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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第8章 フェニックス領編
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オークに転生した者との交差


 side:ユーリオン


 朝目覚めて、カーテンをズラして窓の外を見ると、まだ薄暗い。 

 6時くらいに起きようと思っていたのだが、今の時刻は5時になったばかりだ。


 二度寝するには微妙な時間だ。

 まだ寝てる母様を起こさないように、静かに部屋を出て行く。


 自分が借りていた部屋に戻ると、ジャックが朝の挨拶をしてくれる。


「おはようございます」

「うん、おはよう」


 ジャックはレイスなので、眠らないし眠れない。

 ジャックにとってはそれが普通の事なので、苦にはなっていないそうだ。

 

 そんな彼は夜になると暇になるので、文字の勉強をしている。

 スキルのおかげで文字が読める僕からすると、少し後ろめたくなる。


 着替えを済ませ、まだ寝ぼけてるニクスを連れてドアを開ける。


「それじゃ行ってくるね」

「お気をつけて。また何かありましたら気軽に召喚してください」

「ちょっと海に行って、海水を持ってくるだけだから大丈夫だよ」


 外に出ると、早朝なので少し肌寒い。

 もう少し厚着した方が良かったかもしれない。

 熱耐性のスキルがあっても、寒さ相手には意味が無い。


「ほらニクス起きて」

「うぅ~さむ~」


 ニクスが僕の腕の中から飛び立つと、身体を大きくさせていく。

 だけど、思っていたよりは小さく感じる。

 小さな子供くらいなら乗れそうではあるが、大丈夫なんだろうか?


「これ、乗って大丈夫なの?」

「え?」

「え」

「……運ぶとは言ったけど、乗せるとは言ってないわよ」

「え?」

「え」


 言われてみれば、確かに今回乗せるとは言っていなかった気がする。

 という事は、足で僕の肩を掴むか、僕が足を握るかのどちらかか。

 

 楽なのは掴んでもらう方だが、ニクスの鋭い爪を見るに、僕の肩が大変な事になる。

 選択肢が有るようで無いので、僕が握るしかない。


「もう、1か2レベル上がれば、背に乗せれると思うわ」

「うん、楽しみにしとくね」


 空を飛ぶという希少な体験に最初はドキドキした。

 空から見るこの世界は、とても美しく感じた。


 前世では飛行機に乗った事はあるけど、直接風を感じるので、まるで違う。

 そう、風を感じるんだ……つまり、けっこう寒い。

 それに安全が保障されていないので、違う意味でもドキドキする。


 段々とテンションが下がりつつあったが、海の匂いがしてくると上がる。

 人がいたら驚かせてしまうかと思い、遠視の魔眼で確認する。

 船がある方には、数人見えたけど、あれなら大丈夫かな。


 砂浜の方に降りてもらう。

 僕が着地すると、ニクスもいつものサイズに戻る。


「お疲れ様、ありがとう」

「ええ、それじゃあっちの木々がある方で休んでるから、終わったら呼んでちょうだい」

「うん」


 空から見えた時も奇麗だと思ったが、近くで見ても海も砂浜も奇麗だった。

 ゴミも見当たらないし、きっと治安も良いのだろう。

 

 こんな時の為に用意していた大きな容器に海水を入れていく。

 海は広くて大きいので、遠慮しなくても良いよね?

 次にいつ来れるか分からないので、自重せずに貰っていこう。


 海水を回収していると、流れてる海藻が目につく。

 海藻も有り難く頂戴しておく。

 元々予定していたよりも早く着いたし、新鮮な魚介類も入手できないだろうか?

 

「その海水で塩を作るのか?」

「あぁ、塩も良いなぁ、ここならタダだし。でも、今回は『にがり』が目的で」

「にがり?」

「えぇ、豆腐を作るのに必要なんですよ」

「……豆腐……お前、転生者か?」

「え?」


 作業と考え事に夢中で、自分が誰と喋っているのか気にしていなかった。

 後ろを振り向くと、そこには猪のような頭で、2mはありそうな大男が立っていた。

 獣人? いや、獣人はどちらかというと人寄りなので、魔族かな?


 いや、それよりも彼は豆腐と聞いて『転生者』と口にした。

 という事は、もしかして彼も転生者?


