッチだが、美少女たちの士気は高い。だがエージェント活動はおろかヨガのエクササイズすらしてこなかったナユタは初戦からシードマンに押しまくられた。しかもいのりたちは3月に参戦したから気まぐれな風にも吹きまくられた。当時は魔法戦士相手にゆるめる空気は皆無だったが、彼らはナユタのけなげさに打たれ、ごく自然にゆるめた。体格差がありすぎるためリットンたちは寸止めを試みた。キックは腰のあたり。パンチはあごの下でピタリと止める。その都度いのりと智子はゴクリと生つばを飲み込んだ。彼らはシードマンの会合で批判にさらされたが意に介さなかった。本気を出せばナユタはどうなる?たちまちボロボロになるだろう。だが果たしてそれが僕たちの戦いなのか?彼らは悩みながらも美少女たちとの戦いを満喫した。いのりたちはシードマンとの力の差を痛感させられながらも成長し、力の差を埋めていく。もちろん完全には埋まらなかったが、リットンはいのりを。ロッシは智子を幼な妻にした。

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