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36.秘密の魔獣討伐

レズリー様命令通りに都壁外へと繰り出していた。

一応念には念を入れてドラスティア国使用人としての痕跡はほとんど残していない。あるとすれば、城壁を潜ったことだろうか。


路地に入ってからは結界魔術の幻覚作用で私達の姿を覆い隠して移動し、そこそこ広さのある人通りのない所に収納からテントを出して交互に冒険者装備へ着替えた。


あとは中央通りに合流して人混みに紛れて都門をギルドカードで抜けるだけ。

完璧な隠蔽工作はしていないけれど、お許しがあるので余計な不安を抱えなくて済んでいる。


ちょっとだけいけない事をしているような気分になれて楽しくもあった。


「絶対に見つかるなって言われなくてホントに良かったね」

「まあ、そうなんだが。あのレズリーが“尻尾を掴ませるな”って言うのは“誰だか分からないが、問題解決への先導者がいた”っていう状況にしろって事のように思うんだが」

「それってものすごく難しいんじゃ…?」

「まあな」


簡単だと思っていたのに!とんだ難題を振られてしまっていた。ここまで痕跡をほぼ残してないから存在に気づかれる可能性もゼロに近い。


「いいのかな?一人くらいは私達に辿り着きそうな気もするけど…」

「それが狙いでもあるんじゃないか?正面から批難せず、噂程度に留めて外交の隙を突く感じか」


一点の弱点を無理矢理作り出す。ちょっと陰湿だと思うけど、これは私達の想像に過ぎない。

ただの想像に違いないのだ。うん。


「でも。このまま魔獣を退治してもそうはならない、よね?」

「だから目に見えて分かりやすく魔獣の数を減らした物証を残す、もしくは姿を隠してド派手に魔獣を蹴散らす。ルナ的にはこの二つが実現しやすいだろうな」

「目立つのはちょっと…」

「なら、魔獣を狩って狩って狩りまくるしかないな」


それってすごく大変なんじゃ…?

でも、やるしかないんだよね…。


「が、頑張ろう!」

「よし!そうと決まったら俺が先行しよう。獣人は嗅覚が優れてるからな。魔獣の匂いが充満してるところまで案内してやる」

「流石頼りになるね」

「俺は複数撃破に向かないからこれくらいはな。適材適所だ」

「討伐は任せて!」


レオルドさんの先導に任せてどんどん王都から離れていく。

もちろん街道も利用しない。近郊には商隊を警護するように冒険者が定期巡回しているので、人目を避けてより多くの魔獣を討伐するためだ。



道を進んでいるだけでも魔獣が襲ってくる。しかもその殆どがD級でこんな王都近くに出没するような魔獣ではないんだとか。


ふたりでサクッと倒しては収納に入れてどんどん進む。次第に道は険しくなり、森の奥へと踏み込んでいく。そして森深くなるにつれて魔獣は複数ずつ現れ、出現間隔も短く、脅威度も跳ね上がっていった。



この奥で一体何が起こっているんだろう…。



一抹の不安を抱えながらも森を突き進み続けて太陽が昇り、そろそろ昼時になろうという頃。

レオルドさんが脚を止めて制止するように促し、人差し指が前方を指差していた。


視線を向けると見えづらいけど、遠くに巨石があった。その手前には地中へ続く洞窟が薄らと見える。その周辺をなぜかフォレストウルフやダートウルフなどが共に行動し、監視するかのように徘徊していた。


「あれは…?」

「巣穴だな。さっきからウルフ系統の魔獣しかいないと思ってはいたが、どうやら群れを成してあそこを根城にしてるらしい」

「種類の違うウルフ同士が群れを作るの?」

「稀に上位種個体が群れを統制する事があるんだ。ほぼ確実に奥にはB級以上のウルフ系統の魔獣がいるな」

「どうしよう?」

「そうだな。いつ風向きが変わっても不思議じゃないからな。気づかれる前に攻めるぞ」

「うん」


自分達が風下に位置しているからまだ気づかれていないが、慎重に近づいていく。


本当はここからでも狙えなくはないけど、距離に比例して威力も強力になる。となれば、当然小さくない着弾音が発生し、中にいる魔獣にも気づかれてしまう。


一網打尽にするためには見張り役に気づかれず接近してスムーズに仕留めなければいけない。


少しずつ、少しずつ、物音を立てないように慎重に慎重に足を運んでいく。

ウルフとの距離は大体五十メートル。その姿も今はっきりと捉えられている。

ここからなら!


(氷槍!)


心で念じた瞬間に五本の氷槍が生成・射出され、ウルフの頭部に吸い込まれるようにして命中した。私が攻撃したウルフ以外はレオルドさんが接近戦で難なく倒していた。

声を上げる暇すらも与えず絶命させる、その身体能力が末恐ろしい。


ひとまず血の匂いが巣穴へ漂う前にウルフを収納して血痕も消しておく。巣穴から出てくる気配もなく、未だ勘付かれていないようだ。


「中に入っていきますか?」

「…ルナが使える魔術で入っていかずともどうにか出来ないか?」

「えっと、出来なくはない、かな?」

「マジか……。頼んでもいいか?」

「まっかせて!」


レオルドさんは自身の役目を完璧に果たしたのだ。

今度は私の番。


今までにも殲滅戦には何度か参加したことがあるので、自信もある。


私の得意な攻撃魔術は水魔術。

魔力を充分に込めて今の私が放てる最大質量をイメージしていく。


「水よ、飲み込め」


言葉を口にするのは魔術を具現化するため。それだけ制御が難しいのだ。

掌からダムの排水の如く溢れ出る水量そのままに、洞窟内へ垂れ流していく。


私に索敵技術はないので、適当に結界魔術で地中深くまでを覆って排水を防いで。

あとは溺死するのを待つだけだ。


「レオルドさん!後は待つだけだよ!」

「相変わらずすごいな」

「…えへへへへ」


純粋な混じりけのない、レオルドさんからの称賛。

嬉しくないわけがなくて。


「どれくらい掛かるんだ?」

「30分くらい、かな?」

「ならその間に飯でも食っておかないか?」

「そう、だね。…うん、今から準備するね」

「頼んだ」

「はーい」


流石に絶賛殲滅戦中溺死現場で食事はどうかと思ったが、何もやることがないのは事実だったので、現実から目を背ける事にした。


そしていつもの料理セットを収納から出して料理を開始した。



献立は厚切りステーキに具沢山スープ、パン。



はっきり言って、王宮のコース料理は量が圧倒的に足りない。味も癖がなく上品で美味しいは美味しいが、食べ応えがない。



だから敢えてのガッツリステーキ。



これにはレオルドさんも「いただきます」の挨拶もそこそこに嬉しそうに大きな塊のお肉を頬張っていた。私も彼に見習って大口でパクリと食べて食べ応えを噛み締める。


ジューシーな肉汁がジュワジュワと噛むごとに溢れ出てきて本当に美味しい!


バイソンカウという牛型のB級魔獣。テレビとかで見た霜降り和牛って感じの断面で脂が本当に甘い。

これならいくらでも食べられそう…!


久しぶりのガッツリメニューを満腹になるまでおかわりして堪能し尽くしたのだった。




そして想定より長くなった食事後に洞窟を確認すると、ウルフ魔獣は全て息絶えていたのだった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


「面白いなぁ!」

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と思ったら!



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正直なお気持ちで良いので是非!!


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