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7.きれいに関しては

長い説教が終わり、結論として奴隷紋を隠したレオルドさんがしっかりフォローしてくれることとなり、タメ口に呼び捨て、治療費は200万リグで決定した。


タメ口や呼び捨てに関してはいまさらという感じだったため早々に諦めてくれたのだが、治療費については揉めに揉めた。なんでも、レオルドさん購入費のほとんどが右腕の治療費なんだとか。


支払わないのは納得できない、せめて払わせてくれと言われて了承したのだが、次は治療費が安すぎることにも納得いかないということになり、傍から見ると値を吊り上げる立場と値下げをする立場が逆だろうという言い争いを繰り広げたのだった。




移動しながらも未だに200万リグは高いと思っているが、もう決まってしまったことは仕方ないと割り切って顔を上げる。


二人は今宿屋の裏庭に来ている。

着いてすぐに受付で使用許可を取っているので、ここにお風呂を作ろうと思っているのだ。


宿では大銅貨1枚で桶とタオルを貸し出しているが、きれい好きで日本生まれのお風呂が大好きな私には到底満足できないし、薄汚れているレオルドさんもタオルで拭いただけではきれいにならないだろうと考えたのだ。


そんなことは知らない彼は訝しげな顔をしている。


「ここで何をするんだ?」 

「ここにお風呂を作ります!」

「…俺は何をすればいいんだ?」

「すぐできるので、レオルドさんは少し待っていてくださいね!」


私の発言に頭が痛いという風な雰囲気を醸し出している彼には目もくれず、お風呂づくりを開始した。


まずは土魔術で地面を均してから3m×3m四方の浴室部分と二間続きとなる1m×1mの脱衣所部分の壁を作って、それから時空魔術の収納から浴槽と床用の簀の子と屋根用の木材と扉を取り出して風魔術を使い、どんどん置いていく。

シャワー部分はシャワーに似た魔道具を収納から出して壁に埋め込むようにして設置していく。

あとは脱衣所にこれまた収納からバスタオルなどが収納されたキャビネットを取り出して設置し、火魔術と水魔術で浴槽にお湯を溜めれば完成!


かかった時間は体感で3分くらい。今までも何度も準備してきたから相当早いと思う。


そして、このお風呂はシャンプーやボディーソープも自家製で作ったものでこだわりがたくさん詰まっているのだ!


本当は浴槽も土魔術で作りたいが、水を入れると少しずつ土が溶け込み始めることに気づき、浴槽を30万リグで買ったのだ。そのときにシャワーの魔道具も買ったのだが、一番いいものを選んだのでこれだけで15万リグもした。


まあ、そんな過去のことはさておいて、レオルドさんに早く入ってもらわないと!と思い振り返ると彼は口をあんぐりと開け、呆けていた。


「できましたよ!さあ、お風呂に入ちゃってください!レオルドさんが入っている間にレオルドさんに合う靴と服を買ってきますので!あ、使い方わかりますか?こっちにタオルとシャンプーとボディーソープが入っていて…」


シャワーの使い方や物の位置をどんどん説明していく。全て説明し終わると「…あぁ、わかった」と返事があったので、「では、買い物に行ってきます!」と言い残し、未だに理解の追い付いていないレオルドを置いて街へ繰り出したのだった。



シャツやズボンを数着ずつと靴はサイズがわからないのでサンダルのようにかかとがないものを1足選んだ。

大体20分ぐらいで街での買い物を終えて戻ると、もうすでにお風呂から出て元の服を着て待っているレオルドさんがいた。


待たせてしまったと思い慌てて駆け寄ってみると肩にかけている使ったであろうタオルが若干茶色くなっていることに、そして元の服の汚れ具合に気が付いてしまった。


「もう戻ったのか、早かったな」

「…や…おし…」

「…ん?なんて言ったんだ?」

「やり直しです!!もう一回お風呂に入り直してください!!!」

「はあ?!なんでだ?!」

「なんでじゃないです!タオルを見てください!汚れてるじゃないですか!それにせっかく洗ったのに汚れた服着たら意味ないです!全身洗い直しです!」


反論するレオルドさんを黙殺し、汚れているお風呂のお湯を張り直し、新しく買ってきた服と靴を渡して半強制的にお風呂に入れる。お風呂に入っている間ずっと声をかけ続け、洗う時間が短いとやり直すように伝える。


手は空いているので、お金を稼ぐために下級ポーションを作っていく。


下級ポーションはテコ草と呼ばれている、傷口に効果のある薬草を細かく刻んで魔力を込めながら水で煮込み、濾すと出来上がる。


ちなみに中級ポーションはテコ草とさらに傷口に効果のあるリンド草、薬効成分を高めてくれる貴重なロロ草が必要になってくる。

上級ポーションにもなると4種類もの貴重な薬草、ロロ草に解毒薬にも使われるフィスミス草、傷口に薬効のあるオト草とヨモモ草が必要なのだ。

特級ポーションに至ってはほとんど市場に出回ることがない代物で傷口が塞がっていなければ、欠損部分を回復すると言われている。


レオルドさんが治療方法を見つけることができなかったのも仕方のないことかも…私すごいのでは…?と特級ポーションに思いを馳せて自画自賛しながら下級ポーションを20本作り、追加の10本分の濾し作業をしていると、


「もう、出てもいいか……」

と懇願するような覇気のない声が壁の向こうから聞こえてくる。


時間でいうと30分経ったかどうかというところだが、日もだいぶ傾いてきていて、自身もお風呂に入りたいため渋々了承を伝える。


彼が着替えて出てくるまでに濾す作業を終わらして、器具の片付けを完了させる。完了と同時に扉から疲れた様子のレオルドさんが出てきた。しっかり洗えているか目を皿にして確認していく。


汚れの落ちた顔はさらに整って見える。髪は少し傷んでいるがきれいなプラチナブロンドの色をしていて、瞳はベージュにほんの少し黄色を足したようなやわらかい色合いをしている。肌は荒れているが、汚れが落ちたからか血色もよく見え、予想に反して白く見える。それでも健康的な肌の色といっても差し支えないぐらいだとは思う。奴隷紋は着ているシャツが覆って見えない。


このままケアをしないのはもったいなく思えて、自家製のスキンケア用品とヘアケア用品を渡して使い方を説明していく。



説明が終わるころには疲れ切ってうんざりした表情を隠そうともしないレオルドさんがいた。


読んでいただきありがとうございます。

ルナは異世界に来てからお風呂愛が爆発した感じです。

旅をし始めてから乾燥が気になりだし、日を追うごとにケアに余念がなくなっていきました。それも相まって良家の世間知らずのお嬢さんだと思われてよく騙す標的にされています。

今までは結構な量のポーションを売ってどうにかして生活費を賄っていました。

貯金のほとんどは冒険者をしている中で貯めたものです。


「面白いなぁ」

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