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異世界へ  作者: 馬子友也
第1章 鳥籠の世界 カフィッグ
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魔女

  「魔女?」

「まじょ!?」


ギリーとルーチャの反応は異なるものだった。ただ質問をしたギリーに比べ、ルーチャの目はキラキラと輝いている。


「人間たちはそう呼んでた。そして魔女の一族は1000年生きるんだ。見た目の変化、成長も違う」


バーディは続ける。


「君たちが10年かけて変化するところ、僕らが同じ変化をするのに100年かかるんだ」

「それはすごいな。皆寿命が長いのか」


ギリーが返す。



次いで勢いよく質問したのはルーチャだ。


「魔女ってことは、魔法を使えるんだよね!嵐を起こしたり、雷をふらしたりとかできるの?!」

「はは。うん。確かに魔法は使えるね。ただ、そんなに大きなことはできないかな。」


バーディが笑いながら答える。


「使えるのは火を起こす魔法と水を生み出す魔法の2つだよ」


そう言ってバーディは上を指さした。バーディの指先に小さな火が生まれた。

二人はおおっと声を上げる。ルーチャの気分は最高潮に達しているようで、琥珀色の目は見開かれ、今にも立ち上がりそうだ。


「君たちは恐れないんだね」


彼はぽつりとつぶやいた。


もっともっとというルーチャを抑え、ギリーが聞いた。


「バーディたちはずっとここに住んでるのか?」

「いいえ。ここで生活を始めたのは200年ほど前ね」


マドリーが答えた。すかさずギリーが質問を重ねる。


「ということは元々別のところに住んでたのか?」

「ええ。それよりも前は地上の集落でひっそりと暮らしてたわ」

 

今度はギリーが聞く。

 「地上のってことはここは…」

 「うん。ここは地下にあたるね。上の人間たちがここに住むように言ったんだ」

「出ようとは思わなかったの?」

 「出れなくなってるんだ。君たちはここにあるもう一つの施設の中には入ってみた?」

 

ギリーとルーチャは首を振る。

「ううん。あそこに出口があるの?」

「そう、特定の人間だけが通れるゲートがある。知らない人間や魔女の一族が通ろうとすればお陀仏だ」

「外の人間は出してくれないの?」

「それが分からないんだ」


バーディの整った眉が傾いた。



母子が話す。


「ここに入って10年ほどたったある日、若い男性がここに来たの。ネロと名乗ったその男は私たちにここに住むように言った人間の息子のようだったわ。顔立ちがとても良く似ていたの」

「でも性格は真反対。僕たちにはとても友好的だった。小さかった僕にとって、ネロはとても大切な友人だった。彼から『上の世界は危険だ。ここは安全だからそのままここにいてくれ』と言われたんだ。『大丈夫な状態になればまた伝える』ともね」


バーディは続けた。


「だけどそれ以降、彼が来ることはなかった」


マドリーが引き継ぐ。


「そしてここから出られるようにはならないまま、今日まで暮らしてたの。」




少し歩こうということになり、4人は家から出る。

マドリーは朗らかに言った。


「でも、不便はしてないの。私たちは魔法を使って植物を育てられるから、食料には困らない。寝るところもあって、家族もいる。地上にいた時よりもむしろ良いくらいよ」


花壇に植えられた植物たちは皆元気がよさそうだ。実や葉がみずみずしく、見ているとお腹がすきそうだ。

ふと、マドリーが言う。


「そういえばあなたたち、気持ち悪くなったりはしてない?」

「いや、別に…」

「ボクはちょっと…」


ルーチャとギリーが別々の回答をする。


「あら、大丈夫?」

「うん、大丈夫…もう慣れたから。ここの空気って何か独特だよね」

「ええ、魔女が魔法を使いやすいようにって、魔素を流し込んでるの」

「それは…人間は大丈夫なの?」


ルーチャが不安そうに聞く。


「悪い影響はないわ。安心して」


マドリーはギリーに尋ねる。


「あなたはなんともないの?」

「ああ、全くそんな感じはしないな」

「珍しいわね。人間でそういった人は見たことないわ」


マドリーは不思議そうに首を傾げた。


庭園に植えられているのはギリーもルーチャも知らないものばかりだった。名前を聞いてみるがテホの実、カブズの葉、ナオザの根等々聞いたことない単語が出るばかり。だが、いずれも色とりどりで食べられるものだろうというのは一目でわかる。

花壇には赤い管と青い管の2本が通っている。赤い管は手を近づけると温かく、青い管からは水が出ている。


「面白いでしょう?ネロが作ってくれたんだ。僕らの魔法を基にしてね」

バーディは楽しそうに話す。


「ネロって190年前にあってた友達のこと?」


「そう、彼は『きかい』というものをつくるのが得意らしくてね。僕らの庭を見て『すぷりんくらー』とか『ひーたー』とか言うものを作ってくれたんだ。お陰で魔法を使って毎日水をやる手間が省けたり、温かくしたり出来るからここで新しい植物を育てられるようになったんだ。」


マドリーが続けた。


「家に鉄のドアがあったでしょう?あの奥には彼が作ってくれた『そうち』があるの。そこで温度や魔素が調節できるようになってるから、この中は私たちが住みやすいようになってるの」


ギリーが聞く。


「ルーチャに合わせて変えたりはできないのか?気持ち悪いと言っていたが…」

「出来なくはないんだけど、ここの管が動かなくなっちゃったりするからやってないのよ。枯れたりして食べ物がなくなったら困るでしょう?」

「そうだな。愚問だった。すまない」

「いいえ」

静かに、時は流れていく―――


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