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49.荒ぶる宰相とその責

建国・誕生祭、八日目。


アスリズド中央国・ドラスティア国・セルバイド王国の三カ国会談が行われた。


会談開幕時にはアスリズド中央国側から虚偽報告の疑念を抱かれていたため、唯一の証拠品である開封済みの酒瓶を提示する一幕もあった。そのおかげかスムーズに三カ国による協定は結ばれた。


主題は主催者側としてアスリズド中央国からの謝罪と賠償、そして協力要請について。こちら側は情報開示と権限の一時的付与。


何もかもこちらの要望通りとまではいかなかったものの、ギルスティア連合国の凶行に対処出来なかった落ち度として相当な優遇措置が取られるそうだ。


特に“緊急時の王宮内における自由裁量権限”は破格の待遇なのだそうだ。

解りやすく言うと、“何かあったらそっちで対処してくれていいよ”ってことらしい。いちいち許可を伺う必要がないんだって。


鑑定で安全確保に動かないといけない私としては、食糧貯蔵庫とかの客人立入禁止場所に入れる方がよっぽど助かるなって思った。

確認作業に関しては確認漏れを回避するために三カ国から各々人員を派遣することとなった。



ドラスティア国からは私とレオルドさんとエマさん。


セルバイド王国からはアンドリュー騎士団長さんに魔術師のレインさんとミィンさん。


アスリズド中央国からは王子ふたりとリューズ・ラチスっていう鑑定スキル所持者かつ王様の側近さんが同行するそうだ。



お互いに顔合わせとして軽い自己紹介を済ませたのだが、誰もが私にはないオーラ?みたいなものを感じた。傍から見てもそれぞれが一般人でも使用人でもないのが丸分かりなのだ。


