第7話 DNAがU、N、K、Oな古代人X
【ハロー、ジェレミー。ちょっとこの前話した、古代人を研究している大学の教授、ローロン カルノがディスカッションにやってきているのだけど、あなたも同席してくれますか?今、153小会議室。】
【はい。】
ローロンはかなり資金潤沢に研究をしている、古代人について研究している研究者だ。というのも、実はエミリーのおかげである。エミリーは、今は足を洗ったが、仮想通貨に少し投資をしていた事が過去にあった。ある日、ほんのわずかな時間のうちに、その仮想通貨の値段が大きく跳ね上がって、すぐ下がった事があった。偶然、その時のほぼ最高値で仮想通貨を売り払った少ない一人がエミリーだった。エミリーは老後の資金や不動産や納税にお金を当てても、まだ余った残りのお金をローロンの古代人研究の研究費のクラウドファンディングに投じたのだった。
「失礼します。」
「ジェレミー、ありがとう。ローロンさん、こちらがジェレミーです。」
小会議室の中には、エミリー、ルイーズとローロンがいた。
「スライムゲノム解読のジェレミーはん!フュチュール大学で古代人を研究してます、ローロンと言います。よろしくお願いします。」
フュチュール大学は、ここソレイユ国の最高学府で、42歳になるローロンは、そこの教授なのだった。
「ローロンさん、先月は科学雑誌シオンスにソレイユ国の古代人のゲノム解析の論文が掲載されていましたね。おめでとうございます。」
古代人のゲノムを読む事で、古代人の起源、そしてその子孫である現代人の起源に対する理解を深める研究分野でローロンは活躍しているのだった。また、古代語の研究も手掛けており、その研究分野は幅広い。
「おおきに。今日はスライムDNAを読む機械を使った共同研究のお願いにお伺いしております。」
「古代人のゲノムについて解析されているのですよね?私どもの機械ではスライム以外のDNAは読めないのですが。」
「それがでんなー。このサンプルは、先日発掘に成功したシゾーの街付近の、古代遺跡のとある館の庭だったと思われる所にあった人骨から採ったものなんでんが、どうしてもこのサンプルはDNAの配列情報が読めんのですわ。どうもこのDNAはA、G、C、Tの文字で出来ているDNAではないようなんですわ。」
「そこでスライムDNAの解析技術を持つ我々に、解析ができないかという話が少し前にあったのよ。ルイーズ、あなたの結果をジェレミーにも共有してくれますか?」
「はい。スライムDNAを選択的に染色できる試薬、SAPI、を私達はその昔開発したわけです。今回の実験ではそれを使いました。この試薬はスライムDNAのU、N、K、Oの文字となっているスライムヌクレオチドと結合し、蛍光を発します。スライムDNAを溶かした溶液を用意し、四つの条件で蛍光を測定しました。スライムDNAのあるなし、SAPIのあるなしで4条件で測定したというわけです。そして、溶液中にスライムDNA、SAPIを両方入れた場合のみ、蛍光を観測したのです。更に、もう一つの実験もしました。普通の生き物のDNAを染色する蛍光試薬を、SAPIの代わりに使ってみたところ、蛍光は出なかったのです。」
「すると、普通のDNAではなく、スライムDNAと同じ構成要素U、N、K、OからなるDNAを持った古代人がいた可能性があると言うことか。これはやばいな。」
「科学的にすごい発見になるかもしれない。スライムDNAを持つのは、この星で唯一確認されている魔物、スライム以外にはいないのだろうという私たちの今までの考えが覆るわ。そして、未知の生命体に関する情報なのだから、将来何らかの形で国防にも結びつくかもしれないわ。それで、ジェレミー、このサンプル内にあると考えられる、スライムDNAと同じ構成要素でできた古代人DNAの配列を決定してくれますか?ルイーズがもう実験を始めている事からわかると思うけど、軍の上層部も研究は許可しました。」
「わかりました。やってみましょう。シークエンサーは二台あるので、今行っている解析と同時並行で進められると思います。」
ジェレミーは承諾した。
「おおきに!じゃあ、レッツ キープ イン タッチと言うことで!」
こうしてジェレミーは古代人の研究にも携わる事になった。
お読みくださりありがとうございます!
次回は明日4/19投稿予定です!
いよいよ鬼化したスライムのDNAの解析結果が出て来ます。
良い一日をお迎えください!