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異世界へ  作者: 馬子友也
第3章 緑の大地に生きるもの
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謁見

「エルフの他に、似たような姿かたちをした種族ってのは?」

「いないな。人間以外にそう言った種族がいたりするのか?」

「どうだろうな…御伽噺やら伝承やらではマーメイドやドワーフ、マクニットなんて聞いたりするが見たことはないな。ギリーとルーチャはどうなんだ?」


 話を振られた二人は首を振った。ギリーはそうした人型で同じように過ごしている存在など魔女以外に聞いたこともなかったため、レストリーの口にした種族もエルフも初めて耳にした。さっきからレストリーが興味津々で様々なことをエルフの男に聞いてくれているため、先頭に立ち質問を飛ばしているレストリーの会話に二人は耳を傾けていた。


「そういえばあんたの名前は?」

「ああ、そういえば言ってなかったな。アルフィオだ。後ろからついてきているこっちの細いのがイレニオ、こっちのガタイのいいのがオリンドだ」


 軽く紹介が入る。示されるままに後ろのイレニオとオリンドが軽く手を挙げる。


「エルピアンタってのはどのくらい広いもんなんだ?」

「多分、貴殿らが考えているものよりは小さいな。我らエルフが100人住まうのに十分な広さといった程度だ」

「俺のいたところに比べると大きいな。あそこはそもそも3桁も人数はいなかったし」


 レストリーが呟く。あの魚と湧水を生命線にしている村と比べると、こちらの方が多くなるだろうと思ってはいた。しかし想定よりもずいぶんと聞いた人数が少ない気がする。ギリーの島のように行動範囲が制限されているようには感じない。これほどまで広く、食料も水も十分に得られる土地ならば、もう少しいてもいいような気がするのだが…


「それは…バームルが原因だったりするのか?」

「あの怪物によってのやられたのは3人だ」


 想像した数値よりも少ない数が返って来る。となると何か原因が?


「そなたらの世界というのはもしやもっと多かったりするのか?」

「あ、ああ。場所によってはその数百倍以上はいたりするな」

「数百倍?人間というのは随分と数の多い種族なのだな」

「まあ否定はしないな。多けりゃいいってもんじゃないが」


 レストリーはやや投げやりに言葉をつないだ。


「俺の世界じゃ、他者のために動くという『利他的行動』をとれるのは人間とコウモリだけなんて言われているが、そのくせ蝙蝠より知能が発達しているはずの人間の方が、利他的でなく、利己的に動くことの方が多い。賢さを自身のことにばっかり利用して、他者の痛みや傷には気づかない。人間ってのはそんな愚かな生物だよ」


 ギリーはそれを後ろで黙って聞いている。「こじらせている」なんて言って片付けようと思えばそれで終わりだ。あの村に住まう上で構築された彼なりの見解であって、すべてが正しいわけではない。

ただ、すべてが間違っているわけでもない。


「そうか、君達は随分と苦労してきたのだろうな」


 アルフィオはレストリーにねぎらいの言葉をかけた。

悪意的にとらえれば、ここにいるレストリーもルーチャもその「愚かな生物」の種であるのだが、彼はそうは考えなかった。優しい選択をしている。エルフはそんな種族なのかもしれない。


 森の大通りを歩いていき、ひときわ大きな木の前にたどり着く。

 巨木の前には木を重ねて作られた広々とした階段が扇状に広がっており、一目見ても位の高い人物が住まう場所であることが分かる。アルフィオは足を止め、三人の方へ向いて言った。


「ここに族長フランカ様がいらっしゃる。粗相のないようにな」


 そう言いながら、大扉を開く。

アルフィオについて向かった扉の先には、赤いじゅうたんが真っ直ぐに敷かれており、その先には大きな椅子。

椅子の両脇には護衛として立っている男女。二人ともアルフィオに比べ、やや頑強そうな葉の鎧を身にまとっており、いかにもな武装といった様子。

その二人の間に女性が座していた。銀色の長い髪にエルフ特有の細長い目、褐色の肌をしており、萌黄色のドレスの上からでもわかる締まった体躯。気品と美しさを兼ね備えたその雰囲気はまさにエルフの「長」のものであった。


「ようこそ、エルピアンタへ。手荒な扱いをして済まなかったな」


 凛とした声が巨木の広間に響く。場の空気が引き締まる。


「そなたらは異世界から来た旅人だ、と聞いたが?」

「はい。砂漠の広がる世界より参りました」

「こちらがその証拠だそうです」


そういってアルフィオが人の握りこぶし程度の小さな草袋をフランカに渡す。フランカはその草袋を開いて、手のひらに中身を乗せる。小さな砂粒が帯を成して草袋から下りていった。


「これは?」

「砂漠における砂だそうです。彼らの所有していた鞄や衣服から採取されました」

「ふむ…確かにこの辺りでは見ない色のものだな」


 ギリーがふと仲間の方を見ると、レストリーは少し緊張した面持ちで、ルーチャは不思議なものを見るような顔をしていた。ルーチャの様子が気になったギリーはあとで聞こうと思いながらも、フランカの方に眼を戻す。


「分かった。そなたらの言っていることを信じるとしよう。では…」


 フランカは三人の顔を眺めながら言った。


「そなたらが我々に力を貸す、というのは真か?」


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