この人選は何かありますよって言っているようなものだからちょっとどうかと思ったけど、犯人の行動抑止と物的証拠の確保を確実にする狙いがあるらしい。


調査内容を詰める話し合いの間、強制捜査みたいなことをやる側に私がなろうとは人生は分からないなあ、と呑気に思っていた。






建国・誕生祭、九日目。


まだ空が白み始めて使用人もちらほらとしか活動していない時刻に捜査メンバーは集結していた。


因みにドラスティア国が一番最後に到着した。朝が苦手な私が起きられなかったせいで。

ギリギリ予定時刻前なのでセーフ。起こしに来てくれたレオルドさんには本当に感謝してる。


「全員集まったため、調査を開始する」


リューズ様の号令に対し、各自バラバラに返事をして移動を始めた。



国王陛下直々に手綱を握るように使命を課せられているリューズは、足並みの揃わなさに嫌気が差したのだった。




食糧貯蔵庫や厨房、物置部屋など様々な場所を鑑定して回り、呪詛に侵された酒瓶の回収に成功した。


しかし、あまりにも数が少なかった。

全員の見解として捜査範囲を拡大すべきで一致し、まずは王様に判断を仰ぐとしてお開きとなった。


回収品はアスリズド中央国側が全ての所有を主張したが、最終的には三カ国それぞれで等分する運びとなった。


その際のエマさんとリューズ様の談判は穏やかとは程遠い様相を呈していて誰も関わりたくなくて見て見ぬふりを貫こうとした。


が、徐々に使用人達の人目が増え始めた頃合いに仕方なくといった姿勢のレオルドさんがエマさんに加勢した事によって終止符が打たれた。


この時、私を含む捜査メンバー数名は彼に羨望の眼差しを向けた。




一時解散となったためセルバイド王国メンバーと共に廊下を進んでいた。


客人とはいえ他国の王宮内でおしゃべりをしながら廊下を渡る訳にもいかず、エマさんを先頭に無言でただただ脚を動かす。


客室に近づくほどに廊下ですれ違う人達にアスリズド中央国人にはない特徴を持ち合わせた、国際色豊かな使用人が増えていく。


時折レズリー様と同様に招待された貴人がエマさんと挨拶を交わすため、面倒事を起こさないように護衛に徹する。



「お待ちください」


あと少しで到着という所でレオルドさんが進行方向に腕を差し入れ、待ったをかけた。覗き込んだその瞳は廊下の曲がり角を睨んだまま微動だにしない。


「何かありましたか?」

「…警戒を」


ただ一言発した彼は警戒態勢を取り、それに触発された私達も遅れていつでも動けるように警戒を強める。


神経を尖らせて周囲に意識をやると、注視する廊下の先からカツカツカツ……と誰かの足音が響いてくる。


僅かの間をおいてその廊下の曲がり角から姿を現した人物は警戒を露わにした物々しい様子に一瞬驚愕の表情を浮かべた。


しかし、その視線が一点に固定されるや否やすぐさまそれが憤怒の形相へと変貌を遂げ、荒々しいオーラを立ち昇らせて一直線に目線の先へと駆け出したのだ。




「スズキィィィ!!!!!」






視線が合った、私目掛けて。




向けられる瞳には憎悪や恐怖などの複雑で苛烈な感情が渦巻いていて、正気だとは到底思えない。

その人物に付き従っていた護衛達もその凶行にただ表情を驚愕に染め上げ、硬直している。


いち早く反応したのはレオルドさんだった。私とその人物との直線上に身体を滑り込ませて守るように対峙する。


それが気に喰わなかったのか、その人物は他国の王宮内だというのに魔術の詠唱を紡ぎ始める。次第に事態を把握してきた彼以外の面々がやっと行動を開始した。


「ロックバレットォッ!!!」


詠唱を終えて大量の石の礫が高速で飛んで来る。


それを予想してか、私が常時結界を張っているレオルドさんが石の礫を弾きながら更に前へと駆け抜けていった。


そして、一気に距離を詰めて背後に回り込んだ彼は再度発動しようと魔力を収束させている腕を捻り上げ、バランスを崩した身体をそのまま地面へと縫い付けた。


拘束されてなお諦めず、血走った眼で抵抗を続ける様は狂気的で、逃れようと必死に藻掻いているのだが、レオルドさんは物ともしない。


「彼は確かミスミ宰相閣下、でしたかしら…?」

「はい…」


