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異世界へ  作者: 馬子友也
第3章 緑の大地に生きるもの
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怪物について

「おばちゃん、こいつらにワソーを頼む」

「はいよ、どうぞ」


 そう言って差し出された水筒を受け取る。昨日と同じ水筒。


「朝食は大体これだな」

「へえ、朝食になってるんだ」

「そういやこれ昨日飲んだんじゃないか?どうだ、あんたらの口にあってたのか?」

「うん。すごくおいしかったし、みんなごくごく飲んでたね」

「そうか。そりゃよかった。これを飲んでこそ一日が始まるってもんだ!」


 腹にたまる味でありながらも、食欲のあまりわかない朝でもすんなりととることのできるワソーは、朝のお供として好まれるのはよくわかる。水筒を開け、一杯分飲むと、それだけでも十分活力を得られたように感じる。


「あなた達、昨日のご飯入れてた箱は捨てたのかい?」

「あ、ううん。洗っておいてます」

「ああ、そりゃよかった。また後で返しに来ておくれ」

「はーい」


 そう言って一行は食堂を後にした。再び区画外の場へと歩いていく。ルーチャがエリゼオに質問を投げかける。


「あの食堂の食材ってどうやって調達してるの?」

「ん?ああ、貯蔵されているものをつかったり、持ってきたものを調理したりと様々だな。基本的には持っていけるときにみんな何かを食材を持って行って、保管する。すぐに調理が要求されるものであれば、その場で調理は食堂の人たちに任せるって形だ」

「ボク達、何も持って行ってないや…」

「はは、気にするな!あんたらが数回あそこで食事をとったところで大した量減るわけじゃない。それにこれからまた機会があったときに何かとってきてくれればいいさ」


 やはりここのシステムは緩い。その緩さに救われている部分がかなりある。


 改めて考えてみるとここだけでなく、これまでの転移では大体衣食住が揃っていた。多少転移先を決められるにしても、これに関しては運によるところな気がする。随分とツイていたのではないのだろうか。今後はそういったことも考えながら転移について考えていくべきだろう。


 ただし、これについて考えるのはここでなすべきことを成し遂げてからだ。


 バームルについてはどのくらい情報が得られているのだろうか。ギリーは聞いてみる。


「なあ、バームルについての詳しい情報を教えてくれないか?」

「そうだな。大きさは大人三人程度の高さに二人はすっぽりと入ってしまいそうなほどの太さの幹を持っている。枝には葉が茂っていて、光合成を行っているんだろうが、日中にあの巨体を動かすことが出来るエネルギーを得られるのは普通じゃないと考えていいだろうな。通常の木と同じような形の根を動かして、日中は徘徊してるんだ」

「夜は?」

「動かないな。その場で埋まるから、監視でもしてないと他の木と判別がつかなくなる。だからワシらは昨日バームルが村に来てからは、交代で奴の見張りをしている」

「昨日から?」

「ああ。作戦決行は元々今日の夜だったからな。あんたらが協力してくれるってことで一日でもここを把握する時間を取ろうということになったんだ」

「なんというか、申し訳ないな」


 オレ達が来なければ、わざわざ教える手間も日程の変更もしなくてよかったはずだ。


「いや、こっちにとっては人手が一人でも多いほうが良いからな。もともとワシらはああいった怪物の退治をするようなことに慣れているわけではない。むしろあんたらの方が慣れているんじゃないか?」

「いや、申し訳ないがそういった経験はないな」


 こちらにとっても初めてだ。ギリーからすれば、近づいて戦ったのは島でほぼ不意打ち気味に人に向かってスタンガンを撃っていただけ。あれをカウントするのはどうなのだろうか。


「オレ達も戦うことに関してはそこまでだな。ただ全員でその怪物に向かって切りかかるわけじゃないんだろう?」

「ああ。近づくのは数人だ。他は弓で遠目から狙う。あんたらの中だと誰か前に出ることは出来るか?」

「そうだな。オレが行こう。体格的にオレが一番近接での戦闘に向いてるしな」


 そして能力的にも、だ。この中で唯一致命傷を負っても、オレには転生という力がある。三人の中で最も危険な立ち位置をこなすのに向いている役割ともいえるだろう。


「なら他二人は前衛をやる兄ちゃんやほかの人たちの援護を頼もう。前衛に何かあった際に救護を行う役回りだから、兄ちゃんのサポートとして動いてくれ」

「弓を撃ったりはしないの?」

「奴の皮はかなり硬くて矢が通らない。矢で傷がつけられるようにするには、近づいて何らかの方法で削らなきゃならないんだ。その上回復も早いと来た。前衛とのコンビネーションも必要になるから、腕に自信がないと出来ない役割だな。あんたら、そういった経験はあるか?」


 その問いにレストリーは首を振る。


「それだと、ボクの銃が役に立つかな」

「ジュウ?」

「弓よりも遠くから、高い威力でうてる武器。ボク達と一緒に荷物としてここにきてるはず」

「そ、そんなものを持ってたのか…それってかなり危険なものなんじゃないのか?」

「乱発は出来ないし、殺傷能力は抑えてあるから大丈夫。麻酔で眠らしたりするものだし」

「マスイ?」

「ああ、ええと…」


 ルーチャが説明をし、それにエリゼオが質問を重ねるという問答にしばしの時間がかかった。


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