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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第8章 フェニックス領編
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街と町


 side:ユーリオン


 街を守る為の壁が見えてきた。

 王都には当然敵わないが、なかなか大きな街だ。

 こんなに大きな街を自分が治めるのかと思うと、プレッシャーを感じてしまう。


 色々と学んだ前世でも、流石に領地経営については学んではいない。

 しかし、任された以上は責任を果たしたいし、領民が安心して暮らせるように頑張ろう。

 

 今の代官は高齢らしいので、いつまでも任せるという訳には行かない。

 最初の目標としては領地を安定させ、領民の心に余裕を持たせなければ。

 心に余裕があれば、他者に対して寛容になれる。

 寛容になれれば、差別や偏見は減るはずだ。


 いずれは、信用できる代官を捜して領主の仕事は任せたい。

 そして自分は執事として活躍したり、暗躍したりしたい。


 門を通り、領主邸に馬車が向かう。

 窓から見える光景は、王都とはまるで正反対だった。 


 街にはまだ傷跡が残っており、復興作業をしている者を見かける。

 そうした作業をしている者には子供も多かった。

 それは子供のお手伝いなんて可愛らしいものではなく、大人に混じって真剣に働いている。


 スラム街とまではいかないが、争いがあった事は察せられる。

 前領主は人望が無く、反乱や騎士の裏切りに遭い討たれた。

 だけど、そんな前領主の恩恵を受けていた者も少なからずいる。

 そんな者達との戦いの跡なのだろうか。


 領主邸に着くと、既に使用人が待ち構えており、代官の元へと案内される。

 向かうのは僕と母様、それにアコの3人だけだ。

 他の皆は別室で待機となる。


 案内された部屋の中には、好々爺とした、少しセバスチャンに似た人物が居た。

 彼はジェードという名で、セバスチャンの親戚筋らしい。

 

 顔合わせと挨拶を済ませると、長旅の疲れを癒すよう勧められるが、遠慮する。

 気遣いはありがたいが、まずはこの街について、知らねばならない。

 そうしてジェードから話を聞くのであった。



 side:????


 この町への滞在を決めたので、まずは泊まる宿を探さなければ。

 見つけるのに苦労するかと思ったが、拍子抜けするほどあっさりと見つかった。

 魔族でも泊まれるし、料金設定も悪くない。


 とりあえず5日にしようと思ったら、7日だと安くなり、更に食事におまけが付くと言われる。

 

「……この商売上手め」

「まいどあり~♪」


 割引やおまけに弱いのは日本人の性だろうか。

 まぁいい、具体的な予定が決まっている訳では無い。

 先払いなので、料金を支払う。


 こちらで使える金の半分が無くなってしまった。

 ついでだからと、稼げそうな良い仕事が無いか聞いてみる。


 冒険者ギルドに行くのも良いが、こういうのは住人に聞く方が金になる。

 評価には繋がらないが、金だけが目的なら間を挟まない分稼ぎやすい。


 勧められた仕事は、荷物の運搬作業だった。

 船長の所でもやっていたので、問題は無い。

 

 夕方になるまで働き、日給を受け取る。

 話に聞いていたより多かったので、確認する。


「お前は他の奴より運んでいたからな、少しだが色を付けておいた」

「……助かる」

「おう! 気が向いたら明日も来てくれ。お前がいると仕事が捗る」

「ああ」


 俺は身体が大きく力もあるので、確かに他の者より運んでいた気がする。

 種族の差だと思っていたが、頑張りが認められたようだ。


「この辺で異世界人の話を聞いた事はあるか?」 

「俺は知らねえなぁ……たまに船乗りが話しているのを聞くが、ヤマトの話くらいだ」

「そうか」

 

 他の者にも聞いてみるが、ヤマトの話しか上がらない。

 まぁ、そう簡単には見つからないか。


 宿に戻って夕食を食う。

 脂ののった焼き魚は美味かったが、米と醤油それに味噌汁が欲しくなる。

 

 港町であるここの住人なら、何か知っているかもと思ったんだが。

 まぁ、まだ1日目だしな。

 別料金で熱湯の入った桶を買い、濡らした布で身体を拭いてから寝るのだった。


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