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異世界へ  作者: 馬子友也
第3章 緑の大地に生きるもの
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現状把握

男の方を向いたギリーは驚き、困惑する。目の前にいたのは…


 金色の髪、肩まで届くほどの長い髪、とがった耳に白い肌。切れ長の目に高い鼻。緑の装束を纏った人間のような形をした種族がそこにいた。一人だけでなく三人おり、いずれも格子の向こう側。一概に同じ髪の色や肌の色をしているわけではなく、白髪や黒髪、肌も黄色や褐色など様々だ。


 今いるのは牢屋と暫定して状況を考えると、オレ達は寝ている間に捕まり、投獄されたということだろう。異世界に転移する際、オレ達は眠っている。それゆえに異世界に移動した直後は無防備であり、その状態のままここに運ばれたと考えるのが妥当だろう。


周囲を見るとルーチャともう一人。レストリーだ。置き去りになっていなくて良かったと胸をなでおろす。レストリーもルーチャ同様、元の世界と同じまま、つまり人間の姿でここにきている。男の声を聞いてか、二人も目覚める。


「あれ…テントじゃない?」

「ここはどこだ…?」


 二人がそれぞれに口を開いた。ぼんやりと辺りを見回して…


「ギリー?!エルフだったのか?これ、全部木の幹が作り出してるのか?!すごいな!」


 少年が起き、素っ頓狂な声を上げたのち、ギリーが答える間もなく辺りを見渡して感動し、声を上げる。砂漠のどこもかしこも見渡せば砂という景色から一変、辺り一帯は木の持つ独特なざらざらとした感触に包まれているこの世界で、少年は年相応にはしゃいでいる。


 ギリーは自身の体を眺める。しなやかな指を持ち、透き通るような白さを持つ手、それに似合わぬ太い筋肉を持つ腕が不自然なコントラストを浮き出させている。耳を触ると、目の前にいる彼らと同様にとがっている。伸びきった髪も金髪になっており、これを切って束ねるだけでも価値のある物体と化しそうなほどに美しい。格子のあちら側、一番近くに座っている男とあまり相違ない見た目になっているのかもしれない。鏡がないため、顔の変化までは見ることが出来ないが…


 捕まっているという状況さえ考えなければ、ここは面白い場所だ。今立っている地面まで木の幹ということはここは木の上。こんな子供の夢見るツリーハウスみたいな場所に来ればはしゃぎたくなる気持ちもわかる。


 エルフたちはこちらの様子をうかがっている。


「すこし、この周りを見ても?」

「ああ、構わない」


許可を取ってみると、意外にもすんなり通る。ここにいる三人は皆男で、各々武器を携えている。全員背には弓を携えており背中には矢筒から出た矢羽がいくつか見られる。

ある者は腰には大きな葉を巻いたものをぶら下げている。剣のような形をしているが、鞘もそこから出ている柄も色合いはどう見ても葉っぱのそれだ。随分と不思議なものを持っている。

そして葉の剣を持っているもののほかに、槍を持っている者も見える。持ち手の部分は茎のような緑がかった白色、穂の部分は青々とした緑だ。だが通常の葉と異なるのはその鋭利さ。傍から見ても十分に殺傷能力があるのは見て取れる。

皆、腰には蔦を丸めて鞭のようにして携えている。弓、剣か槍、鞭とやたらにモノが多い。エルフの標準装備はこうなのだろうか。


 ただ、格子越しに弓を構えたりしないということは、ある程度こちらの自由も利きそうだ。これ幸いと自身のいる部屋の中を探索する。


 中は数人は入れる構造になっており、両脇に2段ベッドが2つずつ、中心に机が置かれ、最奥には洗面台を模してくりぬかれたような形の木の台が見られる。奥を確認してみると、見たことのない布でおられたカーテンでシャワー室とトイレが分けられている。いずれも木製だが、質感が違うため、用途に合わせて使い分けて作っているのかとも思ったが、あまりにも「自然」過ぎる。


 どの家具も人の手で削って形を変えたというよりは、まるでそうなるように育ったような「不自然な自然さ」を感じる。


 ルーチャもレストリーもそうした造形に驚いているようだった。蛇口をひねれば水が出るし、出てくる水は随分と澄んでいる。不思議がっていたのはトイレだ。ルーチャ曰く「洋式」らしいが内に見える水は緑色。それもルーチャの知っているものよりも水の位置が高いらしい。捻るレバーもなく、どう使うのかとみんなで首をかしげていた。


 一通り室内の探索が終わったのち、ずっと待ってくれていた男たちに笑顔を作り、声をかける。


「お待たせしました」

「もう十分か?」

「はい」


 監禁した割には随分と対応は穏やかなのではないだろうか?こちらの自由を尊重しているように見える。いや、檻の中をうろつきまわる動物を見るのと一緒くたにされていたのだろうか。正直、この男たちが何を考えているのか全く分からない。ともかく丁寧な言葉づかいで答えてみる。


「アンタらってエルフなの、なんですか?!」

「あ、ああ。なぜ貴殿は我々の言葉を話せる?」


 たどたどしくもギリーの言葉遣いを真似るレストリーの質問に驚きながらも「エルフ」なる者が質問を返してくる。同族のギリーはともかく、他種族に見えるレストリーが自身らと同じ言語をぺらぺらと話すのは違和感を感じたのかもしれない。


「俺に聞かれてもな…こうやって話すのは自然とできるんだからそうだとしか言いようがないな」

「それは同感だね。ボクらの旅の目的にはそれを突き止めるってのも入ってるかな」


 説明のしようがないのは事実。そしてギリーが切り出す。


「我々はこことは異なる世界から来ました」


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