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発掘屋として、今日も荒野を駆ける

 快晴の下、荒れた荒野を魔力駆動のバイクに跨り駆ける。

 本音を言うと陸路ではなく、空路を行きたいところだが、色々と間違えられると面倒(魔法の併用も微妙に危ない)なので基本的には陸路を行く。

 荒れた荒野にガンダムみたいなロボットが存在した戦後の世界。こんな感じの世界観のガンダムシリーズが在ったね。

 でも、二足歩行ロボットで行われる戦闘理由がこの星だと適当なんだよね。ガンダムシリーズでは、ミノ何んとか粒子が齎す電波障害の影響で、レーダー探知や電波制御兵器が使えず、パイロットの有視界戦闘しか出来ないっていう設定が在ったけど。

 この星では『参考にした古代兵器が人型だったから』と言う至極単純理由なのだ。他には『参考にした古代兵器の中で最優秀兵器が人型だったから』と言う説もある。この説も有力何だよね。操縦や適性に難が有るも、参考に出来る優秀な兵器が他にも在った事を示している。

 個人的にはどっちでも良い。

 逸れた話を戻そう。目的地の放棄施設が見えて来た。

 一見すると放棄施設は荒野に溶け込むような丘になっていた。殆どの放棄施設では約七割以上が地下に有るから入口は大きくない。

 施設を一周し、侵入可能な入口を探す。何も考えずに入ると防衛システムが作動し即戦闘となるので、ここは気にする。防衛システムの武装の殆どが銃火器なのだ。魔法障壁を展開したまま入るのは手間ではないが、内部に同業者がいるかもしれないと言う事を考えると……使用は控えるべき。

 魔法は架空の存在どころか、超常現象の一種とされているので、説明が面倒なのだ。魔法で記憶を消して誤魔化してしまうぐらいに。ええ。何度かやりましたとも。だって質問攻めがウザかったんだもん!

 昔の事はさて置き。

 施設に侵入を試みる。警備装置が作動しそうなところを幾つかチェックして回り、装置が機能していない事を確認する。電源が落ちているのか、監視システムが動いていなかった。侵入は楽だが、別電源の防衛システムが在る可能性が残っている。懐中電灯の灯りを頼りにゆっくりと慎重に侵入し、奥へ進む。

 ……どの程度進んだのか。

 階段を二階ほど降りて更に進み、施設の動力炉らしい部屋に辿り着いた。調べて見ると、完全に壊れていた。これで施設の電源が全て落ちている事の確認は取れた。ついでにこの施設の地図(電源の配線図)もゲット。

 地図を頼りに研究室に向かう。

 売り物になりそうなデータ系は、合法非合法問わず、人道や倫理から外れたものも、大体研究室に存在する。

 到着した研究室は別電源だったらしく、十年以上も経過しているにも拘らず部屋の電灯が点いた。

 手元の灯りを消し、棚を漁って電子書籍の端末を片っ端から簡単に仕分けて道具入れに容れて行く。ここを出てから改めて売るものと売らないものを選別するんだけど……古代文明にまつわる電子書籍が多い。売れるものが見つかるかな?

「ん?」

 仕分け最中にパサリと小さく音を立てて床に何かが落ちた。拾い上げると、非常に珍しい紙の地図だった。しかも手書きだ。

「羊皮紙だ。珍しい」

 紙製品は極めて少ない。六十センチ四方の藁半紙で貧困層の一人分の食事一日分に相当すると言われている程に高価な紙だが、拾った紙は羊皮紙だった。純粋な紙製品に比べるとやや価値は下がるが、高価である事は間違いない。

 地図を広げて見る。

 フリーハンドで書かれているので微妙に判り難かった。でも、何についての地図かは判明した。

 古代文明の遺跡の場所を示す地図だった。

 電子書籍が古代文明系に偏っていたのは、ここを発掘する為だったのか。そう考えると納得する。

 しかし、古代文明の遺跡か。本来なら喜ぶべき何だろうけど、古代文明の品々は未だに再現不可能なものが多く、安易に売り飛ばすと口封じ目的で危険が迫る事が在るので扱いに困る。

 どうしようかと悩んだが、他の部屋を調べてからでも良いだろうと問題を先送りにした。

 施設内全て回り得た戦果は。


 ・古代文明に関わる地図と電子書籍。

 ・現代技術で古代技術の再現に取り組んだ研究日誌。

 ・個人護身用の銃火器と弾薬などの消耗品。

 ・賞味期限残り三年半の長期保存食(元の賞味期限二十年)三十日分。

 ・未開封の使用期限ギリギリの医薬品。


 以上四点だった。

 見事なまでに売れるものが無い。食糧や弾薬類はありがたいから持って行くが、売り物になりそうなものが無い。医薬品は売れるかもしれないけど、何か遭った時に使うかもしれないから売り難い。

 研究日誌は人によっては『価値有』と見做して買い取ってくれるかもしれないが、そんなもの好きがこの辺りにいるとは思えない。

 やっぱり売れるものが無い。

 軍事施設の家探し中に見つけた、自分が保有する道具入れに近い『容量拡張袋(見た目はナップサックに近い)』通称『拡張袋』に保存食と消耗品と医薬品を適当に放り込む。この三種は人前で取り出す機会が在り、指輪型の自作道具入れの存在を明かさない為にも、手間でもこうやって仕分ける。

 持って行くものを回収し、これからどうするか悩んだ結果、自分は手書きの地図を手に取った。

 この地図に描かれている古代文明の遺跡は『未発掘』と記録が書かれていない。つまり、発掘途中の可能性が残っている。

 最後の希望では無いが、念の為行ってみようと言う『おまけ』感覚で向かう事にした。

 


 後に思う。

 人生の転換期ってこんな事で訪れるのね、と。


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