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9.買い物 前編

窓から差し込む光の眩しさに目を覚まし、横のベッドを見ると空になっている。


部屋を見渡すと、着替えて椅子に腰かけ、右手を閉じたり開いたりしているレオルドさんが目に入った。


そういえば…、と昨日の出来事を思い出し、上体をゆっくりと起こしていく。


「…おはよ~ございます…」

「おはよう。随分と寝てたな」

「…すみません…」

「いや、怒ってないんだが…。」


全く脳が働いていない状態で返事をしている私にレオルドさんは苦笑している。


そして時間が経ち、脳が覚醒するとベッドから出て、奴隷紋が見えてしまっている首に濃紺のスカーフを巻いてから部屋を出てもらった。


すぐに服を着替えて水魔術で出した水で顔を洗い、部屋を出て合流する。そして朝食をとるために食堂に向けて二人並んで歩きだした。



今日もまた代わりにレオルドさんが注文している。

食堂内を見渡すと少し来るのが遅かったからか食事をしている人はほとんどいない。空いている席に座って待っていると少ししてから食事が運ばれてきた。


黒パンに昨日食べたものに似たスープ、それからベーコンがついていた。ベーコンは猪型の魔獣、タスクボアでできていて、タスクラビットよりうまみは強いが、臭みが強かった。


匂いに苦戦しながらも時間をかけてなんとか完食し、水を含んで食休めをする。彼はとっくに食べ終えていたようで話しかけるタイミングを見計らっていた。


「今日はどこに行くんだ?」

「レオルドさんの服と靴と…それから武器と防具と、あと…。ほかって何がいりますか?」

「基本そんだけあれば十分だと思うぞ?まぁ、他に必要なもんはそん時に買えばいいだろ」

「それもそうですね!…もう出かけちゃいますか?」

「そうするか」


残っていた水を飲み干して食器を従業員に渡して特に準備もないのでそのまま宿を出る。


爽やかな淡いミストブルーのような色をした空に、柔らかな日差しが街を包み込んでいる。


今日は絶好のお買い物日和…!


「さぁ、行きましょう!」

「どこから行くんだ?」

「まずは服屋さんです!実は勇気がなくて行けなかったお店があるんです…!」


そうしてレオルドさんを案内するように目的の服飾店のある街の中央に向けて大通りを歩いていく。今日はレオルドさんが歩幅を合わせてくれているため、自分のペースで歩き進める。


大通りを挟む左右の商店には、かわいらしい雑貨屋やおしゃれなカフェ、大きな書店などが立ち並んでいる。


このリズドスの街は中央に噴水があり、その付近の大通りには商店や宿が多く居を構えている。宿泊しているみどりの宿も中央寄りの大通り沿いにあるのだ。

反対に外壁付近の大通りは露店が多く立ち並び、それ以外のところには住居が軒を連ねる。

ちなみに代官邸は真南に建てられていて、その近辺は高級住宅街の様相を呈している。


この街の地図を頭に思い描きながら進んでいると、目当ての服飾店に到着した。


予想外に上品な店構えをしていることに彼は気後れしているが、憧れのお店についに入れる!とわくわくしていてその様子が目に入っていない私は、待ちきれなくて服飾店に足を踏み入れた。


レオルドさんも諦めた表情をしながらも続いて店内に入ってくる。


店中に入ると、明るく開放感あふれる店内にはたくさんの服や靴などが陳列されている。奥には試着室と思われる扉がいくつか並んでいる。


飾られている服に視線を移していると女性の店員が声を掛け、対応してくれる。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなものをお探しでしょうか。」

「ええっと…、普段遣いできるものと、あと、こちらの男性用の服と靴、を探しています」

「かしこまりました。まず、こちらから奥までが女性用の服や靴、髪紐などが置いてございます。そしてこちら側から奥までが男性用にございます。」

「あ、ありがとうございます…えっと…その…」

「適当に見させてもらってもいいか?」

「かしこまりました。何かございましたらお声がけください。」


そう言い残し、店員は離れていった。

フォローしてくれたことに礼を言い、どっちから見ていくか迷ったが、先に緊急性の高いレオルドさんのものから選ぶことにした。


たくさんある中から彼の気になった服や靴を試していき、サイズの合うものを選んでいく。


最初は素材のいい品々に乗り気だったレオルドなのだが、どんどんと購入決定されていく服や靴が積みあがる様をみると、合計金額が気になり始めていた。

何せ、前日に大きな買い物をしているのだ。しかも、ルナ自身の買い物はまだ何も決まっていない。


楽しく服を選んでいるところに思わず口を挟んでしまっても仕方のないことだろう。


「そんなに買って大丈夫か?」

「大丈夫です!」

「いや、そんなに金残ってんのか?昨日あんなに…使っただろ?」

「心配しなくても、大丈夫ですよ?昨日支払った分は貯金の大体半分くらいなので、まだ半分残ってます!」


そう自信満々に告げると再度買い物に集中する。

横からは「あの値段で半分…」と小さくつぶやく声が聞こえてきた。


そのあともサイズを見ながらも気になるものを選んでいき、最終的にはこれだけあれば困ることなんてないだろうと思う量の服と靴を購入したのだった。


また、自身の分は即決即断で選んだため、あまり時間がかからなかった上に、合うものが少なく、購入したのはほんの数着だけに止まった。



そして、レオルドさんには購入したもの中から、アイボリーのポロシャツと靴下、黒のスラックスと靴に着替えてもらい、それに今朝渡した奴隷紋を隠す濃紺のスカーフをしている。シンプルだからこそ整った顔立ちと鍛え上げられた筋肉が強調されている。


ちなみに私は今日、アイボリーのシンプルな長袖ブラウスにベージュのAラインキャミワンピースを着て、ウエストをワンピースと同様の布で絞り、後側で蝶結びにしている。靴はダークブラウンのブーツを合わせている。



その後の買い物で様々な視線が二人に集中した。


品のいい服に整った容姿、手入れされた肌や髪。

注目を集めるのも当然なのかもしれない。


常に注目され続ける人生を歩んできたレオルドは視線に気づきながらも特に気にしていなかったが、ルナは買い物に夢中で視線に気づくことはなかった。


読んでいただきありがとうございます!


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