「貴方も転生者なのですか?」

「……そうか……」



 片やハーフエルフに転生した者、片やオークに転生した者。

 どちらも自分以外の転生者と出会うのは初だった。

 まだ日も昇りきらぬ時間、他に誰もいない砂浜で、2人の転生者は出会った。



 side:????


 スマフォのアラーム音で目を覚ます。

 時間を見ると、まだ5時だった。

 なんでこんな時間に鳴るんだと疑問に思うが、眠気が襲ってくる。


 まぶたが閉じそうになるが、釣竿が目に止まる。

 そうだ、釣りに行く為に目覚ましをかけたんだった。


 今更だが、こんな早起きして釣りに行くくらいなら、寝てたい。

 食費を浮かせたかったが、早起きするより、仕事を増やした方が楽なんじゃないか?

 

 今回はもう起きてしまったし、釣りに行ってみよう。

 もし、これで釣れないようだったら、もう釣りは止めよう。


 昨日と同じ場所なのに、面白い程よく釣れる。

 元々魚には詳しくないし、ましてや異世界だ。

 なんの魚かは分からないが、焼けばたぶん食べれるだろう。


 まぁ、一応食う前に詳しそうな奴に聞いてからにするか。

 この身体は胃も丈夫だが、異世界の菌は怖いしな。


 食欲というより、段々と釣る事が楽しくなってきた中、変なのが来た。

 最初はデカい鳥に攫われた子供かと思ったが、様子を見るに違うようだ。

 鳥は小さくなると、どっかに飛んで行く。


 身なりの良い子供の方はテイマーか?

 こんな早朝に文字通り飛んでくるなんて、あいつも釣りか?


 興味を惹かれたのでそのまま見ていると、どこからか容器を出して海水を集め始めた。

 ……アイテム袋持ちか。

 子供がそんな希少アイテムを持っていれば、悪人でなくても狙いたくなる。

 それでひと気の少ない早朝にか。


 身なりが良く、アイテム袋持ちって事は商人の子供か。

 おそらく親のお使いで海水を取りに来たのだろう。


 正直、アイテム袋は喉から手が出るほど欲しい。

 もしも相手が子供でなければ、襲っていたかもしれない。

 だが、流石に幼い子供から奪う気にはなれなかった。

 こんな見た目でも、まだ最低限の人の心は残っていたようだ。


 海水を集めるという事は、塩の作り方を知っているのだろう。

 なんか海水を煮るという曖昧な知識しかないので、今後の為に教えてもらおう。


 我ながら見た目がアレなので、驚かせないように少し離れた位置から声をかける。

 海水を集める目的は『塩』ではなく、『にがり』と答えられる。


 『にがり』という言葉に聞き覚えがある気もするが、思い出せない。

 疑問にすると、『豆腐』を作るそうだ。


 豆腐だと?

 にがりはうろ覚えでも、豆腐なら忘れられない故郷の食い物だ。

 ヤマトなら再現しているかもしれないが、ここはヤマトからは離れている。

 

 こいつまさか転生者か?

 答えは誤魔化される事は無く『貴方〝も〟』だった。


 同じ異世界人で、元は同じ日本人。

 俺は魔族で醜いオークなのに、こいつは恵まれた家系で奇麗な顔したエルフだ。

 俺とお前で何が違う?

 どうして違う?


 子供を襲うのは気が引けたが、転生者なら話は別だ。

 元の年齢は不明だし、ましてやエルフなら、見た目と年齢が合っていないだろう。

  

 ようやく見つけた転生者だ。

 転生者に会ったら、絶対に言ってやろうと思っていた事を言う。


「無職でニートな俺がスマフォ持って異世界転生したらオークの8男で、

 モテてハーレムになった結果冒険者パーティーから追放され、

 俺Tueeeeeeなチート無双もできず、異世界知識も鑑定スキルも無いし、

 成り上がれず、のんびりスローライフも送れそうにないので、

 他のこっちで上手くいってる転生者に復讐するのは間違っているだろうか?」



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― 新着の感想 ―
[良い点] ユーリオンとオークが、やっと邂逅したこと! [気になる点] …オーク…色々混ぜすぎだよ…色んな人を敵に回しそうだし…下手したら怒られるよ?…言うなら…もっとシンプルなタイトルが却って流行る…
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