襲撃犯が捕縛され、安全確保がなされた事を確認したエマさんがさらに問う。


「…彼もまた、呪詛に掛かっているのでしょう?」

「…はい」


【天眼】にはしっかりと“呪詛”と表示されている。


やはりというべきか、現状最も強力に呪詛が作用しており、これ以上放置していた場合の解呪後はほぼ間違いなく後遺症が残っただろう。


今この場で私が襲われたのはある意味運が良かった。


そう考えはしても人目のある廊下で解呪は行えない。今なおレオルドさんの拘束下で暴れ続ける三澄君は私が近づくと抵抗の激しさを増す。


「スズキィッ!お前ナんかニ渡しテナルもノかァッッ!?!?!」


イントネーションの狂った発音で怨恨を吐き続ける。

抵抗が強まる中レオルドさんはさらに力を籠め、指示を仰ぐ。


「拘束し続けることは出来ないぞ。意識を奪ってもいいか」

「…私に任せて貰えませんか」

「怪我すんぞ?」

「大丈夫」

「なら早くしてくれると助かる」

「うん」


了承を得たと同時に三澄君のすぐそばまで近づき、聖魔術で睡眠へと誘う。

いきなりガクリッと身体が脱力して意識を失った事に驚きつつもレオルドさんは慎重に拘束を解いた。


「この場合どうするべきでしょうか」


エマさんが眉間に皺を寄せて苦悩を吐露した。


三澄君が呪詛に掛かけられ、自己判断能力を喪失したことで私へ襲ってきたことは間違いない。


しかし、事実とは裏腹に “セイクリッド勇王国宰相”が“ドラスティア国議員夫人”へ明らかな加虐意志を持って襲撃し、返討ちに遭った。という状況証拠が成立している。


野次馬が騒ぎに駆け付けていることもあって目撃者が大勢おり、証言者には事欠かないだろう。

もう遅いかもしれないが、解呪もしなければならないことだし、今すぐにここを離れたほうがいい。


「三澄、…じゃなくて宰相閣下を連れて早く移動を…」

「これは何の騒ぎだ!?」


私の提案は誰かの大声によってかき消された。

人混みを掻き分け、騒ぎの中心である私達の下に姿を現した声の主は先程まで行動を共にしていたリューズ様と王子様達で、現場を一瞥して険悪な表情を浮かべた。


「どういう事か説明して頂けますよね?」

「私達はここを通りかかっただけです。そうしたらいきなりミスミ宰相閣下から襲撃に遭い、迎撃しました」

「その言葉が事実だとするならば、その者の身柄は我々が預かりましょう」


その提言に思案顔で数秒間返答を熟考したのち口を開く。


「いいえ。我々ドラスティア国はアスリズド中央国から“権限”を移譲されているはずですから、こちらで引き受けます」

「しかし、招待客を危険に曝すような人物を易々と野放しにしておけません。ご理解下さい」


殊勝な態度で礼を尽くし、懇願してくる。

しかし、エマさんは余裕の笑みを絶やさない。


「アスリズド中央国の重鎮は言葉だけ立派で、責任は取れないのでしょうか?それに、貴方方ではどうにもできないと思いますわ」

「それは…」


会談に参加して権限付与について把握済みな彼には反論が思いつかなかったのか、歯噛みしている。

そして、あちら側に呪詛の解呪についても手立てがない事にも変わりない。


「ドラスティア国がこの者の身柄を預かります。宜しいですね?」

「…委細承知致しました。何かございましたらすぐにご連絡下さい」

「ええ。お心遣いに感謝申し上げます」


強かに微笑んだエマさんは「行きましょう」と一言告げて客室の方向へと足を向ける。

私達も意識のない三澄君を連れ、追従した。






気絶した三澄君を担いで帰還した事にレズリー様は目を見開いて驚き、エマさんが事情説明をする。


私とレオルドさんは別室で三澄君に掛かっている呪詛の検証を繰り返し、【天眼】などを使用してある程度の成果を認めた所でさっさと解呪した。


今はベッドの上で穏やかな規則正しい寝息を吐いている。直に目を覚ますだろう。


「で、何か分かったか?」

「うん、えっとね。私達の世界にも呪詛とか呪いとか呼ばれるものが一応あったんだよね。詳しくは解らないんだけど。で、その中に“呪詛返し”っていうのがあるんだ」

「呪詛返し?」


聞き慣れないといった様子で彼は繰り返した。


「言葉のままなんだけど。今回の件だと、呪術士達が自分達の呪詛に掛かっちゃうってこと」

