15.さあ、久しぶりに!
さあ、快適な空間は出来上がった。次は料理だ!
私はおいしい肉料理が食べたくなっていた。何せ、街の肉料理は個性的な匂いがするものばかりで、お昼は休憩時間があまりなく、すぐ食べられるものを口にするので。
しかし今は、商人たちや冒険者たちもお酒を飲んだり、食事を摂ったり、雑談しながらそれぞれ自由に過ごしている。少しくらい料理をしてもいいと思うのだ。
そうと決まれば、簡易キッチンを作らないといけない。
机の上に包丁や鍋、箸、魔道コンロなど必要な道具を収納魔術から出していく。
そして収納魔術から血抜き処理をしたオーク肉を取り出す。
オークは豚のような見た目をした二足歩行するC級の魔獣だ。高級な豚肉のように甘い肉汁とやわらかい肉質が特徴的でとてもおいしい。処理をしないと癖が強い食材だが。
そのオーク肉を解体する前にしっかりと血抜きをしたうえで、塩水につけて2~3時間置き、水で洗って、水気を切ったものがこれだ。もしまだ匂いが残っているときは牛乳に2~3時間追加で漬けるようにしている。
このオーク肉を使って今回は、シンプルなステーキと野菜のゴロゴロ入ったスープ、薄切りにしたオーク肉を挟んだサンドウィッチにしよう!
「まずは、野菜を切って…。それからお肉は大きめと薄切りに切って…」
料理lv5のスキルを遺憾なく発揮してものすごい速さで食材を切っていく。そして。
「次は、オークの油と野菜を鍋に入れて…」
うまみを補うために入れたオーク油と野菜を一緒に炒めて、火が通ったら水を加えて更に煮込んでいく。後は。
「…最後に塩と胡椒で味を調えてスープは完成っと。」
次はステーキとサンドウィッチの具材を同時進行で作っていくため、別々のフライパンにそれぞれを焼いていく。
「ステーキには塩と胡椒で、こっちには特製のハーブソルトを振りかけてっと。」
サンドウィッチ用の肉にマヨネーズをかけてレタスと一緒にパンで挟む。赤ワインとケチャップにハチミツ、バター、塩で味変ステーキソースも忘れない。
そう、マヨネーズにケチャップ。
それに加えて噛み切れる程度に柔らかいパン。
これらは《天眼》を最大限活用して時間の限りを尽くして作り出したのだ。バターやチーズ、生クリームなど馴染みのある食材はできるだけ買い取り、収納魔術に入れてある。
未だに持っていないものは醬油や味噌、梅干しなど日本食に欠かせないものばかりだ。
いつか、きっと必ず…!
それぞれの料理を皿に盛り、レオルドさんの前に並べていく。
「お待たせしました!ステーキとスープにサンドウィッチです!たくさん食べてくださいね!」
「…ああ。頂こう…」
「はい!どうぞ!」
正直レオルドはルナの普段から考えて料理ができるとは思っていない。しかも、何かわからないものが使われていて心底不安なのだ。匂いがとてもいいとしても。
なので、安全そうなステーキから手を付け、ステーキソースはかけずに一切れを口に入れる。
「ん!いつもと何か違うが、うまいな!」
「ホントですか!よかったです!」
彼の言葉にホッとして自分も食事に手を付ける。
まずはスープから飲むと、野菜の味がスープに溶け出していてとてもおいしい。オーク油がいい役割をしているのか、とても深い味わいになっている。
次にステーキは齧り付くと甘みが口いっぱいに広がり、肉はすぐに噛み切れてしまう。ステーキソースをかけるとコクが加わり、更においしい。
最後にサンドウィッチはしっかりと味付けされた肉をマヨネーズがまろやかにしていて、レタスのシャキシャキ感もあり、ぺろりと食べれてしまう。
「このパン、やわらかいな!」
「そうでしょう、そうでしょう!」
「ああ、うまい」
レオルドさんも気に入ったようで、ものすごい勢いで食べ進めている。自身の倍近くもある量を彼用に作ったのだが、ほとんど食べてなくなっている。
その頃の他の人たちは保存の利く堅パンにお湯で溶かした乾燥野菜の薄いスープに干し肉を食べていた。漂ってくるいい匂いもそうだが、レオルドたちがおいしそうに爆食しているのを全員が恨めしげに見ていたのだった。
そんなことに気づくはずもなく、次はもっとたくさん作らないとなぁ。と呑気に認識を改めながら自身の分を完食した。
読んでいただきありがとうございます!
我が家ではレバーの血抜きに塩水と牛乳の両方をしています。
そうして出来たレバーの煮込みがとても好きです!
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