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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第7章 フォレスティア森聖国編
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フォレスティア森聖国5



 アコが両膝をついて母様の腰に両手を回し、連れて行ってと駄々っ子のように騒ぎ立てる。

 女性の年齢に触れるのは良くないが、母様の世話係をしていたなら、いい歳だろうに……。

 黙っていれば美人なのに、この姿は残念すぎる。


 むやみに人を襲わず、母様の言う事を絶対に守るという条件で落ち着く。

 2度も置いてかれるのは本当に嫌なようで、渋々だが納得した。


 話が纏まった所で、伯父様がタイミング良く戻ってくる。

 その背中には1人の女の子がいるので、あの娘が従姉のリリーかな。


 女の子は、エメラルドグリーンの長い髪をツインテールにしている。

 瞳がルビーのように赤いので、フォレスティア家の特徴なんだろう。

 つり目のせいでキツそうにも見えるが、幼い少女という事でむしろ可愛らしくもある。


「ほらリリー、挨拶しなさい。妹のアメリアと、その子供で、お前の従弟になるユーリオンだ」 

「…………リリーよ」


 名前だけ告げると、また伯父様の背中に隠れる。

 ちょっぴり御転婆と聞いていたが、知らない人の前では恥ずかしいのかな?

 6歳という年齢を考慮すれば、まだまだ可愛らしく許される年齢だろう。


「初めましてユーリオンです」

「……あんた、いくつ?」

「5歳です」

「……パパ、どうしてこの子は耳が短いの?」


 僕の耳はヒューマンに比べれば長いが、純粋なエルフに比べると短い。

 彼女が疑問に思う事から察するに、エルフの子供でも、ハーフの僕よりは長いのだろう。


「ユーリオンはヒューマンとのハーフだから、少し短いんだ」

「ヒューマン?……ヒューマンは、クズのろくでなしってアコがいつも言ってるよ?」


 ヒューマンと聞いたリリーが、不快そうな表情を浮かべる。

 そして、アコとリリーを覗く全員が、アコに疑問の視線を向ける。


「いえ、リリー様が道を間違わぬよう、正しい教育をと……」

「……世話係の経験があるからと、君を任命したのは間違いだったかもしれないね……。

 君の淋しさを紛らわせつつ、リリーの教育もできて一石二鳥だと思ったんだが」


 ヒューマン嫌いのアコが、リリーの世話をしていたようだ。

 その結果、リリーもヒューマンに良くない印象を覚えている。


「ヒューマン全てが、悪い者ばかりじゃないですよ」

「……うっさいわね短小、あんた半分はエルフのくせに、ヒューマンの肩を持つの!?」

「……短小……」

「こら、リリー! 失礼な事を言うんじゃない。それに、女の子がそんな言葉を使っちゃ駄目だ」

 

 ……言われた事の無い暴言に、少しダメージを受けてしまう。


「フンっ知らないわ! アコ、戻ってきたなら一緒に遊びましょう」

「申し訳ございませんリリー様。私はもう、リリー様を優先する事ができません」

「……どうして?……リリーのこと、嫌いになったの?」

「いいえ、嫌いになどなっていませんし、嫌いになるはずがありません」

「じゃあ、なんで!?」

「アメリアお嬢様がお戻りになられたからです」

「…………え」


 アコよ、流石にもっと別の言い方があるのではないだろうか。

 リリーが放心しているぞ。


「アメリア叔母様が帰ってきたから、リリーは2番目って事なの?」


 かわいそうに、リリーが涙目になっている。


「リリー様は2番目ではありません」

「……ほんと?」


 リリーが2番目じゃないと言われて、嬉しそうな表情に変わる。

 リリーの世話も見てきたのだし、母様と同列で1位って事だろうか。


「ユーリオン様が2番目なので、リリー様は3番目ですね」

「「「……………………」」」


 あまりにも容赦の無い言動に全員が押し黙る。

 上げてから下げるだなんて、もはや鬼畜の所業だ。

 あまり表情の変わらない母様ですら、ドン引きの表情を浮かべているのが分かる。


「………あ、アコの馬鹿ぁぁぁ!!!! 短小も大っ嫌い!!!!」

「いだっ!!」


 リリーが泣きながら部屋を出ていく。

 ただ、出て行く時にパーではなく、グーで思いっきり顔を殴られてぶっ飛ばされた。


 ………え、なんで僕殴られたの???

 補足すると、この時、2回転半は回っていたらしい。


「ユーリオン大丈夫かい? すまないね、うちの娘が」

「………え、ええ、なんとか」

「ちょっぴり御転婆で困ったものだよ」


 伯父様はハハハと苦笑いする。

 しかし、「ちょっぴり」と「御転婆」の定義について、後で話し合う必要がありそうだ。

 少なくとも、人1人ぶっ飛ばすのは、ちょっぴりを超えている。


 2度も短小と呼ばれ、しまいにはぶっ飛ばされた。

 精神的にも肉体的にも、かなりダメージを受けた気がする。


 伯父様に短小について尋ねると、エルフ特有の揶揄らしい。

 エルフは美形ばかりなので、顔の良し悪しというものが少ない。


 なので、外見的魅力の1つが「耳」とされている。

 男性で言えば、大きくて長い立派な耳が男らしく魅力的らしい。

 あくまでも魅力の1つなので、「耳」だけで選ばれるものではないそうだが。


 地球でも、首の長い者や、太っている者が魅力とされている地域はあった。 

 なので、耳に魅力を感じる種がいても驚く事はない。


 外見的特徴なので、努力でどうにかなるものではない。

 だけど、魅力の1つと知ってしまうと、やや自分の耳が気になってしまう。

 これまで気にした事など無かったのにと自分に苦笑する。


 



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