24.お魚食べたいから、釣りしよう?
アリドスの街を出発してから数日が経った。
それはそれは快適な野営ライフを送っている。
そしてレオルドさんと話し合って護衛依頼は受けないことにした。色々と大変だったので。
朝は朝食を食べてから馬で移動し始め、魔獣は護衛依頼の時と同様に魔術でサクサクと狩る。
お昼が近づいてきたら昼食を摂ってゆっくりしてからまた移動する。
暗くなるよりも少し早めに野営準備をして夕食を食べ、夜はレオルドさんに結界魔術が使えることをカミングアウトしたので魔獣が入ってこれない結界を張り、朝までしっかりと睡眠を取る。
結界魔術については「またか」といった感じで特に大きなリアクションなく、口外しないように言われただけだった。
だからと言って移動が遅いというわけではない。
私には回復魔術と付与魔術があるので。
付与魔術は何も物にしか付与できないわけではない。魔力が持続的に保持出来ればいいので、それだけで言えば魔力を持つ人や動物は付与しやすい。
けれど、魔力が多い者ほど効果が持続しない。多分、その者自身の魔力と混じり合って薄めてしまうのだと思う。
その点、馬は魔力を少しだけしか持っていないので付与効果が持続するし、付与もしやすい。なので、付与で体力増強をかけ、疲れてきたら回復魔術をかける。おかげで休みを余り取らなくても疲れ知らずなのだ。
そして今は昼食のために川辺で休憩を始めたところだけど、私はお魚が食べたくなっていた。
最近はずっと食べていなかったし、お肉が多かった。ここは内陸で海はないが、川には食べられるお魚がいるので!
「お魚が食べたいです!釣りしましょう!」
レオルドさんに釣りを提案し、収納魔術から釣り道具を取り出す。
ルナは今までも定期的に川釣りをして魚を手に入れていたのでレベル1ではあるが、釣りのスキルを持っている。
今回も過去と同様に魚が食べたくて、かつ、収納魔術に残っていない状態だったため釣りをしようとしているだけだ。
そして釣り道具を手渡されたレオルドは唐突な提案であったが、「まあ、ルナが料理を作るならうまいもんが食えるだろう」とすんなりと受け入れたのだった。
あと、急ぐ必要がないことも断らなかった理由の一つである。これで護衛依頼を受けていたとしたら間違いなく釣りなど許可しなかっただろう。
彼は意外と常識人なので。
彼に釣り道具を渡して早速針に餌を付け、川に釣り糸を垂らしていく。川の流れに沿って流れていく釣り糸を眺めながらボーっとしていると、いきなりピクンッと動いた気がしたので、竿を引っ張って糸を手繰り寄せると早速魚が釣れてしまった。
小振りだけど食べられると鑑定には出ているのでバケツに入れて置き、また釣り糸を垂らす。
何時間か釣りを続けていると15匹目の食べられるお魚を釣り上げたのでやめにして、既に釣りをやめて休憩しているレオルドさんと合流する。
「レオルドさん!どうですか?釣れましたか?」
「ああ。結構獲れたぞ」
「え、すごい数ですね!」
意外と私よりレオルドさんの方が釣れていたらしく、20匹以上バケツの中に入っていた。
正直スキルを持つ私の方が釣れているだろうと思っていた。時間も私の方が長かったし。これは勝てると思っていたから何だか悔しい。
鑑定してみても釣りのスキルは習得していない。なんでこんなにたくさんのお魚を取れたんだろう?
「どうやって釣ったんですか?こんなにたくさん」
「釣りは全然だったから途中で手掴みに切り替えたらこんなに獲れてな」
「ええー!ズルい!そんなの反則です!」
「反則って何がだ?」
「もう、もう!」
「一体どうしたんだ?」
どう考えてもルール違反だからこれは私の勝ちだ。だけど、勝負に勝って試合に負けたみたいな感じがするのでこれ以上は考えないようにする。
大事なのはこれらのお魚を使って何の料理を作るかだから。
そう自分を納得させて献立を決めるのに頭を悩ませることにする。
考えた結果、フィッシュフライにしてタルタルソースと一緒にパンで挟んだフィッシュサンドとシンプルなタマゴフィリングを挟んだタマゴサンドを作ることにした。
なので出来上がるまでの間、レオルドさんには待っててもらわないといけない。
「…今からご飯を作るのでちょっと待ってて下さいね!」
「分かった。…結局何だったんだ…?」
疑問に首をかしげている彼に気づくことなく、簡易キッチンと休憩出来るように椅子などを設置してから料理を始める。
「まず、お魚を捌かないとね!」
料理スキルがあるので特に問題なくお魚を三枚に下ろして、塩を振って置いて臭みを取る。
「その間にタルタルソースとタマゴフィリングの準備~」
ゆで卵を作り潰してマヨネーズだけ混ぜたタマゴフィリングとピクルスも入れたタルタルソースに塩コショウで味を整えたらこれでOKっと!
念のために玉ねぎは抜きで。
「お魚の水気を切って~下味を付けて~衣をつけて揚げる~」
フライはいい感じのきつね色になったらフライは完璧!
市販のパンは硬すぎてサンドウィッチに向かないので、天眼をフル活用して完成させたパンを使う。
一度に沢山作って収納魔術に保管してあるのだ。
「後はパンに挟んで完成!!…レオルドさーん!出来ましたよー!」
「もうか、早かったな」
出来上がったサンドウィッチをお皿に移してテーブルに持っていく。彼の分は私の3倍くらい多くしておいたので足りると思う。
「さあ、どうぞ!召し上がれ!」
「ああ。いただきます」
「私もいただきます!」
私が毎回食事の時に「いただきます」と「ごちそうさまでした」と言っていたのを聞いてレオルドさんも言うようになった。
初めて言ってもらえた時は自分の習慣が受け入れられたみたいでとっても嬉しかった。
二人で一緒に食事の挨拶をしてサンドウィッチに噛り付く。レオルドさんはフィッシュサンドに、私はタマゴサンドから。
定番のタマゴフィリングはやっぱりおいしい。卵を粗目に潰して白身の食感と黄身のねっとり感を残したのがいいアクセントになっている。
食べ終えたら次にフィッシュサンドに手を付ける。
サックサクの衣にふわふわのお魚とピクルスのポリポリ感、そこにマヨネーズの絶妙な酸味に卵のまろやかさがとってもおいしい。タルタルソースに卵を沢山入れたので、ボリュームがしっかりあって食べ応えが抜群!
お肉がなくてもレオルドさんが満足すること間違いなしだと思う。
彼の方を見ると、既にあまり残っていない。私はまだ半分しか食べていないので本当に食べるのが早い。
それに私には少し多かったように思うので、フィッシュサンドの方をあげよう。
「レオルドさん。良かったらフィッシュサンドをもう一つ、食べませんか?」
「いいのか?ありがたく頂く」
「どうぞ」
私の分を渡すと勢いよく齧り付いている。このサンドウィッチも気に入ったようで良かった。
そして残りのタマゴサンドを食べ進めていくが、いつも通り彼よりも完食が遅かった。
「ごちそうさま」
「ごちそうさまでした!」
でも、食後の挨拶はいつも待っててくれるのです!
読んでいただきありがとうございます!
我が家では空前のサンドウィッチブームが到来しています!
トマトときゅうりと目玉焼きにマヨの組み合わせが好きでよく食べていますが、なかなか飽きません。
近くのスーパーで売っているフィッシュサンドもよく買って食べているので書きました。
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