異世界転生したらオークだった件2
side:ヴィルトシュヴァイン
こちらの世界に転生してから5年の月日が流れた。
前世では1人っ子だったが、今世では兄弟姉妹が沢山いる大家族に生まれた。
服の御下がりや、おかずの取り合いに憧れた事があった事は認める。
だが、流石に大家族過ぎる。
前世では全くモテなかったが今世は違う。
近所では評判の美人姉妹も、隣に住む幼馴染も俺に優しいし、良く構ってくる。
どうやら俺はかなりの美形に見えるらしく、家族以外の周囲もみんな優しい。
土臭い田舎の村ではあるが、作物は良く育つし良い場所だと思う。
……いや、現実逃避はもう止めよう。
周囲は全員オークだし、何度自分の姿を確認しても、自分もオークだ。
見た目がオークでも、こちとら中身は人間だ。
オークにモテても、全然嬉しくない。
なんなら、兄弟が『羨ましいぜ』なんて言って来る度、ぶっ飛ばしたくなる。
なんで転生先がオークなんだよ!?
オークにモテるスキルとか、もはや呪いじゃねーか!!
ひと気の無い場所まで移動し、周囲を確認してからもう一つのスキルを使用する。
せめて『スマートフォン』があれば、異世界知識で金持ちになれると思っていた。
金さえあれば、オークでも幸せになれる。
しかし、現実はいつだって残酷だ。
スマホがあっても、電波は無く常に圏外だった。
当然インターネットは使えない。
アラームや電卓、カメラ機能なんかは使えそうだが、それくらいだ。
ネットの使えないスマホなんか意味ねーじゃん……。
転生先→オーク
貰ったチート:魅了【オーク限定】、スマホ【圏外】
なめてんのか!?
これなら普通に鑑定かアイテムボックス、強い武具か魔力を貰えば良かった。
夢も希望も無い異世界転生だが、生きている以上は生活していくしかない。
せめてもの救いは、ここがファンタジー世界である事だ。
大人になったら村を出て冒険者になり、エルフや獣人の女の子を見に行こう。
それから更に7年の月日が経った頃、平和な村に問題が起きた。
オークの男女比は7:3で男の方が多く、女が少ない。
全く嬉しくないが、俺狙いの者が多く、男が余りまくっているのだ。
村長に1人選ぶなり、なんなり、どうにかしてほしいと懇願される。
たとえ身体はオークにされても、人の心は失ってはいない。
つまり端的に言うと、オークは守備範囲外だ。
父親と兄弟に別れを告げ、村を出る事にした。
母や姉妹に言わなかったのは、絶対に引き留められると思ったからだ。
近くの町で冒険者登録をしたところ、運良くオーク3人のパーティーに拾って貰えた。
女が1人いるのは気がかりだったが、リーダーと幼馴染で良い仲だというので安心した。
せっかくの異世界なのに、魔法はあまり得意では無かった。
残念ながら派手な魔法は使えず、地味なスキルばかりだ。
なかなか良いパーティーだと思っていたのに、半年くらいで問題が起きた。
唯一の女性メンバーが俺の事を好きだと言い始めたのだ。
結婚を考えていたリーダーは心を病み、パーティーから追い出された。
もう女がいるパーティーは駄目だと学んだので、今度は男2人のパーティーに加入した。
だが、しばらく経つと、2人がモテる俺をひがみ、ギスギスしてきたので抜けた。
サークルクラッシャーみたいな噂も立つ中、誘ってくれる者もいた。
そこはオッサン3人のパーティーで女っけが無く、安心できた。
ちょっとボディタッチやスキンシップが多い気もしたが、冒険者ならこんなもんかと思った。
ある日、風呂に入っているとリーダーが入ってきた。
タオルで隠し切れないほど、リーダーの『ゲイ・〇ルグ』が大変な事になっていた。
リーダーはホモだった。
「分かっている。お前も女が嫌いなんだろ?」
女が嫌いなんじゃない。
オークの女に興味が無いだけだ!!
「大丈夫だ、安心して俺に身を任せろ」
身の危険を感じて鳥肌が立つ。
力では絶対に敵わないし、絶体絶命のピンチだ。
このままでは童貞を捨てる前に処女を散らす事になる。
ああ、汚い薔薇が咲いてしまう……。
「背中流してや……リーダー、なにやってんだ!?」
「うるさい! 邪魔をするな!!」
「抜け駆けは禁止だって誓ったじゃないか!?」
お前もか!!
「背中流してや……お前ら、なにやってんだ!?」
今確信した。
このパーティーはホモの集まりだったのだ。
オークのオッサンズラブだ。
汚い絵面で、まさに地獄絵図である。
3人が揉める中、こっそりと全力で逃げ出した。
もうこんな生活嫌だ……。
なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだ。
そうだ、あの黒い光のせいだ。
絶対に許さない!!
レベルを上げて、必ず強くなってやる。
狙うなら異世界人が集まりやすいヤマトか?
……いや、あそこは魔王の膝元だし、無理だな。
魔大陸以外に行ってみるか。




