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マジカルナイツ急募

5月11日。サザナミ公国はマジカルナイツを募集した。彼らの意図は[いちづ]を釈放することで、我が国の人権意識の高さをアピールする狙いがあった。異世界では見え透いた手だがリアルでは知られていない。異世界側は笠原恭子と娘の友紀。須永玲子と娘の美玖が清香たちの自治会にいるのを熟知していた。だが恭子たちはなかなか異世界のイベントに来てくれない。母親たちは再婚に意欲的だが街コンで連敗中だからだ。娘たちはそんな恭子たちを見て育ったせいか、自己肯定感が低い。半年前からバストサイズが変わらないのも遺伝かしら?と後ろ向きに捉えてしまう。友紀たちは幼稚部からの長い女子校生活に倦怠期を迎えていた。何しろ4月で11年目だが、白馬の王子様はおろか処女を捨てるお相手すら現れる気配がない。業を煮やした娘たちは4月にクラス内で新しい友だち作りをしなかった。友紀と美玖は隣のクラスだが、いくら去年からの友人が数人いるとは言え、あり得ない。友紀たちはもちろん清香たちの参戦を知っていた。柚果は学校は違えど幼なじみだし、清香は恭子たちと親しい。たださほど目立つタイプではなく、今回の参戦は驚きでもあった。確かに清香たちはそこそこ可愛いが、私たちだってそんなに負けていないはず。ただ最近、異世界からのお誘いが激減したのはもちろん名古屋の夏が元凶。[異世界の新米エージェントは犬を飼え]という合言葉がある。もちろん名古屋への赴任を免れるためだが、中には空気を読めない女の子がいた。異世界の事務員は新米エージェントの女性が1人で切り盛りするのが通例だが、中にはイメルダみたいに赴任前日に前任者が熱中症で倒れる事例も珍しくない。しかもそれが7月や8月ではなく9月18日だから笑えない。彼女は犬を飼うのが面倒なタイプであり、もちろん日本文化へのリスペクトなど微塵も持ち合わせない。異世界でマトモに扱われる日本女性は魔法戦士しかいなかった。その理由は単純。嫁が慢性的に足りないからだ。そして異世界側は日本との国交がなく、もとより敵対関係にあった。もちろん日本からの侵攻であり、法華会がその役割を果たしたのだ。悪名高き名誉会長の憤死とともにあやふやにされたが、異世界側はいまだに納得しきれていない。日本人は都合の悪いことを都合よく忘れるが、異世界側は納得しない。彼らは慢性的な嫁不足を名古屋から補おうと目論んだ。もちろん深い意味はなく、たまたま当時の担当者が伝説的なパチンカスだったのだ。サイラスは北斗の拳をこよなく愛したが、彼が勝った姿を見届けた者はいない。名古屋に美少女がたくさんいるからではなく、むしろ地方出身者が大多数を占めた。だが幸いにも参戦した女の子たちはたいがいそこそこ可愛いか美人だった。こうしてなし崩し的に魔法戦士の取り込みが始まり、はや20年が過ぎた。マジカルナイツは同じ自治会の美人母娘の取り込みを目指す以外の意味はない。同じ頃。恭子たちは特に予定もなく持て余していた。最近は異世界からのお誘いもなく、容色が衰えたからかな?と悲観した。だが友紀たちがチラシを持ってきた。[マジカルナイツ急募]。「異世界かしら?」「たぶんね」内容は清香と柚果の釈放式を行うとのこと。4人はがぜん注目した。彼らは良くも悪くも正直。ありもしないことを吹聴しない。いわばマジカルナイツは2人を助けるために参戦する。そのように取れた。「私たちが清香たちを助けるのよ」「そうね。そうしようよ」やはり自治会が同じだし放ってはおけない。異世界案件だから警察はアテにならないし、もちろんこの時点で恭子たちは異世界側の意図を知らない。確かに4人はそこそこ美人だが飛び抜けてはいない。だからこそ無防備なのだが、異世界でそこそこ美人はかなりの美人に相当する。世界線が変われば価値観がガラリと変わるが、リアルの子たちにはわからない。魔法戦士がチヤホヤされるのはホントに可愛いからだし、ひとたび異世界の世界観に触れたら後戻りはできない。何しろ異世界以上に女の子扱いされる場所はないからだ。時には40代の女性ですら参戦するのが異世界であり、日本ではまずあり得ない世界観なのだ。恭子たちはマジカルナイツに応募することにした。イメルダに電話するとあっさり了承。何しろサザナミ公国は後発で名古屋での知名度がない。今後はまずエージェントとして活動を始め6月下旬に参戦。8月の別荘暮らしを挟んで9月に釈放され再戦に臨む。「別荘暮らしは込みなのね」「9月に再戦すれば慣れた頃に衣替えがあるわ」10月に夏服から冬服に変わるが、コスチュームの変更は魔法戦士にとって大きな節目。「夏服はスク水や体操服にブルマーなどバリエーションが豊富よ」「な、なんか楽しめそう」コスチュームには正規と試作品があるが、どちらでもいい。「そうなの?」「マジカルナイツは強さよりも魅せることを求められるわ」

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