七 力の使い方
フレイアさんの部屋を出るとアイビーはすぐに執事に呼ばれた。
俺とレイがそれぞれの自室に戻ろうとしたときレイが口を開いた。
「今日はせっかくの休日だったのに本当に疲れたよ……」
「ごめん……」
「それで、君が魔録球を投げたときに左手のリング模様が光らなかったかい?」
「確かに光ったな」
「そのときどういう精神状態で、どういう動作をした結果、光ったかも覚えている?」
「オークの少女のためにアイビーを捕まえたくて、球を投げるために、下半身から生み出した力を指先に集めたときに光ったはず……」
「どうやら誰かのために、全身の力の指に集中させたとき、白のリングは魂の第一階層へのアクセスを許可するようだ」
「第一階層……ということはまだその先があるってことか」
「身体能力の強化は、魂の力の第一階層に触れただけに過ぎない。まだ『神具』すら出せていないしね」
「神具?」
「神具は魂の力を具現化させたもの。君と僕の神具が対になってるいて、漆黒の剣の対……つまり純白の剣をだせるはずなんだ」
「純白の剣……」
「ちなみに僕の漆黒の剣の名は『黒壊の剣』。君の純白の剣は父さんによると『白創の剣』というらしい」
「白創の剣か……お前は黒壊の剣をとりだすときに黒のリングを発動して、胸の奥から剣を取り出してたよな。白創の剣も同じように取り出せるのか?」
「神具の具現化は第二階層にアクセスできないと無理だろうね。とにかくまずは第一階層にいつでもアクセスできるようにならないと」
「想いと力のコントロールを極めるってことか……」
「まぁそういうことかな。特に想いのコントロールは重要で、自分がどう在りたいかよく考えることだね」
「わかった……ちなみにお前はどう在りたいんだ?」
「そうだね……それはこれから一緒に過ごす中で分かっていってほしい」
「そうか……わかった」
「あと最後に、僕らの神具は基本対になってるけど、それぞれ付随の固有能力もある。君の場合は『サブリング』かな。これは白のリングによって作られる地火風水の四属性のリングさ。詳細は僕も知らないから発動してから考えよう」
「なんか複雑そうだけ頭にいれておくよ」
「じゃあ、僕は部屋に戻るから。明日から魔法学園でよろしくね」
「あぁ……よろしく」
俺が部屋に入ろうとしたときレイが言った。
「そうそう、今日買った本とサイフは君の部屋の机の上に置いてあるからね。それと昼ご飯の支払いは僕が建て替えておいたよ」
そういえば完全に忘れてた……
あの短時間でそこまでやってたのか……
「ありがとうレイ」
「なに、本当に楽しいのはこれからだ。覚悟しておいてよね」
「あぁ……覚悟しておくよ」
部屋に戻ると、ベッドに倒れ込み今日のことを振り返っていると、そのまま眠ってしまった。