「ほう。それで仕返しが出来ると」

「その…もうしちゃった」


実は【天眼】で鑑定してそれが出来る事を知って、回収品の酒瓶で実験してから三澄君の呪詛を取り除いた。


前回のパーティー時のようにその場で霧散することなく、黒い靄が空中を揺蕩ったのちどこかへ向かっていくのも確認した。

無関係な人ではなく、術者本人に向かっていった事も【天眼】で確証を得ているので問題ない。

今頃苦痛に呻いている事だろう。



因果応報自業自得ざまあみろ、と愉快な気持ちが湧き上がっていた。



「なるほど?敵にもダメージが入ったんだな」

「まあ、そうなるね?」


同意を示した途端、レオルドさんは悪役のような邪悪な笑みを浮かべた。


それにどうにか苦笑いを返したが、内心ちょっと引いた。それくらい人としてどうかと思う顔をしていたのだ。

人の事を言えた義理ではないけど、自分の事は棚に上げて。


「んんっ………えっ、…何で鈴木さんがいるの…?」


うめき声を上げて寝返りを打ち、薄っすらと瞼を開かせた三澄君は状況を飲込めていないらしい。何度も瞬きを繰り返した後、寝起きの掠れ声で問うた。


「おはようございます、三澄君。体調はどうですか?」

「…何ともないけど」

「それは良かったです」

「いや、説明して欲しいんだけど?」


不満を露わに不遜な態度で要求してくる。

自分の仕出かした事を覚えておらず、立場を解っていないのだろう。


「ここに来る前のこと、覚えてますか?」

「前?………あっ……」


決まりの悪そうな表情を浮かべて視線を逸らした。

その反応に安堵の溜息を漏らす。


「ふぅっ…思い出してくれて良かった……」

「何?嘲笑いたければ笑えば?」

「いや、そんなつもりじゃ…」

「じゃあ何かな?!」


突然怒り始めたことに慄いて後退った私を庇うようにレオルドさんが間に立ち塞がった。

体格のいい彼に三澄君は狼狽えている。


「自分に非があると分かっていて、他人に八つ当たりするのはどうかと思うが?」

「…ドラスティア国に雇われただけの使用人風情が、宰相の僕に気安く話かけないでもらえるかな!」

「そう言うなら、民の上に立つ責ある人間として言動に配慮すべきだろ」

「何を…!」

「感情の起伏も制御できないガキみたいに振舞って。そんなんで良く宰相が務まるな」


三澄君は怒りに顔を赤らめて激情を発露させた。


「…お前に何が解る!」

「解らないさ」

「だったら…!」

「けどな。重責を担う立場の人間が、こんな浅慮じゃダメなことくらいは解るぞ」

「この……!」

「ちょっと!?やめて下さい二人とも!」


レオルドさんの挑発的な言動に拳を振り上げた三澄君をどうにか宥めるが、睨みつけたまま臨戦態勢を完全には解こうとしない。

ふたりの態度に無意識に溜息が零れ、慌てて話題を逸らそうと口を開く。


「前々から思っていたんですけど、何で【天眼】を活用しないんですか?」

「…十分活用しているだろう?」


苛立ちを隠しもせず三澄君はそう吐き捨てた。


「使ってたら呪詛なんかに引っ掛からないと思うけど…」

「何?それは自分は僕より優秀ですっていう嫌味?」

「ち、違くて…!」

「じゃあ何?!」


苛立ちがひしひしと伝わってくる。

これ以上刺激しないように慎重に言葉を繕う。


「召喚された時も三澄君だけじゃなくてみんなに思ってたんだけど。どうしてあの国の人達を無条件に信じられたのかなって」

「…別に信用してたわけじゃないし」

「じゃあ、食事を出された時は毎回鑑定してから食べてた?服とか装備とか、身に付けるものは全部確認してた?」

「そんなのいちいち確認するわけ…」

「…そういう所だと思うよ」


この事態を招いたことに関して意識の欠落が露見して見え、その認識のなさに呆れ果てた。

傍らで成り行きを見守るレオルドさんも同様に肩を竦めていた。


「はあ?」

「何も分からない場所で、知らない人達ばっかりで。それなのに誰も警戒しなかった。…今もそう。信頼のおける人も限られてて、隙を見せられない得体の知れない貴族ばっかりの。ましてやここはセイクリッド勇王国ですらない、敵陣のど真ん中なんだよ?どうして用心しようって思わないの?」


