オークに転生した者との交差4
side:ユーリオン
さ、寒い。
早朝の冷たい空気の中、濡れた服で戦っていたので、余計に冷えてしまった。
とりあえず暖まろうと、落ちてる枯れ枝を拾って燃やす。
風魔法も使って温風で服を乾かす。
「……朝飯まだだろ、魚食うか?」
「良いね!」
「ちょっと待ってろ」
新鮮な魚を焚火で焼いて食べる。
凄く美味しそうだ。
「あ゛ぁぁぁぁぁーーー!?」
「どうしたの!?」
おそらく魚が入っていただろうバケツは倒れていた。
そして魚は真に残念ながら、猫たちに美味しく頂かれていた。
あまりのショックに土下座のような姿勢になっている。
なんて声をかけたら良いのか。
「……なあ……異世界の猫って食えるかな?」
「……仮に食べられたとして……食べられるの?」
「絶対無理」
予定していたより早く来ていたので、まだ少し時間はある。
なので、彼の泊まっているいる宿で朝食を一緒する事にした。
念話でニクスに声をかけ、一緒に連れて行く。
こんな早朝に、店がやっているのかと思ったが、港町なので開店も早いそうだ。
あまり食べ過ぎると、戻った時に朝食を食べられなくなるが、せっかくなので魚は食べたい。
中に入ると、魚をさばいているのか血生臭い。
エルフよりオークの方が鼻が効くのに、気にして無いのは、種族的な差かな。
「あ、いらっしゃ……魚を釣りに行ったのに、なんで少年と鳥?
うちは鳥の解体はやってませんよー」
それを聞いた腕の中のニクスが暴れるので、大人しくさせる。
あぶなく店が、物理的に炎上するところだった。
焼き魚と、温かいスープをもらう。
スープから臭みをまったく感じなかったので、美味しく頂けた。
お代わりしたかったし、なんなら他も食べてみたかった。
しかし、自分だけここで朝食を済ませるのは気がひけた。
先に味見するくらいは、お土産を買って帰るので許してほしい。
「これからどうするの?」
「どうすっかなぁ……1回暴れてそんで負けて、なんかもう、どうでもよくなっちまった」
「今、旅の途中なんだけど、次にやりたい事が見つかるまで、一緒に来る?」
「お前と一緒にかぁ?」
「そんな嫌そうな顔しなくても」
これでもかというくらい、不満そうな顔を見せてくる。
その表情は、もはや顔芸の域に達している。
「俺に何をさせる気だ? お前が思っているよりも、俺は役に立たねーぞ」
「……う~ん護衛?……力仕事……とか?」
「なんで誘ったお前が疑問形なんだよ」
「あんまり考えずに言ったからね」
「……まぁ、いいか。ムカつくけど嫌いじゃないしな……ほんとムカつくけど」
ムカつくって2回も言われたのは気になるが、時間も無いのでスルーする。
とりあえず簡単に必要最低限な事を話し、こちら側の事情の説明を済ませる。
「……屋上行こうぜぇ……久々にキレちまったぜ……」
「いや、ここ屋上無いし、砂浜でもキレてたじゃん!?」
そろそろ戻らないと心配されてしまうので、お土産を買い僕とニクスは先に戻る。
流石に身体の大きいヴィルトは、ニクスでは運べないので、後から合流してもらう事になった。
「クシュンッ!」
「大丈夫?」
「う~ん、ちょっと身体を冷やし過ぎたかも」
「翼を燃やせば暖かくなると思うけど?」
「目立っちゃうから大丈夫だよ」
「んー、それならせめて急ぐわね」
「ありがと、でも無理はしないでね」
ユーリオンとニクスは海を背に飛び立って行くのであった。




