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異世界へ  作者: 馬子友也
第3章 緑の大地に生きるもの
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大通り

一通り景色を堪能した一行は階段を下りたのち、大通りに向かっていた。


「ここの服ってどんなものがあるんだろう?楽しみ!」


 ルーチャが機嫌よく軽快に手を振って歩いている。確かにここにおいては、鎧があったかと思えばドレス、標準の生活用服もある。これまでの世界に比べて服の色やデザインの幅が広いため、様々な服を見ることが出来そうだ。


「店ってどうやって商品を受け取るんだ?お金とか持っていないんだが…」

「オカネ?そんなものはないが…物を持って交換に行く場合もあれば、用事を手伝ったりして払ったりする場合もあるな」


基本的には物々交換で成り立っているのだろう。お金。レストリーの世界にはそういうものがあると聞いた。ルーチャも知っていた様々な状況で用いることのできる交換手段だそうだ。ギリーもエルピアンタの民と同様に島では物々交換で成り立っていたため、実感がわかない。


そうして話していると、大通りに辿りつく。整備されているのか、大通りの部分は草が取り除かれて土の地面が顔を出しており、その道を彩るかのように人が三人はすっぽり入ってしまいそうな大木が並んでいる。いずれの木にも手が加えられており、それぞれに看板がつけられている。中は人の手で削られたような跡があり、食堂と同じようにまだ住居植物が育つ前の時代にできたことが見て取れる。周囲を見ると服屋だけでなく、本屋、薬屋、訓練所等様々な施設がある。その中の一つに眼をつけたルーチャがアルフィオに尋ねる。


「道具屋っていったいどんなのを売ってるの?」

「我々の所持している鞭や剣があそこにあるな。子供用におもちゃなんかもあるぞ」

「へえ、てことは武器屋みたいなものなんだ。店ってどうやって商品を受け取るの?お金とか持ってないけど…」

「ただ、現状君たちに店主が武器を渡すというのはしないだろうな。作戦の際はその時に支給するから考えなくても大丈夫だ」


 信頼の問題だろう。突如現れた異世界人に武器を渡すというのはなかなかに危険。敵意がないとしても、あちら側の立場に立って考えれば、大きな対価を積まれたって渡したくはない。そうしたものを簡単に渡してしまうと、自身の命ももちろんだが、周囲に住まうものの命にもかかわる。殺傷能力を持ちうる道具を売るというのは、お金や道具といった物質的な対価だけでなく、前提として相手がそれを悪用しないという信頼があったうえでの取引をなさねばならない。なかなかに難しいものだ。


 ふと気になったことをアルフィオに聞く。


「バームルはいつ来るのか分かっているのか?」

「いや、この辺りをうろついているから、不定期だ」

「こうして案内みたいなことをしていて大丈夫なのか?」

「ああ。奴は基本的に移動がゆっくりとしているうえに地響きがするから接近がすぐに分かる。そうなったときはすぐに樹上に避難するんだ。奴は上って来たりしないし、こちらから危害を加えたりしなければ、木をなぎ倒したりもしない」


こちらから危害を加えなければ、ということは、一度そう言ったちょっかいをかけるとここの巨木ですら危険な状態にさらされるということだろうか。それに挑むという申し出をした以上、腹をくくらねばなるまい。


とはいえ、今は今だ。楽しめる時間があるのなら、それを噛みしめるべきであり、その時間まで悩みで潰してしまうようではもったいない。頭に浮かんだ悩みを振り払って、目の前に広がる異世界商店に意識を向ける。


「今からもう少しすれば夕食の時間だ。それまでは好きにしていてくれていい」


 そうしてしばしの間の暇を手に入れ、三人は散策することにした。ルーチャは服屋、レストリーは本屋に行きたいといったので順に回っていくこととなった。それぞれ別行動で、とも考えたが、集まって動く方がこちらにとってもエルフたちにとってもよいのではないかと考えてまとまって動くことにした。


実際、エルフたちの目に敵意は見えないが、奇異なものを見る目がこちらに向けられている。ギリーはともかく、ルーチャとレストリーは違う種族であるためにより目立つためだ。


万が一襲われでもしたらこちらが太刀打ちできる術がない。ルーチャやレストリーは体格的に厳しいものがあり、肝心の銃も魔法も使えないこちら側に対して、エルフたちは草葉のナイフを持っていたりするため、勝ち目がない。

エルフたちは標準として、様々な色の洋服を着ており、男女問わず、何人かに一人は葉のナイフを腰に下げている。他に数人ほど弓矢を背負っており、彼らは狩りをして食料を得るためにそうした道具を携えているようだ。


ここに来た当初のエルフの男たちは警護兵であり、槍や剣はそのための装備。なのであのようなものは、基本的には持つことはないらしい。その程度には平和なのだと捉えることにした。


服屋と分かる看板を目にし、一行はそこへ入っていく。


「あら、いらっしゃい」


 出迎えたのはエルフの女性。黒い髪に黄色がかった肌で目は細め。ギリーから見るとかなり身長は小さめだ。


「どうぞ見ていってくださいな」

「はーい」


 笑顔で迎えられ、ルーチャはあれこれと物色を始める。レストリーは欲しがるというよりはその材質自体に興味があるのか、まじまじとその手触り、色の付き方といった服の持つ要素を観察していた。


「オレも見てみるか」


 そう呟きながら、ギリーも周囲にある服を見だしたのであった。


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