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4.奴隷契約

購入する奴隷が決まり、応接室と思われる場所に通された。

今の私は心配事が一つなくなったので清々しい表情を浮かべていることだろう。


レオルドさんという獣人さんは後から来るらしく、この部屋にはルナと奴隷商人の二人が向かい合わせでソファに座っており紅茶が置かれている。

購入手続きと奴隷契約の説明をするそうだ。


「では改めまして、ご購入ありがとうございます。奴隷契約の説明の前に購入代金のお支払いをお願いいたします。代金が奴隷購入費、移動費、食費などを合わせて合計1000万リグでございます。」


自身の貯金額の半分以上の金額に、高?!と思ってしまったが、よくよく考えたらA級冒険者で高レベルスキル保持者なのだ。片腕分を換算してもお安いのではないだろうかと思い直した。


「分かりました。ここに出してもいいですか…?」


すんなりとこの金額を受け入れたからだろうか、はたまた現金を所持していなさそうに見えるためか奴隷商人は本日3度目となる驚いた表情を見せた後、おかしいといわんばかりに笑い始めた。


「あははは!いや、申し訳ない。普通はいきなりこんな金額を提示されればぼったくりだ!と、怒るのがよくある反応なのですが。長年商会を営んでおりますが、こんなにも気持ちのいいお客様は初めてです。」


何と答えていいかわからず、「ええっと、ありがとうございます?」と曖昧な返事をしてしまったのだが、そのことを気にも留めずに未だに笑っている。


「失礼しました。お代はこちらにお願いいたします。」


笑顔でいる奴隷商人は気になるが、指定されたところに収納魔法から大銀貨と銀貨を取り出し置いていく。その光景を見て、「収納ですか!なるほど。いやはや羨ましいですな。」と感想を漏らしている奴隷商人には目もくれず、どんどんと置いていくとすぐに1000万リグ分を出し終えた。


「…出し終わりました」

「ありがとうございます。今から確認いたしますので少々お待ちください。」

と言い、奴隷商人がお金を数え始めた。


やることもないので紅茶を飲みながらその作業を眺めていると、扉がノックされ、「失礼します」という声の後に扉が開かれ、従業員に連れられてレオルドさんが入り、奴隷商人の右斜め後ろの位置にまで移動し、そこで立ち止まった。


従業員は「失礼します」と断りを入れ、奴隷商人の隣に座り代金の確認を手伝い始めた。


レオルドさんを明るいところでよく観察すると精悍な顔立ちをしていて薄汚れていても髪と瞳の色が存外明るいことがわかる。はっきりと全身が鍛えられているが特に肩や腕のあたりが逞しい。


先程より小綺麗な生成りのシャツとズボンに着替えているが、サイズが小さく、靴も履いていないことが気になってしまう。


そんなことを思いながらレオルドさんを観察していると、代金の確認が終わり、「1000万リグちょうど確かに頂きました。」と私に向けてほほ笑んだ。


レオルドさんは自身の金額を知って目を見張った後、関心したような視線を私に向けている。


「さて、確認が済んだところで奴隷契約について説明します。その前に質問ですが、奴隷を買うのは初めてでしょうか?」

私は気を引き締めて、「はい」と答えながら小さくうなずいた。


「まず、奴隷は基本的に主人に逆らえません。ですが、絶対服従というわけではありません。奴隷に自害を命令することはできないようになっています。それから、主人には彼らの衣食住を提供と給金を支払う義務があります。食事などはないと死んでしまいますから、ご理解いただけると思います。給金に関しては、労働の対価として支払い、奴隷たちは主人が私たちに支払った金額分をこの給金から主人に支払いをし自分自身を買い戻すのです。このような内容がなければ、奴隷は一生奴隷のままになってしまいますからね。そして、奴隷の言動には、主人が責任を取らなければなりません。説明は以上です。何かわからないところはありませんでしたか?」

「…支払う給金に決まりはありますか?」

「特にありません。」

「えっ?」


その返答にルナは戸惑いを隠せないでいた。


「…ええっと…。それだと、給金を低くして、奴隷から解放しないようにする人が出てきませんか…?」

おずおずと奴隷商人と従業員を窺い見るようにして尋ねた。


「ええ、いますよ。というよりほとんどの人がそのようにしていることでしょう。ですが、私たちがどうにもできない問題で、できることはこうして給金を出すように説明することくらいなのです。」


奴隷商人たちは、少し困ったような、悲しいようなそんな表情を私に向けながら説明をしてくれた。こんな顔をされると居たたまれなくなり、

「分かりました。ちゃんと支払います…!」

と宣言してしまうのだった。


この言葉に安堵した様子で「ぜひ、お願いしますね。」と奴隷商人たちは微笑みを浮かべていた。


奴隷契約の説明を聞いている間、レオルドさんは冷めたまなざしでルナをずっと見ていたのだった。


「それでは、説明も終わったことですし、奴隷契約をしてしまいましょう。」


いよいよ、奴隷契約をするのだと私は再度気を引き締め直した。

読んでいただきありがとうございます。

今日はもう1話投稿します。

変更:500万リグ→1000万リグ


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