フォレスティア森聖国18
side:ユーリオン
フォレスティアでの最後の朝食を食べる。
スムージーも一緒に出されており、ミキサーを使って貰えているようで嬉しい。
ちなみにスムージーは元々、凍らせた果物や野菜を使ったシャーベット状の飲み物だったらしい。
便利さで言えば、王都の街の方が様々な店があって品揃えも豊富だ。
だけど、自然の恩恵を受け自然と暮らすエルフの暮らしも、とても良かった。
精霊達とも仲良くなれたし、許可が貰えればまた皆で来たい。
部屋に戻って30分くらい経ったので、皆の部屋を回って荷物を回収していく。
ストレージは持ち主毎に仕分けしておけるので、とても便利だ。
後は母様とアコの分だけだ。
まずは近い母様の元へ向かう。
母様は荷物が少なく、衣類くらいのものだ。
母様も用事があるようなので、一緒にアコの部屋に向かう。
扉が空いていたので部屋を覗くと、アイテム袋に何とか仕舞おうと苦戦していた。
アコは私物を持っていくのが初めてなので、皆より多いのかもしれない。
「アコ、すぐに使わない物なら、僕のストレージに仕舞うよ?」
「あぁ、お嬢様にユーリオン様。そうして頂けますと助かります」
「……アコ、そんなに何を持って行くつもり?」
仕舞おうとした所で、母様が中身を尋ねる。
「お嬢様との思い出の品や、お嬢様の昔の服などです」
「……置いてきなさい」
「そんな!?」
「二度と戻って来ない訳じゃ無いのだから、必要な物以外は置いていって」
「私にとっては命より大事な宝物で、必要な物なんです!」
「……ユーリオン、アコは置いてくから行きましょ」
「お嬢様!?」
アコは涙ながらに必要な物だけを厳選していく。
アコを連れて行って、リリーは大丈夫なのかと心配だったが、後任も決まっているそうだ。
元々アコを含めた3人でお世話していたらしく、リリーが寂しがる以外は大丈夫らしい。
これで全員分の荷物を回収したので、外に出る。
馬車の準備も出来ているので、もういつでも出発できる。
今回は入ってきた時とは別の、フェニックス領に近い方の出入り口を利用するそうだ。
お爺様や伯父様達だけでなく、リリーも見送りに来てくれた。
「……また…来なさいよ」
「うん、約束するよ」
「……エレナ」
「……リリー様」
リリーが差し出した手を、エレナが握る。
2人は僕が知らない間に仲良くなっていたようだ。
全然気づかなかったが、エレナに友達ができて凄く嬉しい!
2人は笑顔で握手を交わす。
過ごした時間は短かったが、きっと長い握手を交わすだけの思いがあるのだろう。
………いや、長すぎないか?
2人の手をよく見てみると、お互いに力を込めていた。
表情は笑顔のまま、手に力を込めているので怖い。
それ、男同士がやるやつで、絶対女の子がやる事じゃない。
慌てて2人を離す。
どうやら、仲良くなってはなさそうだ。
一応名前を覚えて、呼び合っているのだから、一歩前進……かな?
各自それぞれの別れの挨拶を済ませ、馬車に乗る。
御者台にはアコと僕が座る。
森のこちら側は来た事が無いので、見て見たかったからだ。
馬の手綱はアコに任せ、景色に集中する。
広い森だし、場所が変われば生えている植物も違う。
鑑定しながら見ていると、素材に使えそうなものがチラホラある。
「ねぇアコ、こっち側は採取禁止?」
「いいえ、前に行った方と違い、こちら側は食べられるものが少ないのです」
なるほど、前回は食べられるものが多い方を案内してくれた訳か。
薬に使える薬草が沢山あるし、今度来た時は、こちら側でも採取したいなぁ。
そのまましばらく進んでいると、不思議な光景が目に映る。
実のなっている梅と柿っぽい木が生えていたのだ。
日本だと梅の収穫時期は6~7月、柿は10~11月なので、それぞれ時期が違う。
そもそも今は2月なので、2本とも時期が違う。
この世界『ゼーディン』でも、グレゴリオ暦(1年を365日としたもの)のようなものがある。
こちらでは、1年間は360日、月30日が12回なので、慣れれば地球より分かりやすい。
まぁ異世界だし、似た植物でも、環境で育ち方が違ったのかな?
鑑定してみると、食用可なので、梅と柿って事でいいや。
「アコ、あそこに生えている実って分けてもらえるかな?」
「……あれは食べられませんよ?」
「え、食べないの!?」
「はい、見た目は食べられそうでも、とても食べられた物じゃないです」
「……もしかして、そのまま食べてる?」
「いえ、加工できないかと挑戦した事はあったそうですが、駄目だったと伝わっています」
「じゃあ、エルフにとって、あの実は不要?」
「はい、少なくとも私の知る限り、あれを収穫しているエルフは存じません」
「ごめん、馬車を止めて」
「え?」
「お願い!」
「か、かしこまりました」
アコにお願いして馬車を止めてもらう。
馬車が止まると、ピエリスが何かあったのかと飛び出してくる。
心配させて申し訳ないが、あの実を収穫しなければ!
皆にも手伝ってもらい、大量に収穫する。
ストレージに仕舞う際、手間でも一個一個鑑定しているので、虫入りは無い。
柿の方は渋柿だったが、干柿にできるので問題ない。
梅は梅干しと梅酒を作りたいな。
梅干しは普通のと、カリカリ梅の2種類を作ろう♪
僕のせいで少し時間をくったが、30分くらいだし許容範囲だろう。
そのうち美味しい物を食べさせるので、ここは許してほしい。
最後の最後に珍しい物を入手し、ご機嫌なユーリオンを乗せた馬車は移動して行くのであった。
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