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人類が滅びかけても世界は続いて行く  作者: 天原 重音


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その男は違法研究者だった ~アンドリュー視点~

 人物紹介

 アンドリュー・ウォーカー

 外見。白メッシュ交じりの紫色の髪と赤と黄色の双眸異色。右目も黄色かったが研究の余波で赤く変色した。

 古代文明時代のマッドサイエンティストでナルシストで加虐癖持ち。罪人として凍結処分を受けていたが、大陸連邦に施設ごと発掘されて保護される。解答処理終了後、大陸連邦に特殊パイロットとして身を寄せる。普段は眼鏡をかけているが、パイロットとして活動する時には機体の補助を使用するので眼鏡を外す。

 古代文明の星辰術研究者(違法)なので古式機動殻については詳しい。

 研究者としての腕は良いが、ナルシストなので我が道を突き進む男。研究の為なら犯罪も辞さない。ナルシストなので、他者からの注意や警告は『嫉妬』と判断して無視する。倫理観無し。黙っていれば眼鏡を掛けた理知的な男にしか見えない。嗜好品は思考を鈍らせる元と見做しているので一切口にしない。

 累計五十を超える法律違反と、累計五千人を超える死傷者を出した事が原因で凍結処分となる。

 研究内容は星辰力の人工生産。闇ルートで孤児や実売りに出された人間を買い、その命を材料にしていた。

 目覚めた時の衝撃は今でも忘れられない。

 ――まさか、一万年後に目覚めるとはな。

 罪人として凍結処分を受け、永い眠りに就いた。凍結処分は冷凍睡眠と似ているが眠る年数が違う。俺の場合は五百年だった。

 実験に失敗したが成果を出した。代償として規定以上の星辰力使用し、死者を百名出した。研究の成果を見れば、この程度の代償で良く出せたと思う。

 けれど、出る杭は打たれるのが定めだ。俺の研究の成果が気にくわない連中の手で罪人に陥れられた。

 俺の研究は世界に革命を起こすものだと言うのに、何故凡人共は理解しないのだ?

 社会に不要な人間を再利用し、世界に貢献させる方法だと言うのに。

 はぁ。過去を嘆いても仕方が無いか。

 今の生活も不満だらけだ。たかが一万年程度でここまで文明が衰退するとは。しかも星辰術を使用した機械技術が完全に失われている。文字も言葉も、俺が生きていた時代から変わっていたので面倒でも習得せざるを得なかった。

 日々の退屈と不満潰しは、発掘されたかつての文明の遺品を弄り、教えを求める凡人共に知識を披露するだけ。気晴らしで翼竜型の機動殻にも乗ったな。



 面白みにない生活が一年ほど続き、ある日、変化が訪れた。俺の生活に変化を齎したのは初めて名を聞く人物だ。

「ステラ・オルグレン?」

「ああ。人型機動殻『無銘(むめい)』の操縦士だ。とある禿鷹集団に身を寄せている事が判ったのでな、機体ごと捕獲を頼みたい」

 奇妙な頼みだと思ったが、俺が目覚めた十年程前に大規模戦争で無銘は『一機を残して』全て破壊されてしまったらしい。

 その無銘が新品の状態で発掘されたが、たまたま居合わせたその人物の手に渡ってしまったらしい。

「操縦士は不要ではないのか?」

「いや、標本としては必要だ。貴様も聞いた筈だが、無銘の操縦士同士の間に出来た子供は皆短命で、永くて半年程度しか生きられなかった」

「……あー、思い出した。遺伝子登録の弊害の話しだったな」

 乗る人間を選ぶ無銘は色々とややこしい仕組みになっていた。その最たるが遺伝子登録か。複数の無銘に乗らなければ起きる事の無い弊害だ。

 現代では、この弊害で無銘の操縦士同士の間に子供が出来難くなっていたんだったか。

「ステラ・オルグレンは、その弊害の例外でな。既に十三年も生きている」

「それは確かに例外中の例外だな」

 機体ごと捕獲せよと言う謎の命令の意味を知って納得した。機体も乗っている人間も貴重と言う事か。

「ここに連れて来るまでに生きていれば良い。最悪、四肢が無くなろうが、胸から下が無くなっていても構わん」

「過激だねぇ」

「不満が有るのか?」

「いいや」

 訝しむような視線に否と即答で返す。

「うっかりやらかして色々と言われるより、最低限の線引きが確りしている方が良い」

 最低限の基準が確りとしているのなら、そこまでやっても文句は言われないと言う事だ。

「何を考えているかは知らんが、遂行してくれるのなら構わん。三日後に行ってくれ」

 言質とも取れる台詞に口の端が歪むのが判った。

 退屈とおさらば出来そうだと、期待に胸を躍らせる。

 そして、命令の実行日が来た。

 今や俺の愛機となっている翼竜型の機動殻『赤烏(あかがらす)』――個体識別名が無いので自分で付けた――に乗り込み、出撃した。



 上の判断で作戦は中止となったが、存外、愉しかった。

 ステラ・オルグレンと言う小娘は思っていた以上に博識だった。

 会話から俺が元犯罪者だと見抜く辺り勘も良い。操縦の腕も良く、眠りに就く前に見た魔法師以上に無銘を使いこなしている。

「愉しそうだな」

「ああ。愉しかったな」

 あの小娘を屈服させる。その瞬間を思い描くだけで、退屈だった日々が愉しいものに変わる。

 再び相まみえる時が愉しみだ。



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