ユーリオン、風邪をひく2
side:アメリア
朝食を頂き、ユーリオンの部屋に戻ると、ユーリオンは静かに寝ている。
まだまだ冷える早朝に、海なんかに行ったせいか風邪をひいてしまった。
冷たい風で、身体を冷やし過ぎてしまったのかしら?
心配だけど、温かくしてゆっくりと休めばきっと良くなるわね。
あの子は常に何かしているから、病気は困るけど、身体を休める良い機会かしら。
清潔な布と、氷水の入ったたらいを持ったアコが戻ってくる。
寝ているユーリオンを起こさないよう、小声で話す。
「お嬢様、私が責任を持って看病いたしますので、お部屋にお戻りください。
風邪がお嬢様に移る可能性がありますし、そうなればユーリオン様も悲しみますよ」
「アコの言う事は正しいけど、それでも私が看病したいの」
「……お嬢様……わかりました」
「ありがとう」
「私にとって、お嬢様はいつまでもお嬢様ですが、母親らしい顔つきになりましたね」
「自分では分からないけど、そうなら嬉しいわ」
「お嬢様まで風邪をひかないよう、羽織るものと温かいお茶を持ってきます」
「お願い」
アコが音を立てないよう静かに部屋を出て行く。
そういえば、ニクスとハクアの姿が見当たらない。
残っているのは、縫いぐるみ姿のジャックだけだ。
「ニクスとハクアは?」
ジャックが窓の外を示す。
ニクスは良く外に出るけど、ハクアがユーリオン無しで外に出るのは珍しい。
誰かに襲われていないと良いのだけれど。
「大丈夫かしら?」
ジャックが紙に何か書き始める。
絵で何か伝えようとしているのかと思ったら、それは文字だった。
夜に文字を勉強しているという話は聞いていたけど、まさか書けるだなんて。
まだ慣れてはいないのか、奇麗な字では無かったけれども、読める字だった。
【ニクス ハクア たべもの とる いった】
お腹が空いて?
それならユーリオンでなくても、私たちの誰かに伝えればいい。
あ、もしかして、ユーリオンの為に?
「ユーリオンの為に?」
ジャックがうなずく。
ハクアもニクスが一緒なら大丈夫かしら。
氷水で冷やした布をユーリオンのおでこに乗せる。
みんなから愛される自慢の息子の看病をするのであった。