私は未知の環境と初対面の人、馴染みない常識がずっとずっと怖かった。


小心者の私はひとつひとつの事に“大丈夫なんだ”って思わないと動けなかった。


今でも地球だったらプライバシーの侵害だろうなって思いながらも人を鑑定してしまう。


みんなからしたら私の方が異常なのかもしれない。

けれど、この警戒心のおかげで今回の騒動で被害に遭わずに済んでいる。


高い地位に就けばそれだけ命を狙われることも増えると思うから自衛するに越したことはないはずだ。


「そ、それは…!」

「現に今、三澄君が普通に居られるのは色々な人の優しさが……」

「…何だよ?」


そこまで言って言葉に詰まった私に、苛立たしげに先を促す。


…違う。これはただの“優しさ”なんかじゃない。

だって、三澄君はセイクリッド勇王国の“宰相”だから。


「…これはね、『貸し』なんだよ。三澄君は色々な他国に大きな貸しを作っちゃったんだよ」

「…」

「これからは意識を改めないと。…今度こそ、取り返しのつかない事になるかもしれないよ?」

「…」


三澄君は返す言葉が見つからなくて口を開いては閉じを繰り返し、最後には唇を噛んでいた。


今、ものすごく悔しいと思う。けど、それを乗り越えて、かみ砕いて、自分なりに昇華しないとこの先また似たような状況に陥ることだろう。


何も話すことなく、沈黙が落ちる。

どれだけの時間が経過したかも分からないが、このままセイクリッド勇王国へ戻っては“宰相”の地位を剥奪されてしまうことは目に見えている。


「…三澄君は、このままやられっぱなしで良いと思う?」


私の問いに三澄君は訝しげな視線を寄越す。


「今度は何?」

「今回の顛末は三澄君がもっと慎重な性格だったら未然に防げてたんだけど、根本の原因はギルスティア連合国の人だから。やり返したいって思わない?」

「思うに決まってるでしょ」


三澄君は即答した。


「なら、全部白日の下に晒しちゃおうよ、【天眼】で。三澄君にはそれができるでしょう?」

「…僕に名誉挽回の機会をって?」

「違うよ」

「じゃあ何?同情?」


三澄君は口端を無理に引き上げて自嘲めいた笑みを作り出した。

彼が買い被るほど、私は甘くない。


「そんなんじゃないよ。…私もね、自分の大事な人に呪詛を掛けられてすっごくムカついてるんだ。けどね、私は今ただの“侍女”でしかないから。私が『あの人が元凶です!』って声を上げても誰も相手になんかしてくれないんだよ。…でも、三澄君は違うでしょ?」


私の企みに辿り着いて彼はニヤリと灰汁どい笑みを浮かべた。


「…へぇ?僕を利用しようってこと?」

「そうだよ?悪い?」



ルナの開き直ったような強気な即答に三澄は好感を抱いた。


なぜなら自国に置いてきた同級生は貴族社会に身を置きながら誰も彼もが謀略に疎く、自分の意のままにならないことがあれば、癇癪を起こしては楽な方へと流される。そして、最終的に行きつくのは狡猾な王侯貴族達の傀儡だ。


それがどうだろう。冒険者という呪縛なき自由な身であるルナがお互いの益を提示し、『宰相』という三澄真が何よりも死守したい名誉を持ち出して交渉を仕掛けているのだ。愉快に感じるのも当然だろう。



「いや!むしろ清々しいくらいだよ!…ねぇ、鈴木さん。これが終わったらさ、本当にセイクリッド勇王国に戻ってくる気ない?」

「ないよ。…あと、ルナって呼んで」

「え~?宰相権限で宰相に次ぐ地位を約束するよ?鈴木さん」

「はぁ…要らない…」


セイクリッド勇王国に舞い戻った未来なんて厄介事が待ち受けていることが明白で、名前を訂正しない事も含めて思いがけず顔を顰める。


「本当に?」

「本当に」


付け入る隙もないことを確認してか、残念そうにわざとらしく肩を落とす。


「…そっか。心変わりしたら言ってね」

「…ないよ」

「心変わりしない人間なんて、いないよ?」


そう言って彼は意地悪く笑う。

それは、憑き物が落ちた年相応の笑みだった。

最後までお読みくださりありがとうございます!

日曜日は投稿をお休みします。


三澄は土魔術や聖魔術などを使用する後衛サポーターのイメージなのでそんなに強くはないです。戦闘はルナの劣化版。対人能力はルナの完全上位互換(越えられない壁あり)。

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