3.金獅子獣人との出会い
「ようこそお越しくださいました。本日はどのような者をお求めでしょうか?」
奴隷商の中は意外と明るく清潔に保たれており、物腰柔らかく丁寧な接客で優しい表情をしていたため緊張感が少し和らいだ気がする。
「えっと…、前衛の任せられる、戦闘奴隷を、探しています」
「戦闘奴隷ですね。予算はおいくらでしょうか?」
予算なんて全く考えていなかった。
ちなみにこの世界でもっとも使われているのがリド硬貨である。単位は以下の通りである。
小銅貨:1リド
銅貨 :10リド
大銅貨:100リド
小銀貨:1000リド
銀貨 :1万リド
大銀貨:10万リド
小金貨:100万リド
金貨 :1000万リド
大金貨:1億リド
白金貨:10億リド
お金が減るのを見ると不安になるが、それでもできるだけいい人を選びたい。
「いくらでもいいので、戦闘奴隷全員見せてください!」
思わず大きな声が出ていた。私の発言に驚いた様子見せたが、すぐに笑顔を浮かべた。
「かしこまりました。それではご案内いたします。」
案内をしてくれる奴隷商人の後ろをついていくとすぐに奴隷の入っている檻が見えた。奴隷の過ごしている檻の中も薄暗くはあるが清潔に保たれていたことにホッと胸をなでおろした。
帰りに一緒に歩いてて嫌なにおいがしてくるのはごめんだからなぁ。
この世界での奴隷は大きく二つに分けられる。犯罪奴隷か借金奴隷である。
この中から、ほとんどの者が一般奴隷に、冒険者や傭兵が戦闘奴隷に、重罪を犯した者が終身奴隷や鉱山奴隷、一般奴隷の中から希望した者だけが愛玩奴隷となる。
「戦闘奴隷は全部で30程度おります。ほとんどの者が前衛を熟せますので、ご安心ください。」
「意外と少ないんですね、戦闘奴隷って。あと後衛の人も。」
「後衛の務まる者もいますが、やはり怪我をしやすいからか奴隷に落ちるのは前衛を務めていた者が多いようです。」
前を向いたまま話をしながらいくつかの檻を通り過ぎていく。しばらく歩くと奴隷商人が檻の前で立ち止まったためそれに倣い、檻の中を覗き込んだ。
中には5人の人間が座っていてこちらを値踏みするような視線で見てくる。
「こちらからが戦闘奴隷の区画にございます。まずはこの者たちからご覧下さい。右側の手前にいる者は…」
奴隷商人の説明をよそに彼らを順番に鑑定していくが、剣術や槍術を持つものが多く、これといってスキルレベルの高い人はいない。
そうしていくつかの檻の中の奴隷を鑑定しながら見ていった。何人かの候補はいるがいまいち決め手に欠けるなぁと思っているとこれが最後だという檻の前に到着した。
「当店で一番戦闘に長けている者がこちらにございます。」
檻の中を覗くと大きな獣人さんが一人座り込んでいた。
腰まである髪は薄汚れてパサついており、髪に隠れて見えづらいが身体にしっかりと均等に筋肉がついているのがわかる。よく見ると右腕の二の腕の真ん中あたりから先がなく、肉が盛り上がっている。瞳の色はベージュのような色をしているが、その眼はこちらを警戒し、睨みつけるように見ている。
「あぁ?」
中にいる獣人さんが低く唸るような声を出したため体がビクッと反射的に跳ねた。
「この者はA級冒険者をしていたのですが、依頼失敗時の違約金を支払えずに奴隷となったようです。その依頼で右腕を失っているので、お値段としてはお求めやすくなり、獣人でA級冒険者ですから片腕がなくとも十分な戦力となることでしょう。いかがでしょう?」
奴隷商人の簡単な説明を聞いた後、目の前のこちらを睨みつけている獣人さんを鑑定すると、
【名前】レオルド
【種族】金獅子
【レベル】lv68
【固有スキル】なし
【スキル】体術lv8
剣術lv2
格闘術lv7
身体強化lv10
自然治癒lv5
硬質化lv4
火魔術lv3
風魔術lv5
直感lv10
【加護】なし
今まで見てきた中で群を抜いてスキルレベルが高く、何より直観のスキルレベルがlv10なのがいい。
「この人を買います!」
思いがけない大きな声で購入宣言をしてしまい、その声に奴隷商人は驚きながらも「ご購入ありがとうございます。」と礼儀正しくお辞儀をしてくれた。
檻の中の獣人さんも「ふんっ」と鼻を鳴らしはしたが、それ以上の反応は見せなかった。
こうして交渉役兼前衛を任せる奴隷を見つけ、心の底から安堵したのだった。
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