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29.奴隷ではなく

やっと王都に到着した。長かった。

快適野営生活を解禁してから他の人達の分も毎日ご飯を作ることになった。


幸い、食費はレズリー様と王子様持ちだったからまだ良かったけど、通り過ぎる予定の街に食料調達で立ち寄ったため護衛期間が長引いてしまった。


折角、野営をしてまで旅路を急いでいたのに、本末転倒だよね。


私達はこのまま指名依頼に就くので、メイド服や侍従服に着替えて彼らに同行し、王城へ向かう。


門から見ただけでも建物の広大さと美しさ、荘厳さが伝わってきたほどで、城門を潜り真下から見上げる王城は一国の主が住まうに相応しい優雅さだと思う。

…多分。


私が知っている王城はセイクリッド勇王国だけで、ここよりもっと豪華ではあったが、上品さに欠けていたからそう思うのかもしれない。


「「遠路はるばるようこそおいで下さいました。」」


馬場留で待ち構えていたのは豪華な衣装に身を包んだふたりの青年だった。


一人はくすんだ金色の髪にヘーゼルナッツのような瞳で目が垂れているのもあってとても優しそう。

もう一人はグレーに近い銀髪に黒っぽい青い瞳で目付きが悪いから怒ってるように見えて怖い。


「今回、セルバイド王国の皆様の案内役をさせて頂きます。アスリズド中央国第二王子、ニコラウス・ドゥーエ・アリス・リズベルドと申します。」

「レズリー様の案内役を務めさせて頂きます、第三王子のザウス・トーレ・アリス・リズベルトと申します。」


金髪茶眼が第二王子で、銀髪青眼が第三王子らしい。

私はドラスティア国側の侍女兼護衛なので、第三王子様とは関わる事があるかもしれない。


「歓待痛み入る!我がドラスティア国12議席がひとつ、レズリー・バーンである!よろしく頼むぞ!」

「セルバイド王国第二王子ウィリアム・シー・シャルール・セルバイドと申します。この度はよろしくお願い致しますね」

「ええ、こちらこそ」

「よろしくお願いします」



…なんか、異世界感がすごい。

王族同士の会話ってこんなに堅苦しいものなんだ…。

まあ、いつも通りの人が一名いるけども…。



「これを持っていって!で、あの子に…サーシャー!この子を連れて行ってあげて!」

「りょーかい!さ、行こっか」

「はい、お願いします。サーシャさん」


私は護衛兼侍女なので、アスリズド中央国側のメイドさんや侍女さんに部屋へ案内されながら、荷物の運び込みをしていく。


この野営旅の間に、女性冒険者の方々とは特に仲良くなれた。食事提供はもちろんのこと、トイレやお風呂のおかげである。


王族と関わることなく淡々と作業を熟すだけならこの指名依頼も簡単だけど、一筋縄ではいかないだろう。

セイクリッド勇王国の人々も招かれているのだから。


簡易鑑定で使用人の従事国を確認することはできないが、服装のデザインに見覚えがあるのメイドさんがちらほらと通り掛かっていく。


見上げるほどの身長に鍛え上げられた初めて見る種族もいた。見た目は人と変わりなくて、一国のお祭りはすごいなと思った。


設けられた一室に荷物を運び込み、レズリー様がすぐにでも休めるように先輩方から教えてもらいながら整えていく。荷解きを終えてしばらくすると、豪奢な服装に身を包んでゲッソリとしたレズリー様が戻ってきた。


「我は疲れたぞ!こんなジャラジャラと無駄に飾りを付けおってからに!重いったらないわ!」

「仕方ないでしょ!国の代表なんだからさ!」

「なりたくてなった訳ではない!」

「知らないよ!頑張りなさい!」


国の代表なのにサーシャさん達にぞんざいな扱いをされてる…。ここのいる全員の本職が冒険者だから当然なのかな?


終わりが見えない程に白熱した舌戦が目の前で繰り広げられる。ぼーっと眺めているとレズリー様が突然レオルドさんに視線を向けた。


「そういえばそなた、解放がまだであろう!今すぐ行くぞ!」

「え!今からですか!?」


思わず私が反応してしまった。

こんなに早くその時が来てしまうとは想定していなかったので、途端に不安になる。


「他国の一団がそんな簡単に出歩けると思ってるの?」

「問題なかろう!我を含めた三人だけで行けば良いだけではないか!」

「あんたが護衛も付けずに外出とか一番ダメに決まっているでしょ!ルナとレオルド二人だけで行ってきなさい」

「確認が必要であろう!?」

「そんなのは帰ってきてから紋を確認したらいいじゃない!あんたはただ出掛けたいだけでしょ!まったく…」


また白熱してる…。お陰で気持ちを整理する猶予は出来たけど…。


そう思っていたのに他の人達に「今のうちに行っておいで」と言われ、着替えて出てきてしまった。



街並みを歩く彼にちらりと視線を寄越しても特に気にした様子はなかった。


不安に思っているのは私だけ。

それもそのはずで、彼は私がいなくても立派に冒険者を続けていくし、困ることもない。


それに引き換え私は…。

この依頼が終わっても一緒に居てくれるだろうか…。


そうやってどんどんネガティブな思考に陥っていった。


「そんな暗い顔する必要ないだろ」


ハッと声のした方に顔を上げると、呆れて苦笑を浮かべるレオルドさんの姿があった。


「タルタルソース?の食べ比べ、するんだろ?」

「…はい!」


そうだ、またチキンカツ作る約束があった!


「野営を快適にしてくれるんだろ?」

「はい!」


王都で色々、買い替えようと思っていたの!


「これが終わっても旅するんだろ、一緒に」

「はい!」


まだまだ私ひとりでは不安しかないから、レオルドさんが一緒に居てくれると安心できる。


「ならそんな顔するな」

「はい!」


本当に欲しい時に欲しい言葉をくれる人だ、レオルドさんは。

それに、これからを彼自身も望んでくれているかと思うと嬉しい…!


沈んでいた心も急上昇して、彼の横に並び、歩きながらいつものように雑談を交わす。


「野営の時に不便だなって思っていることはありますか!」

「特にないな」

「それだと、どうしたらいいか分からないじゃないですか!」

「と言われてもな」


そうして王都の奴隷商に到着し、レオルドさんは奴隷から解放されたのだった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


「面白いなぁ!」

「続きが気になる!」

「早く投稿を!」


と思ったら!



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めちゃくちゃ面白かったら★★★★★

つまらなかったら★☆☆☆☆


正直なお気持ちで良いので是非!!


でも、

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