episode6
朝だ、この世界にきてもいつも通り朝がやってきた。
以前はもう会社の支度してる時間だ、身支度してるといつも眠そうな妻が起きてきて寝ぼけた顔で抱擁を求めてくる。
しばらく抱き合った後、妻は急にスイッチが入ったように急に元気になって俺を笑顔で見送る。今頃どうしてるのかな…
「おい、起きたか変態」
猫耳だ、妻は俺に対して変態なんて言わない
「身支度をしたら街に行くぞ、ここからしばらく歩いたところにあるから体力つけとけ」
そう言うと猫耳はドンと机の上にご飯らしき物を置いてどこかへいった。
また虫じゃないよな、そう思いながら盛られた料理に見る。
魚だ、フナみたいな魚だ、でも、生だしそのままだ
猫耳は料理のセンスは無いものか…朝から重たいため息をついて魚にかぶりつく。
昨日、ご飯も食べずに寝たから魚は泥臭く美味しくはなかったが虫よりは美味いと思えた。
「猿は虫は食わんのに魚は食うんだな」
猫耳は呆れた顔でチラッと俺をみる。
何故か、振り返った猫耳は嬉しいそうな顔をしていた。
「おい、そろそろ出るぞ」
猫耳が昨日とは随分違う格好で出てきた。
お洒落なドレスちっくなスカートだ。正直、かわいい。
「にゃ、にゃんだ、お前変態の顔してるぞ、キモイにゃ」
俺はこれが孫にもなんたらなんだなと心の底から思った。
ここから街までは歩いて1時間程あるらしい
遠くから大きい協会みたいな建物が見える。
この世界にも宗教があるんかなとさらに心を弾まる。
「そう言えば猫耳、街には他のケモ耳がいるのか?」
猫耳はびっくりしたような顔をして言う。
「お前、ほんとにどこから来たんか?何も知らんのか?」
俺は咄嗟に日本だよと猫耳に言ってしまった。
猫耳はなぜか寂しいそうな顔になる
「そ、そうか日本か…日本はいいところか?」
思いもしない返答に俺は驚く
「日本知ってるのか?!」
うるさい猫耳が沈黙している。
「もしかして、他にも日本人とか居たりするのか?」
俺の質問は確信をついたようで猫耳は表情を変える。
しばらく沈黙をしたのに猫耳は口を開く
「死んだ」
俺も言葉を失ってしまう。
何か慰めの言葉を探さなきゃと言葉選びに必死な俺を見て猫耳は無理に作った笑顔をした。
「昔のことにゃ、もうすぐ街にも着くから今日は楽しむにゃ、案内はまかせろ!」
そう言うと猫耳は楽しそうにスキップをしはじめた。
「猫耳、そんな服でスキップしたら転け…」
ズサーッ
猫耳が盛大に転けた。言わんこっちゃない
「大丈夫か?猫耳」
痛たたという猫耳に手を差し出す。
猫耳は転けたからか泣きそうな顔をしている
「あ、ありがと…」
そう言って猫耳は立ち上がるとぼそっと小声でなんで日本の人優しいのかなと言った気がした。
それからの猫耳は気まずそうにしてて話もしてくれなかった。
ようやく街の入口が見えてきた。
ここから街だと言わんばかりに大きな壁に囲まれている。
「着いたぞ!それじゃ先ずはご飯食うか」
猫耳は軽やかに街へ足をかける。
俺もつられて楽しそうに思えてきた。