episode7
俺らは街へたどり着いた!
街の中はありとあらゆる獣人で溢れかえってた。ネズミにうさぎ、犬に人までいる。
「人!?」
俺はおわず駆け寄り声を掛ける
「あの、すみません日本から来たものです」
人はとぼけた顔でこんにちわと挨拶をした。
流石にそう簡単に異世界転生者なんて見つからないか、現地の人までいたらこの先、苦労しそうだな。
「あ、兄ちゃん、バナナでもいるか?」
この世界にもバナナがあるみたいだ。異世界は日本にある食べ物とさほど変わらないみたいだ
「頂いてもよろしいですか?」
その人はグッドサインをした。
「兄ちゃん、変わった格好してるから他所から来たんだろ?日本って言ったか?俺は知らんが遠くから来たんだな」
ここの世界のものはみな優しいらしい
「ここ先曲がると果物屋があるからそこで買いな、今日は特売だったぜ」
そう言うとその人は去っていってしまった。
「じゃあ、早速果物屋に行ってみるか?でも、その前に私の買い物に付き合ってもらうぞ」
おれは犬のように猫耳の後を着いていく
着いた、そう猫耳が言ったところは他とは違う不思議なお店だった。
雑貨屋のようか骨董屋みたいなお店だ、とにかく乱雑に商品が置かれてる。
「なぁ、猫耳、ここが行きたかった場所か?」
他と違う暗くジメッとした雰囲気に俺は戸惑い猫耳に聞く
「ここにあるのも不思議でさ、何に使うか分からない物も多いけど何故か惹かれちゃって」
そう言いながら猫耳が手に取った物は日本の伝統工芸品のようなものだ
「ここにも、日本の文化があるのか?」
「日本はよく分からないけど昔お世話になった人がこんなのもっててさ、落ち着くと言うか…」
猫耳はちょっとうっとりとした顔をして工芸品を見つめる。
「おい、老いぼれクソジジイ、これ買うぞ」
大きい声で猫耳が言うと店の奥からよぼよぼの獣人が出てきた。
「おー、〇〇じゃないか、久しいな」
出てきた老人にも耳が生えていた、猫耳だ
「最近、忙しくてなかなか来れねぇんだよ」
「〇〇、相変わらず汚い言葉つがいだな、まるであの人に似てるようじゃ」
猫耳とじいさんは会話をする。
「うるせぇな…クソジジイ…」
猫耳は耳を下に下げている。表情には出ないが悲しげな様子だ
「なんじゃ、〇〇、後ろにいるのは友達か?」
じいさんは俺をチラッとみて猫耳に問いかける。
「こんな変態、友達じゃねぇよ」
「なんじゃ、わしはあの〇〇に友達が出来たと思って喜んだのになぁ、あの日以来暗い顔して誰とも接しなかったじゃないか」
猫耳はまた耳を下に傾けている
「あの日のことはもう忘れたよ、今はこのゴミの世話に忙しんや」
猫耳はチラッと俺を見る。呆れたような仕草をしてたが瞳はどこか安心しているような感じだった。
「お兄ちゃん、これからもこの子を頼むよ」
爺さんが深々とお辞儀をして手を差し出す。
「握手じゃよ、以前に旅のものに教わったんだ」
俺は爺さんの手に手を重ねた。
握手すると、爺さんは驚くような顔をした
「おぬし、日本から来たものか…?」
俺は動揺した。
「え?日本…なぜ?」
じいさんは目に涙を浮かべながらこう言った。
「指輪じゃよ」
あぁ、指輪か妻と婚約する時俺が無理してでも買った大事な物だ、確かこの世界に来る時に選んで持ってきたんだっけな
そういえば、気にしてなかったがこの世界には指輪をする文化はないんだな
「その指輪は愛する人との切れない証を形にするためにつけると世話になった人から聞いてなぁ、ぜひ合わせたい人がいる。日本人じゃ」
爺さんの言葉に俺は驚いた
「他にも日本人が?!」
「あぁ、わしはお前さん合わせて3人しか知らぬが…その者も日本人を探しているんじゃ」
他にも日本人がいるんだと俺は心の中で歓喜した
「明日、店を閉めた頃にここに来てくれぬか?その方に会わせたいんじゃ」
俺は大きく「はい」と返事をした。